[訂正とお詫び]
元記事では、LED式シーリングライトのエネルギー消費効率は蛍光灯式よりかなり低いという指摘をしましたが、LEDシーリングライトと蛍光灯シーリングライトではエネルギー消費効率の算出式が異なるため直接比較できるものではないというご指摘をいただきました。ご指摘のとおり、私の方が誤っていました。
蛍光灯シーリングライトでは蛍光ランプの全光束を定格消費電力で除した値を使うのに対し、LEDシーリングライトでは照明器具から放出される全光束を定格消費電力で除した値を使うことになっています。蛍光灯シーリングライトの場合、器具から放出される全光束は蛍光ランプの全光束より少なくなるので、実際の明るさは表示より小さくなります。
[元記事]
天井に取り付けるシーリングライトは蛍光灯が中心でしたが、そのLED化が急速に進み、2011年の12月には販売数量の47%を占めたそうです。これは1月7日の日経に載った記事によるものですが、その記事には「LEDタイプは従来の蛍光管タイプに比べて消費電力が2~3割少ない」と書かれています。
これはまったく逆で、シーリングライトに関して言えば、LEDは蛍光管より大きく見劣りします。つまりLED式シーリングライトのエネルギー消費効率は蛍光灯式よりかなり低いと言うわけです(エネルギー消費効率はlm/W、つまり消費電力1Wあたりの全光束で表します)。
価格.comの絞込み機能を使えば両者を簡単に比較できます。家電→照明器具のシーリングライト→すべてのメーカー→「シーリングライト 詳細スペック検索」と進み、 ここで絞込条件を光源はLED(または蛍光灯)、並び順を「発売日の新しい順」として検索します。
LEDの検索で表示されるのは163件、新しい順の60件のエネルギー消費効率は約60~85lm/Wの範囲で、65ml/W程度のものが多くを占めています。これに対し蛍光灯での検索では2626件表示され、同様の60件は87~127lm/Wの範囲で、118m/W前後のものが多くを占めています。
65ml/Wと118m/Wをそれぞれの代表値と考えれば、LEDと蛍光管のエネルギー消費効率の比は実に約1.8倍となります。将来、LEDの効率は改善される可能性があるでしょうが、現在のシーリングライトは、世評とは全く逆で、蛍光灯に大きく劣ります。
上記は最近の機種を取り上げているので蛍光管は高効率のものが使われています(寿命も20000時間程度あります)。しかし古いタイプのものでも70ml/W程度の効率のものが多く、これでもLEDとほぼ同等です。記事にある「従来の蛍光管タイプに比べて消費電力が2~3割少ない」という記述はごく一部の低効率のものを基準にした場合にだけ言えるもので、このような表現は実質的にはインチキです。
LEDを無条件で省エネに貢献するものであると無知なマスコミが宣伝した結果、1.8倍も電力を食い、しかも2~4倍もする高額のものがよく売れるという奇妙なことになりました。シーリングライトは比較的使用時間が長く、こんなものが普及すれば原発1基分程度の電力が余分に必要になるかもしれません。
たとえば1リットルのガソリンで10km走る車と18km走る車があれば、その差はすぐ理解できます。照明の場合も同じエネルギー効率の問題であり理解は簡単です。しかしマスコミが伝える話からは、彼らはまったくわかっていないということが推測できます。その結果、節電とは逆の方向へと導きかねません。
現在、エネルギー効率はとりわけ重要な要素です。中学生でも理解できるものにもかかわらず、何万というマスコミの方々がそろいもそろって理解し検証しようとしないのは実に不思議なことですが、このような理解力の方々が大真面目にエネルギー問題を論じ、国の政策にも影響を及ぼすというわけです。
LEDのエネルギー効率など、ちょっと調べればわかることで、裏も取らずに報道するのは彼らの怠慢のためなのか、それとも科学的な思考能力の低さのためなのでしょうか。あるいは殺人事件や事故、政治家や芸能人の不祥事だけに関心を持つように彼らの頭が「特化」されているためなのでしょうか。恐らくこの三つすべてが該当するのではないかと私は思っています。
元記事では、LED式シーリングライトのエネルギー消費効率は蛍光灯式よりかなり低いという指摘をしましたが、LEDシーリングライトと蛍光灯シーリングライトではエネルギー消費効率の算出式が異なるため直接比較できるものではないというご指摘をいただきました。ご指摘のとおり、私の方が誤っていました。
蛍光灯シーリングライトでは蛍光ランプの全光束を定格消費電力で除した値を使うのに対し、LEDシーリングライトでは照明器具から放出される全光束を定格消費電力で除した値を使うことになっています。蛍光灯シーリングライトの場合、器具から放出される全光束は蛍光ランプの全光束より少なくなるので、実際の明るさは表示より小さくなります。
[元記事]
天井に取り付けるシーリングライトは蛍光灯が中心でしたが、そのLED化が急速に進み、2011年の12月には販売数量の47%を占めたそうです。これは1月7日の日経に載った記事によるものですが、その記事には「LEDタイプは従来の蛍光管タイプに比べて消費電力が2~3割少ない」と書かれています。
これはまったく逆で、シーリングライトに関して言えば、LEDは蛍光管より大きく見劣りします。つまりLED式シーリングライトのエネルギー消費効率は蛍光灯式よりかなり低いと言うわけです(エネルギー消費効率はlm/W、つまり消費電力1Wあたりの全光束で表します)。
価格.comの絞込み機能を使えば両者を簡単に比較できます。家電→照明器具のシーリングライト→すべてのメーカー→「シーリングライト 詳細スペック検索」と進み、 ここで絞込条件を光源はLED(または蛍光灯)、並び順を「発売日の新しい順」として検索します。
LEDの検索で表示されるのは163件、新しい順の60件のエネルギー消費効率は約60~85lm/Wの範囲で、65ml/W程度のものが多くを占めています。これに対し蛍光灯での検索では2626件表示され、同様の60件は87~127lm/Wの範囲で、118m/W前後のものが多くを占めています。
65ml/Wと118m/Wをそれぞれの代表値と考えれば、LEDと蛍光管のエネルギー消費効率の比は実に約1.8倍となります。将来、LEDの効率は改善される可能性があるでしょうが、現在のシーリングライトは、世評とは全く逆で、蛍光灯に大きく劣ります。
上記は最近の機種を取り上げているので蛍光管は高効率のものが使われています(寿命も20000時間程度あります)。しかし古いタイプのものでも70ml/W程度の効率のものが多く、これでもLEDとほぼ同等です。記事にある「従来の蛍光管タイプに比べて消費電力が2~3割少ない」という記述はごく一部の低効率のものを基準にした場合にだけ言えるもので、このような表現は実質的にはインチキです。
LEDを無条件で省エネに貢献するものであると無知なマスコミが宣伝した結果、1.8倍も電力を食い、しかも2~4倍もする高額のものがよく売れるという奇妙なことになりました。シーリングライトは比較的使用時間が長く、こんなものが普及すれば原発1基分程度の電力が余分に必要になるかもしれません。
たとえば1リットルのガソリンで10km走る車と18km走る車があれば、その差はすぐ理解できます。照明の場合も同じエネルギー効率の問題であり理解は簡単です。しかしマスコミが伝える話からは、彼らはまったくわかっていないということが推測できます。その結果、節電とは逆の方向へと導きかねません。
現在、エネルギー効率はとりわけ重要な要素です。中学生でも理解できるものにもかかわらず、何万というマスコミの方々がそろいもそろって理解し検証しようとしないのは実に不思議なことですが、このような理解力の方々が大真面目にエネルギー問題を論じ、国の政策にも影響を及ぼすというわけです。
LEDのエネルギー効率など、ちょっと調べればわかることで、裏も取らずに報道するのは彼らの怠慢のためなのか、それとも科学的な思考能力の低さのためなのでしょうか。あるいは殺人事件や事故、政治家や芸能人の不祥事だけに関心を持つように彼らの頭が「特化」されているためなのでしょうか。恐らくこの三つすべてが該当するのではないかと私は思っています。