本当に何年ぶりかで小説を読んだ。
元々は、ベートーヴェンの伝記を読みたいと思っていたのだが、題名にベートーヴェンが入っているというだけで、中身も確かめずに借りてきてしまった本を読むはめになった。
伝記でもエッセイでもなく、推理小説?
確かに、登場人物の一人が殺され、犯人を突きとめるというストーリーもあるのだが、音楽について、なかなか興味深い内容でもあった。
舞台は高校の音楽専攻コース。主人公、高村亮の母親はピアノ教師。
そして、本当の主役(?)岬洋介は天才的ピアノ少年。
小説の中では、この岬洋介が、ベートーヴェンのピアノソナタ「月光」1~3楽章を弾き、同級生に衝撃を与える。
この曲の演奏の様子に対して、作者中山七里の描写はすごい。曲の細部に至るまで、綿密に描いている。ピアノに詳しい人なのだな。
それから、岬が弾いたもう一曲は、悲愴の1・2楽章だった。
この途中で突発性難聴が発症し、演奏ができなくなってしまう。
ベートーヴェンが聴力を失ったように、岬という天才ピアニストが左耳の聴力を失う。
だが、ちょっとおかしいと思うのは、突発性難聴という病気についてだ。
この病気は治ったり発症したりを繰り返すものではない。
一度聴こえなくなったら、そのまま聴こえないから、なんとか聴力を回復させるべく治療をするのが普通で、その結果、いくらかは聴力が回復する。
元通りに完璧に戻るということは難しいそうだ。
小説の中では、演奏中に急に左耳が聴こえなくなり、左手の演奏ができなくなったなどと書かれていた。
ピアノの演奏は左手の音を左耳で聞き、右手の音を右耳で聴くわけではなかろう。(確かに左が聴こえなければバランスは悪くなるだろうが)
そして、ここでは突発性難聴は、一度発症した人は、何度も突然音が聴こえなくなる症状のように書かれているのだ。だから、恐ろしくて演奏も安心してできない等と記されているが、そういうものではない。
この辺は、思い込みではなく、ちゃんと調べて書いてもらいたかった。
・・・
高校のクラスメートの冷たい仕打ちなど、本当にそんなものなのかとげんなりするくらいだ。
名前のある登場人物は数えるばかりであり、悪い人間と良い人間に分かれる。
3/5追記:上記は、下書きのまま放置してあったものですが、一応公開にしておきます。内容は、本当は、ちゃんと書き直さないといけないのですが、とりあえず、読んだってことを記録しておくため、まとまらないままです。未完成です。