かっ飛ばせ借金 打ち勝て倒産

 
 ‐オグチ経営研究所‐

 ☆★自分でできる経営の再生と整理★☆

  

嘘と回収

2007-12-04 | 事例
「それ全部を銀行に喋ったの?」

「資産を全部教えれば自宅は競売しない方針ですって。
相手は銀行ですよ。まさか銀行が、嘘を言う筈が無いでしょう。」

1億8000萬が返済できません。担保は、自宅と融資で購入した
ゴルフ会員権です。会員権は今は無価値です。自宅は母親の名義、
母親は担保提供者です。銀行は彼に隠し財産が大分あると見ております。

彼は都心の庭付きの自宅をどうしても取られたくありません。
後妻の母親が父親から貰った自宅です。土地は50坪ですが、
総檜造りで立派です。前妻の住んでいた屋敷は今の社長が住んでいます。
銀行は母親も彼も相当な遺産を貰ったと思っています。

彼は自分の資産を全て銀行に喋り、かつメモにして提出しました。
そうすれば自宅は安泰と思ったからです。自宅以外は次のようなものです。
担保以外の、ゴルフ会員権が二つあります。伊豆の別荘が、あります。
父親のローンでしたが彼に変えております。担保余力は、充分にあります。
金に不自由しない彼が集めた趣味の腕時計が幾つか有ります。そして、
現在異母兄の子供、つまり甥が社長で彼が常務の会社の株が10%です。
 
彼は勘違いをしていました。
これらを銀行は物件のまま引き取ってくれると思っていたのです。
まさか自分で換金して其れを銀行に入金するとは考えても居ません。
したがって、どのくらい価値があるかと云う事を、大袈裟に麗々しく
喋ってのです。銀行はその資産をはっきり把握したのです。

案に相違して銀行の担保解除の話は進みません。それどころか、
彼が喋った資産を追加担保なり、質権を設定しようと持ちかけてきます。
ただ一人彼に助言をする先輩は、抵当権の付いている自宅は諦めろ。
他のものを守れと彼に何回も進言しました。当初、何でも銀行の
言うなりきに動いていた彼も次第に銀行を疑ってきました。

やきもきしている彼に担当者は言いました。
「先日の資産明細の件ですが、全部を処分しても
1億がよいところでしょう。とても 自宅を解除するだけの
価値はありません。自宅の担保解除は出来ません。自発的に
任意売却をお願い出来ませんか。そうでない時は競売もあり得ます。」

そして言い足しました。
「先日お伺いした資産は当行も何もしませんから、貴方も
何もしないで下さい。勝手に処分などされると詐害行為の件で
嫌な思いをする様になります。」
 
彼は抵抗したつもりですが、結局は自宅の任意売却を
やらざるを得ませんでした。甥の社長が、メイン銀行と常務が
喧嘩をして、会社に不利益をもたらしたら、責任を取って会社を
辞めて頂きます。と牽制が強かったことも原因して居ります。

平成13年の話です。
普通ならば、この自宅売却だけで回収騒ぎは殆ど済んで居ます。

其れから半年近く何もありませんでした。彼に終わったと思って居ました。
その彼に貸しあの株を売らないかと銀行から攻められたのです。
「株をお持ちのことは決算書からも解かっていました。
相当な資産になりますから私共も放っておくことは出来ません。」

其れが切り出しでした。中小企業の自社株は譲渡制限が付いて居ますし、
買い手が居ませんから、差押などありません。彼の場合は会社が、
銀行の味方です。結局は此れも売らされました。

銀行は別荘は余りつついて来ませんでした。未だ無剰余で担保価値が、
無いと踏んでいたみたいです。もう少し払えば担保価値が出ます。
しかし此れは銀行の見間違いで既に1500萬の担保価値がありました。
此れだけは彼は先輩に薦められて売却して居ります。
ローン銀行はメイン銀行と違った事が幸いして居ります。

しかし、此れは銀行の怒りを買いました。
断りも無く債務は、サービサーに譲渡されました。

サービサーもしつっこかったです。
時計を追求してきました。しかし時計と云っても何処に有るか、
メーカーはどこか其れすら解かりません。今は財産開示と云って
裁判所が強制的に資産を調べますよと脅し、5個ほど白状させました。
市場価格は、1000萬近いそうです。結局オークションで400万くらいで
処分させられています。

残債は、7000萬に減りました。
しかしサービサーは追求の手を緩めません。
一時金で和解ならば350万と云っています。

睨み合いが1年以上続いた時にサービサーは、
給料の差押をしてきたのです。

此処で彼は350万払って和解をして居ります。
不思議なことにゴルフ会員権だけは何も言ってきません。
担保がどうなって居るかそれも言いませんし、彼も聞いて居ません。

自宅を助けたいために他の資産を明らかにして、6年掛けて給料の差押と
云うおまけをつけて全部取られました。会社のトップが彼を敵対視して
居たこと、もう一つ彼が銀行の言うことを自分に有利に解釈したのが
完敗の原因です。

こうまで徹底して取られた人はほかに知りません。
そのくせ彼に憐憫の情が湧かないのは、
日ごろの彼の性格のためでしょうか。





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