秋田駅の東口で、これほど高い空を見上げるのは初めてだなあ・・・。
いつも駐車場で待っていてくれるヤスが、今回は「改札口にいるから。」
ヤスを見つけ、「おーっ!!」と声をかけた時、視界の横から奥様が現れた。
「今度、いつ会えるか・・」 ボクは元気です。またすぐに会えますって。
仙岩峠を下り岩手に入ると空気が一変する。
ボクだけの個人的な感傷だと思っていたけど、ヤスも同じように感じているみたい。
前景を変えながら何度も現れる岩手山に、「いいなあ!!」を連発した。
雫石町国道46号沿いにある「山重」は手打ちそばの専門店。
上品なそばの味もいいし、決して広くはない店内は静かで落ちつく。
ここの窓からも、岩手山。
二八と十割のセットを注文した。これは二八。食べた後、同量の十割が出てくる。
初めて来た前回、オーダー伺いはオヤジさんだったけど、今回、純朴で明るい娘さんが現れた。
早春の雫石川のせせらぎのような「あねっこ」・・・決してほめ過ぎじゃあないよ。
網張の湯は久し振りに岩手山国民休暇村を選んだ。
スキーに熱をあげていた頃、何回か家族で来て以来、四半世紀ぶりかな。
係のひとは新旧という表現はしなかったけど、まずは旧館の風呂へ。
湯の華の混じる硫黄臭の強い印象があったけど・・、記憶違いか、日々の変化か。
新館へは一度羽織って反対方向へ戻ることになるが、これも料金のうち。しっかり堪能した。
網張スキー場は春スキーの様相ですが、さすがに空気は冷たい。
汗が引かない湯上りの身体に岩手山の澄み切った空気が気持ちいい。
本当に、気持ちいい!!
「手づくり村」に行ってみる?のヤスの問いかけで、ふと、思い出した。
同じ高校の一年先輩が、この辺りに窯を開いていると何かで観たことがある。
ここの施設の案内板に「北杜窯」の名を見つけた時、この偶然って、何?!
当時、「特美」の学生は風体だけでそれと分かるほど特徴的だった。
学内の鶴南同窓会で何回か会っただけですが、彼女もどこか垢抜けていた印象がある。
思い切って「いらっしゃいますか?」と尋ねたけど、お留守でお会いできなかった。残念・・。
御所ダムの向こうは、ボク等の時代は情緒も残っていた繋温泉。
教養部に所属している二年間、大学から繋温泉まで15キロのマラソン大会があった。
教養部在籍のラグビー部員は参加が義務。落とした体育の単位は、完走と引き換えだった。
「マラソン走った後でも、練習あったからなあ・・」ヤスが今でも呆れる当時のラグビー部。
大学のラグビー場に人だかりを見つけ近づいてみれば、華奢な面々と地べたにはフリスビー。
投げたフリスビーを追いかけっこする・・、訊いたけど覚えられい。
春合宿中かなと思って寄ってみたけど、なわけねーな。
グランドの傍に建つ学生会館に消えて行ったヤスを追いかけた。
ここからは、ジジイ二人の時間旅行だ。
ヤスが指でひし形を作りながら、「大学の徽章、売ってないかなあ・・」と探し始めた。
見つかったのは、ボク等が目にしたことのない缶バッチ?とガンちゃん。
ラグビー部の正装だった学ランの襟に着けていたのは、渋~い銀色の「桐の葉」だったけどね。
二人の足が書棚の「数学」のところで止まった。行列式と偏微分かあ。
車中、「もっと勉強しときゃよかったなあ」と、二人がぼやいていたのが応用数学。
書籍コーナーの文庫本の少なさには驚いた。ヤス曰く「電子書籍で読む」だと。ホントかなあ。
ここでも「北杜窯」を見つけた。でも、「岩大牛乳」は消えていた。ガッカリ。
宿泊先の小田島旅館で、仙台からのガン先輩を5分ほど待って、三人でブラブラ歩いた。
ガン先輩は、歩いては振り返り、キョロキョロしてる。「この通り・・、懐かしいなあ。」
ガン先輩が足を止めた。「ああ、国際会館かあ。ここだあ、ここ。」
当時、ガン・コン両先輩の主戦場だったパチンコ屋。
若き「いかり」の大将も、戦友でしたよね。
あっ、戦友が仕込み中。表に暖簾が掛けてあったので、臆せずに入った。
先約があり遅れるオサムは、ボク等に気を使ったのか、カツにも連絡していたようだ。
「カツオとホヤだよ。」ボク等が来ると必ず用意してくれるジュンちゃんの心遣いが嬉しい。
いつもよりは飲まなかったとヤスは言うけど、ボクは飲んだ。飲みすぎるほど、飲んだ。
ガン先輩の「壁に鼻つけて、思い出すまで立たされた。」は覚えてるけど、あとは・・・
そうだ、ボクの庄内弁を聞いて、「私たちも鶴岡です。」というご夫婦とも面会した。
そのあと、オサムに連れていかれた先が、とんでもない騒音のるつぼ。
頭にきたボクは早々に脱出、中華そば屋を探し歩いてたのは覚えているけど・・。
足跡は、残されたデジカメの画像で知るしかない。
そうだ、にんにくラーメンだ。それは覚えている。
撮った時刻が午後11時15分。ガン先輩とヤスがホテルに戻った時間だそうだ。
先に出たボクは、どこからどこをどうほっつき歩いていたんだろう。
翌朝、散歩がてら、家族へのお土産にしようと近くの「福田パン」を目指した。
しかし、酒の残る身体に「福田パン」は遠かった。あとでヤスに乗っけてもらい出直そう。
飲み疲れの身体に、盛岡の朝の冷気は応えた。
予定より30分ほど早い7時30分ごろ、一足先にボク等が出発。
矢巾パーキングエリアでガン先輩と落ち合い、コン先輩んちには10時前に着いた。
庭をゆっくり眺めながらいただいたコーヒーの味は、本当に美味しかった。
日頃から肩が凝るというガン先輩の肩甲骨周りを三人の整体師が熱烈矯正。
ガン先輩の肩を触診した女性整体師は、フッカーらしからぬ可愛い肩に思わず吹き出していた。
キクちゃんのお母さんの話は、ガン先輩の思い出すまで立たされた話しと同じぐらい、ワロタ。
二人に共通するユーモラスな話術って、きっと、持って生まれたものなんだろうな。
さしずめコンビを組んだら、ガン先輩の大ボケに、キクちゃんの鋭いツッコミかな。
お昼には、天ぷら付きの美味しい蕎麦までご馳走になり、1時過ぎに先輩んちを辞した。
今だから言うけど、本当はキクちゃんの手料理を肴に一杯やりたかったんだけど。
みんな、偉くなっちゃって忙しいみたい。そうなんだろ、オサム。
ひとり揺られる帰りの夜汽車は、ホント、寂しいもんだぜ。