「さざなみ」

結構な話題作だと私は思っていたのだが
土曜だというのに席は本当にパラパラと10人にも満たないような

いつからか気になる女優になっていた
シャーロット・ランプリングの最新作
ピンとした背筋、しなやかなスリムな体つき
理知的な面差し

愛の嵐の時代から
こうやって70歳の彼女を見ることのできる映画は本当に素晴らしい

夫婦の穏やかな日常の中に手紙という形で石が投じられた

やさしい妻、温厚な夫だった二人の気持ちがさざ波だつ

どうして今更こんなことが起こるのだろう

事故がなければ結婚していたはずの彼女が
27歳の姿のまま、氷河から発見されたという

夫は当然のように昔の恋人への思いにとらわれ
そんな夫をやさしく見守れない妻の苛立ちが拡がっていく

男と女の違いはどんなに年を経ても
やっぱりかなわないのだ・・・と思う

合理的な生を持った女性は上書きを繰り返して歩むことができる

そんな器用なことのできない男性は
いくつもの秘密をあちこちに散りばめてしまう

そうして
どうにでも許せる女性とそんなことのできない女性がいる

声色や表情や目の動きやひかりに心の機微はでてしまう


アカデミー賞ノミネート・・・
アメリカ的ではないので外国賞どまりでしょうか