デンマーク映画 「僕の家族と祖国の戦争」
原題は「Befrielsen」
デンマーク語で「解放」らしいけど・・・
第2次世界大戦 終戦間際、ナチス占領下のデンマークで
ドイツ難民の受け入れを命令された大学学長とその家族の物語だ。
息子セアンの過激な体験と動揺、12歳の少年らしい心の動きが
時には振り切るように進んでいくのがとても悲しく、そして恐ろしくもある作品だった。
ナチス占領下になった国々の フランス人たちの無言の抵抗や
サウンドオブミュージックでのオーストリアからスイスへ逃れる山越えのシーンを思い起こす。
戦火を免れたドイツ人難民は数百人で学校側は場所だけ、
体育館だけを提供するはずだったが
列車が到着すると難民は500人を超えていたのだ。
さらにナチス軍は管理はおろか、食料の配給さえしなかった。
人々は飢え、感染症が蔓延して子供や高齢者の死体が増えてゆく。
その光景を目の当たりにした家族のとった行動が
街の人々に疎まれ、命の危険にさらされてゆく。
子どもたちのレジスタンとナチスに分かれての戦争ごっこは
どんどん残酷になっていく。
ナチス側にさせられて木に縛り付けられ、
ズボンや下着を脱がされたセアン
助けを呼ぶ声を聞きつけて
ドイツ難民の少女ギセラは自分の上着を渡そうとする。
セアンの母に助けられたとはいえ、そんな孤児のギセラの優しさに救われた・・・
父や母、身近な大人たちの行動や葛藤を背景に
セアンの変わりようが心に残る。
こんないつどうなるのかわからない中で
彼らが決意を固めた頃、
大人たちのかすかな良心がかいま見られ
死の淵にいたギセラが快方に向かう様子にほっとする。
いちばん大切なものは何なのか、
自分だけならまだしも 家族も守らなければならない
街を出る最後のシーン
家族4人が堂々とすがすがしい表情で歩くシーン
これから何が待ち受けているのか・・・
だが、自分たちが人として正しいことをしたことに
みじんの悔いはないという
そんな晴れ晴れとした、不安を感じさせない顔つきが頼もしかった。
きっといいことがありますようにという思いで
並んで歩く家族を見詰めながら観終えた。
そうしていつの間にか目が濡れていた
戦争は本当に嫌だ。
絶対に嫌だ。
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