Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

期待をさせる今は昔の新商品

2010-03-14 | 試飲百景
本年初の試飲会であった。春の試飲会は、前年の出来たてのワインを飲んでその出来具合から購入計画などを立てるのに大変役に立つ。そのような按配であるから必ずしもおいしいワインを試せて購入できる訳でないが、逸早い情報として樽出しのワインなどを一足先に試せるのは願ってもない体験である。

総括からすれば、バッサーマン・ヨルダン醸造所では上のような傾向から早飲みのブルグンダー種のワインを早めに瓶詰めしておいて、社長に言わせると「どうせ若いリースリングがお客さんも判断出来ないから」と両方の売り時期を意識している。

そうした明快な方針が功を沿うしていたのか、昨年のクリスマス時期から販売していたソーヴィニオン・ブランだけでなく、あまり良いと思ったことの無いピノグリまでが十分に買えるレヴェルに出来上がっていた。その中でも、シャルドネも立派で、些か大量生産品的な個性の薄さはあるが、ピノブランやムスカテラーやブランデュノワールに混ざって光彩を放っていた。やはり2009年の順調な春をここに留めている。

リースリングにおいては先日のグーツリースリングへの見解を社長に確認しておいたのだが、五月まで待つのも悪くは無い。いずれにしても2009年のリースリングは肌理の細かさがあるので、丁寧に作ってある、肌理の細かな味の出る土壌のものは大変期待出来る。酸の質も軽やかでいて核があるので、2005年産よりも軽妙でありながら、2007年産よりも重心が良いようだ。

もっとも皆の注目を与えたのが樽だし試飲のウンゲホイヤーSであって、今年からの新商品となる。我々が盛んに要望したシュペートレーゼ傾向のものという答えがこれである。要するに30ヘクトリッターまで収穫量を落としているのでグローセスゲヴェックスへとぐっと近づいている。それでもエグサが出ないところが嘗てのシュペートレーゼを思い出させる。少なくとも昨年までのそれからすると大文立派になりつつ、価格は14ユーロと最小限の上げ幅で押さえられている。残念ながらスクリューキャップのようだが、木樽でない限りそれほどの熟成は考えられずないので致し方ないだろう。

同じSシリーズにグラインヒューベルが並び、これは少し甘みが勝っているので価値は寧ろ落ちるかもしれない。それほどウンゲホイヤーが良かったということである。天然酵母醸造のアウフデアマウワーは、おそらく木樽だろうが、コルク栓で比較的お徳ではないかと感じた。今年のものが今までのなかで一番上手に出来ている。

赤ワインに関しては特に語ることもない。その中にあるシュヴァルツ氏の赤ワインはオーナーの名の醸造所産であるだけであまり興味を持つものは少ない。

おばさんが、「私は青年様式のエチケットが素晴らしいと思うのだけど、ブルグンダーのエチケットは嫌いよ。オーナーのニーダベルガーのセンスを疑うわ」と文句を付けるのである。こちらはそれに関しては色々と考えることがあるが、「いや昔は百パーセントリースリングでブルグンダーを醸造していなかったわけだからさ」と反論しておいた。そして、今2009年産のキーゼルベルクを買うなら2008年産にしておきなさいとアドヴァイスしてあげた。

レストランのソムリエの女の子に「今年はどう」と振った。「バランスが良い」までは良かったが、「長持ち」はどうだろう?
コメント
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