Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

今後へ問いかけインタヴュー

2024-06-13 | マスメディア批評
先日新たに公表されたケルンでの演奏会、その背景が新聞記事のインタヴューで分かった。ティーテュス・エンゲルの予定表には入っていなかった「メルティング・ポット」というクロスオーヴァーの演奏会である。演奏会というよりもイヴェントというべきだろう。

内容はデスメタルの作曲家でその音楽アクセントから最も現代のブルックナーとなっているベルンハルト・ガンターの作品で、交響楽団に加えてラップやDJにブレークボクサー、ブレークダンサーが一緒にやるというものである。だから客層も双方からで、会場もホールなどではないパーティー会場。

そしてこのイヴェントは元々は地元の老舗のギュルツェニッヒ楽団をその首席指揮者ロートが振ることになっていたようで、今回のMeToo事件でサドンデスでお役目御免となったことからこの作品を既に指揮したことがあるエンゲルが飛び入りすることになった。知っていたらミュンヘンでなくてこちらに向かっていた。

初演のヴィーンでの映像が残っているようにコルネリウス・マイスター指揮で行われていたようで、それなりに再演されているらしい。しかしこうして同年配の指揮者三人が振るとなるとそれは偶然とは思えない。
melting pot, Bernhard Gander 1:1

melting pot, Bernhard Gander 1:2

melting pot, Bernhard Gander 1:3

2011 Wiener Festwochen melting pot

making of melting pot - Wiener Festwochen/into the city 2011


エンゲル以外の二人の指揮者の顔ぶれを見れば分かるようにどちらかというと保守的な指揮者のレパートリーとなっているようで、エンゲルからすると若干保守的な作品となろう。しかしインタヴューでは、異なる世界を文字通り混ぜ合わせるものだと語る。

指揮者ロートと話したかと尋ねられて、直接ガンターと話したと語るのは当然、何曲もその作曲家の初演をしているのはエンゲルであり一昨年もピアノ協奏曲をシュトッツガルトで素晴らしい演奏で行い実況中継された。そして、今回ラッパーからもその内容をテキストとして提出されて、その主旨を理解したと語っている。その方の総合音楽プロデュースに関しては第一人者であり彼以上にこういうことを上手くやれる人はいない。その意味からすれば指揮者ロートの比ではなく、楽団の後任に決まっているオロスコが如何に指揮の技術が卓越していてもこれからの音楽活動に成果を残せるとは全く限らない。そのことはまさしくここで新しい指揮者の立場が求められていて、その合意の在り方や機能について言及している。最早それ以外の指揮者なんて時代遅れの非芸術的な猿回しでしかないとなる。

そして興味深いことにクラシック音楽作曲家がそうした自由な表現の場を提供することになっているというのがとても興味深い ― このことは先日のバーゼルでの作品に深く関わっている美学的な今日からの視点となっている。

ケルン自体もフィルハーモニーの新支配人、更にペトレンコのアシスタントであったマリージャコーが放送交響団の主席になることに言及して、今後どうなるか、新たな道が拓けるのかと質問されている。それに対して、既に始まっていて、様々な道へと繋がっていて、今回の「メルティングポット」のように異なる層に訴えかけることであるとする。反対に現在の定期公演のようなプログラミングのあり方には大きな疑問を呈していて、象牙の搭に籠るようなそのようなものではなくて、新しいものへのより開かれたプログラミングなどが必要だと結んでいる。

この地元紙を読むとケルンでの活動が前提になっているようにも思われる。先行き不明のSWRのみならずWDRにおいてもジャコーらにだけは任せられないのでエンゲルを必要としているのではなかろうか。



参照:
„Melting Pot baut Brücken zum Publikum von Morgen“, Jan Sting, Kölnische Rundschau vom 11.6.2024
永遠朝七時の目覚まし 2024-06-11 | 女
文化芸術のデスメタル 2023-02-05 | 音
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