後追いをするチビの表情が、胸に突き刺さる。
でも、行くからね。
チビを振り切り、出てきたものの、ノー・プランのまま、雄勝まで来た。
秋ノ宮温泉郷への分岐点。ここで一考・・、温泉に入りたい気分じゃない。
道の駅の地図を見上げながら、国道107号への最短ルートを確認している。
もう、戻ろう。今なら、「ちどりの中華そば」で、ちょっと遅めの昼食も、可能です。
雄勝ICの一時閉鎖が、帰る気持ちを後押しした。久し振りに「下道」を走った。
早々に、「羽後町」と書かれた案内標識を左折。雄物川を渡る。
これから越える出羽丘陵。随分、緑が濃くなったなあ。
梅雨に入ったばかりだというのに、真夏の様相。
今の時季は、田んぼに、どんどん、水を引っ張り込んでるんだろうしね・・。
なんてことを思いながら、遠くを眺めています。
ほたるとこまち。いい組み合わせじゃないですか。里と郷の使い分けが気になるけど。
秋田美人、いいッスなあ。希、夏樹、あやこに、淳子・・。ちょっと、違うんだなあ・・。
なんてことを思いながら、走っています。
緩やかな稜線を日本海に落とす姿を見慣れていると、これはこれで、存在感がある。
なんてことを思いながら、走っています。
峠道に入って間もなく、木陰が優しい、小さな駐車スポット。
キャンプ場・・? いや、キャンコ渕。「由来」には、こう、書いてあります。
山峡の渕で「峡(かい)渕」。峡が貝に転訛し、貝は、この辺でキャンコ。で、「キャンコ渕」。
西馬音内盆踊り、仙波番楽、鈴木家住宅・・。この辺り、伝統・文化レベル、高そう。
「鈴木家住宅」の案内に出くわす。「国指定重要文化財」の文字が増えている。
県道を折れて3キロかあ・・。エイッ!と、ハンドルを切った。
ボクの地元、国宝「羽黒山五重の塔」と、どこか、通じるものがある。
威容であるけれど、むき出し。そのまんま、そこにある。羽黒山五重の塔と、そこは同じ。
1600年代の建物、源義経の郎党、平泉から落ちて・・、よりも、興味ある話しがあった。
ここの鈴木家の生国・紀州和歌山の鈴木家は、全国の鈴木姓の宗家。
だから、ここは、「東北 鈴木姓発祥の地」だと、和歌山県海南市の宮司さんが記している。
屋敷向かい側の景色に、「落人の里」的雰囲気があるなあ。
都会人気取ってるわけじゃないけど、蛙の声、久し振りです。
憧れを越えた、こういうところでの暮らし・・、ちょっと、想像できない。
説明文を読んでいたら、さっき、道を尋ねたオジサンが、ボクを見つけて寄って来た。
「どこから? 致道館、致道博物館、あっどごだな。」 研修で、行ったんだって。
加茂水族館を観て、湯野浜温泉に泊まって、海鮮市場で昼食・・、テッパンです。
国の重文には成り損ねたけど、雰囲気のある民家は、他にもあった。
丘陵地だけど、どこの田んぼも、美しい。稚苗のみどりが、ホントに、鮮やか。
溜め池らしきものが見えた・・と思ったら、これが「松倉ダム」。
ダムって、土地改良区の灌漑用ため池のことかあ・・。
ん?!熊が出るとな。かなり、怖いけど、見ないことには。
物凄く、怖かった。すぐだと思ったら、舗装から砂利道に変わり・・。
ホントに引き返そうと思ったし、出てきた時のシュミレーションもしてみたり。
命を懸けてくるほどでもなかった。普通すぎるほどの溜め池!
そろそろ、国道107号に出てもいいころでしょう。
田んぼの向こうに、ちょっと、シンボリックな山。
帰って、地図を調べ、 姥井戸山という山だと知った。
出くわした丁字路の「法体の滝」「鳥海荘」の立て看板に、面食らった。
どこに出てしまったんだあ? 感覚的には、ここを左だけど、右に行くしかない。
107号に出るものと思い込んでいたけど、あの時以来の国道108号だった。
「緑の色は、心を休める」とよく言いますが、走っていて、そう思いました。
メットを被れば、風切り音しか聞こえないけど、歌っていました。「緑の季節」。
伊勢正三が作詞作曲し、山本潤子が歌っている。
ロッテ・グリーンガムのCMソングにもなった。TVのライヴ版もいい。
ボクが、口ずさむ・・。ちょっと、キモイ。