コロナウイルスによって、読書をする環境が作られた、というのも皮肉なものである。
私はここ数年、小説というものをほとんど読まなくなっていたのだが、なぜかこの1週間で2冊も小説を読んでしまった。
それは、2月の末から、喉と咳の変な風邪をひいてしまって、自宅にこもっていたからだ。(コロナおよび風邪症状(区別がつかん)の人間は自宅待機)
熱はないので、コロナではなさそうだし、近くの図書館までウォーキングするくらいの体力は十分にあった。
近頃、ユーチューバーピアニストのフォルテ君に感化されて、ピアノソナタを弾いたりしていて、ベートーヴェン生誕250年ということもあり、ベートーヴェンの生涯を知りたくなったのだった。
そこで、ベートーヴェンの伝記を読もうかと図書館に探しに行ったところ、貸出可能図書からみつかったものは中山七里の「どこかでベートーヴェン」「もう一度ベートーヴェン」くらいしかなかった。これはベートーヴェンの生涯とは関係ない架空の現代小説である。
なぜ伝記がなかったか?
それもそのはず、その図書館ではベートーヴェン生誕250年を記念して特設コーナーを作るために、ベートーヴェン関係の本を貸し出し図書から除外して準備しているところだった。だから、ベートーヴェンに関する本が無いわけだった。
そんなことで、幸か不幸か、中山七里の小説を借りてきて読んだわけだが、これは結果として、「幸」であった。いや、なかなか面白い。
特に岬洋介シリーズは、現在ピアノ曲にはまっている私にぴったりの作品だ。
ということで、ベートーヴェンと名の付く2冊をあっという間に読み終えた。
そこで、中山七里という作家についてwikiで調べてみた。
すると、この人は、子供のころから読書家で、作家を目指していたものの、若い時に応募した作品で文学賞が取れなかったので、すぐにあきらめ、普通のサラリーマンをしていたそうだ。しかし、48歳になってまた小説を書きだし、ついに賞を取り、作家になったのだそうだ。
1961年生まれというと、私よりちょっと若いくらいで世代はほとんどかわらない。
なんか親近感がわく。
ピアノに関しては全くの素人だそうだ。あんなに細密に曲の部分について書いているのに、信じられないようだ。
奥さんがエレクトーンの先生だとか?そして子供が二人いる普通の家庭の人のようだ。
作品は、音楽系ではない別の種のものもいくつかあるらしい。
そして、昔から推理小説を読み漁っていたので、素養があるのであろう。
48歳からでも作家になれるんだなあ~。しかし、私は60歳だから無理だな~。
でも、読むことへの復帰ならできそうである。
ここ15年ほど、理工系の文書ばかり読んできたので、小説というものにはほとんど接してこなかった。久しぶりに読んでみると、知らない言葉がたくさんでてきて驚いた。やっぱり語彙が偏っていたのだろう。
中山七里という作家が気に入ったので、「このミステリーがすごい」大賞の「さよならドビュッシー」が無いかと図書館で探した。
その他にラフマニノフでもショパンでも良い。
だが、その手のものは残念ながら一つもなかった。(貸出中?)
しかたがないから、音楽家とは関係ない題名の1冊を借りてきた。
これを読んでいるうちに、コロナがなくなりますように。