かっ飛ばせ借金 打ち勝て倒産

 
 ‐オグチ経営研究所‐

 ☆★自分でできる経営の再生と整理★☆

  

たった20万されど20万

2007-12-24 | 事例
「貴方、父に相談するのもよいですが、もう父は年金以外に
入ってこないですよ。貴方の友達のSさんやFさんは無理かしら。」

7500万残のあるサービサーから、次のように言って来たのです。
「年内後10日しかないが、30万ならば出来ると言って居ましたが
もう20万用意してくださいよ。50万で和解しましょう。
但し年内を過ぎれば当社もこの条件では和解は難しくなります。」
保証人は彼だけでした。

会社は、2部門ありました。
レストラン部門は、友達で旧会社の役員のSが従業員全てを
引き連れて移籍をして居ります。その時からSは其処の支配人です。
産直部門は此れも役員だった友達のFが社長でやっています。
回転資金は前の会社の運転資金を引き継いでいます。彼はほとぼりの
冷めるまで、給料10万で此処の全くの一従業員と云う立場でやっています。

2億からの負債を背負って返済不可能になりました。
債権はサービサーに移りました。彼はこの聞いたことのない
サービサーと云う会社が何より怖いのです。
連絡しないと五月蝿いと聞いていましたから、最初だけは返事をしました。
携帯番号と引越し先の住所を教えて、以後は携帯に連絡をと言って、
連絡があってもろくに相手にしなかったのです。

「余り情報を与えないと、はっきりするまでしつっこくやってくる。
適当に教えたよいよ。特に貴方の場合は知られて困ることは何一つ
有りません。全てを正直に言いましょう。」
と知人に薦められて、最近求められるがままに近況から家計の
収支まで正直に報告したのです。

その時に次の事も書きました。
破産をしようと弁護士と相談しましたが、600万と言われて
とても出来ません。2年以上経てば易くなると聞きましたから
其れまで頑張ろうと思っています。

そうしたらサービサーから年内払いの50万で
手をうとうと言ってきたのです。

彼は飛びつきました。
あんなに怖かったサービサーの回収です。
その1軒ですが7500万の借金を50万にしてくれるとは!と
感激したのです。よい正月が送れそうです。
彼は念のために20万は手元にないが来年1月まで猶予が
頂けないかとお願いしましたがサービサーは此れにはNOの返事でした。
「20万が年内に入らなければ、其れまでに入ったものも
全て無駄になります。契約書もそう云う文句になって居ります。」
とまで言ってくれたのです。

妻と相談し、実家にも依頼する様に頼みました。
義父には今回のことでは迷惑を掛けっ放しです。
今までの高級マンションの家賃が滞納し今のところに
移りましたがこの時は特にお世話になりました。

レストラン支配人のSに、電話より直接と思ってお願いに行きました。
彼の会社がおかしくなったのは、Sが言い出したレストランの所為です。
しかし今は彼の投資が生きてきた感じです。
Sは此処の身売りの時、直ぐに買い手を見つけて来ました。
彼はSの言う通りの甘い条件で引き受けてもらったのです。

Sの羽振りは良さそうでした。しかし断られました。
Sはオーナーとの間で経営に物凄い苦労をして居るとのことです。
資金繰りはSの責任だそうです。その間に催し物の企画や交渉もあります。
関係ない事を愚痴るSからは、借りることを諦めました。
それどころかもう完全にSとの縁が切れたことも感じたのです。
後日Fからレストランの仕入れもとうに止まって居るよと聞かされて、
その思いは確定的になったのです。

「私も持っていないし、売上の資金の流用しかありませんね。」
Fは協力的です。
しかし売上の流用と云う事は、支払いを伸ばす、1日では無理だから
3日ほど伸ばそうと言う事です。生鮮物の決済日は手形の決済渡同じこと、
簡単では有りません。1日でも狂うと其処に納入する業者は居なくなる
恐れが充分居有ります。

折角の第2会社が此れをきっかけに悪くなることも考えられます。
しかし彼は最悪の場合は此れにすがるつもりでした。

20万は娘から聞いた義母が出してくれました。

やはり経営者は倒産の時は少し握って居るべきでしょうか。



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