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映画・演劇のレビュー

金蘭会高校,中学校『火男の火』(2025版)

2025-03-30 04:48:00 | 演劇
金蘭会演劇部が久しぶりにこの大作に挑戦した。山本先生がいなくなってもキンランは今までと同じように精力的に活動を繰り広げる。だから見に行く。ただ今回は僕のスケジュールの都合で、最後まで見ることが出来なかったのは残念だった。だけど彼女たちの最新作を70分間ちゃんと目撃できてよかった。これは2部構成2時間30分に及ぶ作品である。(途中休憩15分を含む)100分まで見るつもりだったが、前半部分の1時間10 . . . 本文を読む
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川本三郎『陽だまりの昭和』

2025-03-29 08:19:00 | その他
川本さんのエッセイ集である。昭和をいろんな局面から描く。あの頃を懐かしむ。記憶に残るさまざまなこと、もの、ひと。あの頃の『暮らし』、『女性たち』、『青春』、『おしゃれ』、『楽しみ』。さらには『子どもの遊びと学校』と続いて、最後は『食の風景』に至る。7章からなる。ここで語られる昭和は関東大震災の大正12年から昭和20年8.15敗戦を経て、東京オリンピックの39年までを指す。川本三郎さんはこの後日本は . . . 本文を読む
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樋口六華『泡の子』

2025-03-29 08:12:00 | その他
第48回すばる文学賞の受賞作だ。こういうのが、新人文学賞は好きみたいだけど、僕は苦手。特に最初の方は読んでいても何も頭に入ってこない。ただ文字を読んでるだけ。観念的なことをグダグダ書いてあるけど、意味はない。たぶん。新宿東口を舞台にした少女の地獄めぐり。歌舞伎町の『王』が逮捕された。3日後,彼は自殺した、というところかは始まる。だけどこれは『王』の話ではない。彼の死後の町を彷徨う17歳の少女。彼女 . . . 本文を読む
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近藤史恵『風待荘へようこそ』

2025-03-28 23:07:00 | その他
眞夏は45歳、主婦。夫からいきなり離婚を突きつけられ、16歳の娘は夫についていくというからひとりぼっちになる。君をずっと愛してなかったなんて言われ、好きな人ができたとか言われ、結婚するからさっさと離婚届に判を押してくれ、って。酷すぎる。これまで夫の仕事のために自分は仕事を辞めて専業主婦として暮らしてきたので、今は仕事はしていない。親や姉からも絶縁状態だから行くところもない。あり得ないことがいきなり . . . 本文を読む
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『鬼才の道』

2025-03-28 20:20:00 | 映画
今年の大阪アジアン映画祭で日本初上映されたばかりの新作が早くもNetflixで配信スタートした。しかも『冥界タレント協会』なんていうおバカなサブタイトルをつけられて。だけど、これはこんなアホなサブタイトルがピッタリのとことんバカな映画である。これが真面目な映画が多い大阪アジアン映画祭で上映された、だなんてそれだけでも笑える。呆れるくらいにとことんバカバカしい。幽霊もつらいよ、って感じの映画。チェン . . . 本文を読む
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第46回大阪春の演劇まつり プレビュー

2025-03-28 10:38:00 | 演劇
昨日、第15回ウイングカップの後夜祭(表彰式、講評会)が終わったばかりだけど、明日は「大阪春の演劇まつり」の前夜祭。その後は(たぶん)HPF(大阪高校演劇祭)というラインナップが続く。今年のウイングカップは4団体。エントリーは5劇団だったが公演延期が出たためだ。だけど4劇団ともに、とてもいい芝居だった。若くて、やる気のある元気な劇団が自分たちにしか出来ない作品を携えて自信を持って参加してくれたのが . . . 本文を読む
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『BAUS 映画から船出した映画館』

2025-03-27 15:13:00 | 映画
吉祥寺バウスシアター(井の頭会館、ムサシノ映画劇場)の90年に及ぶ日々を描く。だけど、これは映画としてはあまりに酷い。低予算で作ったから、というだけでなく、これは劇映画ではない。ならばせめてドキュメンタリー映画として作ったらよかったのにと悔やまれる。中途半端な作りと思い入れが映画を歪な作品にした。映画は再現ドラマの域にも達していない。錚々たるメンバーを集めてこんな小芝居しかさせてもらえないのでは役 . . . 本文を読む
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『スィート・イースト 不思議の国のリリアン』

2025-03-27 14:27:00 | 映画
70年代のインディペンデント映画を見ている気分。ざらついたフィルム映像は今時のクリアなデジタル映像とは違う。そっけない編集にドキュメンタリータッチのお話。これはニューヨークのインディペンデント映画界で20年以上にわたり活躍してきたという撮影監督ショーン・プライス・ウィリアムズという人が長編初メガホンをとった作品らしい。なるほど。納得。だけどこんな映画を本気で作る人がいるなんて驚きだ。今時こういう映 . . . 本文を読む
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井上先斗『イッツ・ダ・ボム』

2025-03-27 03:18:00 | その他
これはグラフィティやストリートアートというものについて、まるで知らなかったことを教えてくれる。日本のバンクシーと呼ばれるブラックロータス、グラフィティライターTELLを通して落書き(ボム)はアートなのかを問いかける。主人公のアツシはブラックロータスの作品を見て、これを足掛かりにして自分の本が書けると踏んだところから話は始まる。ボムは作品ではなくただの落書きなのか。バンクシーはアートではなくあれも落 . . . 本文を読む
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『少年と犬』

2025-03-26 15:00:00 | 映画
こんなシンプルなタイトルで感動ドラマ(たぶん)を演出するのは、すっかり「メジャー大作映画ならオレに任せろ」という感じになった瀬々敬久。そつなくどんなタイプの映画でもこなし巨匠の風格すら漂わせる。だけど僕はやはりインディーズで(国映のピンク映画だが)暗い作品を撮っていた頃の彼が好きだ。今回もなんだかあまり乗れなかった。見る前は感動の押し売りを危惧したが、見た映画はまるで違う作品だった。だけどなんだか . . . 本文を読む
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『悪い夏』

2025-03-26 11:14:00 | 映画
これは城定秀夫監督が本領発揮した嫌な感じの映画。どこまでもとことんやるのが城定流。彼の佳作『女子高生に殺されたい』でやったことをさらに突き詰めたような映画になった。竹原ピストルが素晴らしい。あんな嫌な小物がこの映画を象徴する。ズルくて,汚くなくて。強いものには媚びへつらう。優しいものにはつけ入る。彼だけではない。嫌なヤツ、ズルいヤツしか出てこなくて、そいつらがとことん嫌なままでラストまで突入する。 . . . 本文を読む
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森沢明夫『桜が散っても』

2025-03-26 06:17:00 | その他
突然春真っ盛りになったが、そろそろ桜が開花する時期になってきた。ということでまずこのタイトルの本を読むことにした。森沢明夫だから、安心して読める。だけどあまり多くは期待はできない。安全パイって感じ。だけど今回は少し驚く。最初思った話から強引に逸脱していく。もちろん僕が勝手に想像しただけで森沢明夫は最初からこういう展開を目論んでいたのだろうが。冒頭の死から始まるミステリーかと思ったら、もちろんそうじ . . . 本文を読む
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五十嵐貴久『死写会』

2025-03-25 16:55:00 | その他
こんなにも単純でおバカなタイトルを堂々とつけたホラー小説なら受けて立って読んでみようか、と思った。別に受けて立つ必要はないけど、ね。まぁつまらなかつたら途中で止めればいいし、という軽い気持ちで手にした。それに映画界を舞台にした作品である。少し気になったし。ということで、読み始めたのだが、聞きしに勝る(というか、何も聞いてないけど)エグさ。こんな荒唐無稽な小説でいいのか、と呆れる。まぁエンタメ・ホラ . . . 本文を読む
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額賀澪『夜と跳ぶ Re.東京ゴールデン・エイジ』

2025-03-25 06:43:00 | その他
シリーズの第2作。東京オリンピック金メダリストのストリート・スケートボーダーとそのフィルマーとなったカメラマンのふたりがロスオリンピックを目指す。前作がとても面白かったから今回も楽しみにして読んだ。漫画みたいな小説で読みやすい。ただ今回は「スポーツもの」というよりも「事件もの」になっている。それはそれで悪くはないけど、なんだか安物の連ドラみたいだ。麻薬取引現場を目撃して拉致されたり、児童誘拐犯にさ . . . 本文を読む
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『その花は夜に咲く』

2025-03-24 16:32:00 | 映画
『第三夫人と髪飾り』のアッシュ・メイフェア監督の第2作。今回も抑えたタッチで静かに哀しい愛の物語を描く。ただ、前作同様きれいな映像が流されていくだけで、そこにお話はついていかない。悪い映画ではないけど、内容がない。というか、想いが伝わりきらない。決してスカスカで無内容だ、なんて言わないけど。でも正直言うとそんな感じ。トランスジェンダーを扱う映画だけど、彼女の想いが描きれないからこちらも表面的にしか . . . 本文を読む
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