Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

なんだかんだいってもはじまらない

2010-03-10 | 文化一般
遺伝子操作されたジャガイモの栽培が申請から十三年掛かってEUで許可された。もちろんEU内では食用には禁止されているので、工業用の糊に使われる。

この問題は、アンゲラ・メルケル首相が立候補時から後押ししていた政治課題であった。食卓に化け物食品が乗る事は欧州人は認めないだけでなく、自然影響への悪影響が避けれないと考えるからである。実際今回のジャガイモの抗生物質性が新型の抗体を発生させると考えるからである。

実際問題、EU以外の食卓や環境がそうしたものに侵されている事象はまだ確認されていないと思われるが、今回の決定もそうした環境への影響はないと結論されたからである。化学会社BASFがこの分野においてどれほどの売り上げを上げていくかは知らないが、少なくとも嘗て売りはたいていた化学肥料分の商売はいづれこれで挽回出来ることになるのだろう。

しかし、諸外国のように遺伝子候学商品を食卓においておきながらバイオ商品とか有機商品とかスローフードとか言ってもはじまらないように思うがどうなのだろう。少なくとも農業にはそれなりの対応策もしくはバイオテクノロジーを使わない限りそれ相応の農業経営が成り立たない事は知られている。有機商品が高価になるのはバイオ植物種子の特許料が含まれているからと思っても良いのかもしれない。

さて、昨晩は環境に優しいワイン造りをするゲオルク・モスバッハー醸造所の買いつけ葡萄によるリッターヴァインを開けた。2009年産リースリングの味筋を見るには絶好の商品であった。

先週試した名門バサーマン・ヨルダン醸造所のグーツヴァインと比較すると、色もやや緑がちであるが標準的で味も良く纏まっていた。言い方を換えると昨年の同じ商品が酸が強くて得意な味を放っていたことから比べると上出来なのだ。それ以上にここ数年で最も素晴らしいリッターヴァインとなっている。良い伸びやかで肌理の細かい酸で、旨味も十分にある。おそらく培養酵母の種類からかラインガウのホッホハイム周辺のワインを髣髴させるようなスマートさが特に素晴らしい。

一度、尋ねて見なければいけないだろうがかなり上等のそれを利用したような形跡があり、リッター価格5ユーロ越えは先のものとは比較にならない価値である。

しかし、ここからが肝要である。このリッター瓶を心底楽しめるのは精々夏までぐらいで、それ以降は新鮮さが無くなって不味くはないが飽きてくるに違いない。それに比較して、先のグーツヴァインはなるほど今は酵母味があって美味しくないかも知れないが先一年ほどは成長が期待出来る。その成長の方向に何かが見得てくる筈だ。

ワイン街道でも一般の愛飲家は、こうしたリッターヴァインが見つかればそれで言うことはない。寧ろ、これに準ずるもっと適当なワインの方が一般的に消費されている。そして、このモスバッハーのそれとの違いは一ユーロ程の価格だけでなく質として誰もが分かる。しかし、所謂高級ワインと呼ばれるその入門の所にあるグーツヴァインに関しては価格も高く美味しいと感じなければ誰も買わない。関心がない。それで良いのだ。

なにもワイン如きに高踏的な意見を述べる必要はないが、審美眼とか批評眼とか必ずしも馬鹿に出来ないものが存在して、そうしたものが文化とか芸術とか呼ばれるものを形作っているのである。



参照:
ワインをただ飲むだけか、コレクターになるか。 ワイン好きが集まるブログ
葉緑素味の2009年産との出会い 2010-03-08 | ワイン
エコと呼ばれる遺伝子工学食品 2010-01-16 | アウトドーア・環境
コメント
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