昨夜は、「テセウスの船」の最終回を見た。
このドラマは、最初のころたまたま見て興味を持ったのだが、そのときにパソコンで原作のあらすじを見たところ、犯人だった子供の殺人動機があまりにも気持ち悪くて、そんな内容ならば見るのをやめようと思ったのだった。
ところが、その後もたまたまテレビをつけていてこのドラマが目に入ったところ、心役の竹内涼真さんの演技がものすごくすばらしいのであった。
そして、妻上野樹里の一生懸命さ、強さ、やさしさと、2人の心のつながりに引き付けられ、この人たちを応援し、もっとドラマを見たいという気持ちがあふれてきた。
猟奇的な犯人の気味悪さや、真実に目を向けようとしない登場人物に対する苛立ちは常にあるが、それにも増して、それに立ち向かう家族の絆や愛情が良く描かれていた。
だからこそ、このドラマに引き付けられていったのだろう。
最後は、過去の世界にタイムスリップした心が、命を懸けて父を守ったことにより、未来を変えることができた。
そして、良き結果に変えられた未来で、家族睦まじく食卓を囲んでいる。
ハッピーエンドだ。
そこにいる心にも家族にも、最初に歩んだあの辛い人生はみじんもなく、過去から現在に至るまですべてが書き換えられているのだろう。記憶もないのかな。それとも生まれてくる赤ちゃんに「未来」と命名するのは、記憶があるからなのだろうか。
殺人犯の息子として生まれ育ち、あの辛い状況の中で父親の無実を証明しようと戦った心(竹内涼真)の姿こそ、人々に感動を与えるものであった。
そのおかげで平和な現在を勝ち得たが、その光景に不思議な違和感?みたいなものを感じた。
それが、「テセウスの船」の意味らしい。
すべてを構築しなおして出来上がった船は、果たして元の船と同じ船だと言えるだろうかとのこと。
これは確かに妙な感じがする。こんな結末も見事である。
とにかく、今回一番印象にのこったのは、竹内涼真の演技がうまかったということ。
その他のキャストも、家族も悪役も脇役も演技は見ごたえがあった。
あの髪の毛クルクルの二重瞼の男の子の演技もすごい。唇が印象的。
竹内涼真は「陸王」では陸上選手の役で、それほどの演技力は特に感じなかったが、ここ数年で役者としてすごい成長をしている。表情・表現力がすばらしい。
この人はいい俳優だ。将来性がある。