雨上がりの早朝、「薬湯小路」から「おさんのはん」に出る。
最近、朝の散歩は、こっち方面が多くなった。
さすがに、チビを連れて、鳥居をくぐるわけにはいかない。
裏にまわって、境内の隅を、そっと抜けることにしよう。
境内には、樹齢数百年単位の巨木が、圧倒的な存在感を持って、息づいている。
ものの気を感じるのか、固まってしまうチビ。
ボク等の存在なんて、毎年、散り積もる、落ち葉程度のもんよ。なっ、チビ。
もう一か月も経てば、色づいた葉っぱが、ハラハラと舞うようになるんだな・・。
ボク等の町で、一番古いアーケードじゃないかなあ。小学生の頃、すでにあった。
その後、商店会によって更新されたけど、この一角だけは、当時のままの姿を残す。
味のある看板。シャッター商店街じゃないよ!!
時間が来れば、ちゃんとシャッターが開いて、お店が始まる。
この地に、ひとり流れ着いたボクの祖父が、「六軒小路」で、ラジオを商っていたという。
最近、ルーツが気になりだし、この歳になって、初めて、親父に訊いて、知った。
祖父が生まれた村の名を、杉本苑子の「穢土荘厳」に、偶然、見つけたこともあったっけ。
小学生の頃、この一画に、「メーテンガイ」と呼ばれた、二階建ての建物があった。
「メ―テンガイで、何々、買ってきて。」と、よく、お使いを頼まれた。
メーテンガイ・・・「名店街」のことだと、ずいぶん、あとになって、気づいた。
朝っぱらから、自分のルーツだの、子供の頃の思い出だの・・・。 困ったもんだ。