『GANTZ』2部作を作った佐藤信介監督なので、きっとそれなりには楽しめる映画に仕上がっているはず、と思い見た。『GANTZ』の原作者による作品の映画化なのだが、結果的に、あの映画とは違ってこれは期待外れの作品になってしまった。なんだかとても残念だ。
佐藤建は前作『亜人』でもこういうバトル映画に挑んでいたが、前作同様映画自体が空回りして、見せ場がない。どちらも対戦シーンばかりが突出してお話自体が . . . 本文を読む
『火花』に続く又吉直樹の第2作なのだが、前作の「漫才」に続いて今回はなんと【小劇場演劇】を取り上げた。余計なお世話だろうけど、こんなマイナーな題材で大丈夫か、心配する.お話は前作と同じパターンなのだが、背景が芝居となると、なんだか気恥ずかしい。自分が芝居をしているわけではないけど、芝居をしている人たちをよく知っているから、ついつい現実をスライドして見てしまう。あまりに身近すぎて、冷静に読めない。
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今、川端康成のこの小説を映画化するという意味がまるでわからない。そこが謎だから、その理由が知りたくて見てみた。DVDにはメイキングが付いていて、30分に及ぶ丁寧なもので、そこには監督の想いがちゃんと言葉で綴られていて、彼の意図は明確になる。しかし、企画意図と仕上がった映画とは別物だ。まぁ、そんなこと、わかりきった話なのだが。
とても綺麗な映画だ。ためいきがでるほどに美しい京都の風 . . . 本文を読む
『ペンタゴン・ペーパーズ』に続いて2ヶ月連続でスピルバーグの新作が見られるという幸福。しかも、シリアスな前作とは打って変わって今回はSFで、ジュブナイル。スピルバーグの持ち味を充分に生かし切った設定にお膳立て。だから、これに期待しないわけがない。ワクワクしながら見た。
ゲームの世界に入り込むという意味では先日公開の『ジュマンジ ウエルカム・トゥ・ジャ . . . 本文を読む
ベテラン劇団の芝居を見るのは気が重いのだが、チラシの文章に誘われて見たくなった。そこには「別役のお芝居がこんなにも楽しく、面白いのです。」とある。それをどういうかたちで実現しようというのか、興味津々で見る。
こういう不条理劇を理解するには理詰めで納得していくしかないのだが、そうすると、途中でなんだかわからなくなったり、つじつまが合わなくなってしまい、お手上げにあることもままある。だから、なんとな . . . 本文を読む
時代は1970年代初め、怒濤の時代。だが、芝居はそんな時代から隔離された老人ホームを舞台にして、老い先短い老人たちの戦いが静かに描かれる。2部構成3時間に及ぶ大作である。春から始まり、夏の盛りまで、約半年間のお話なのだが、ラストではなんと30年後21世紀に突入する。語り部である女性のモノローグで幕を閉じる、ということだ。しかし、そこにはドラマチックな展開はない。エピローグは変わるこ . . . 本文を読む
本広克行監督最新作。なのに、なんと、驚きのつまらなさ。まるでヒットしていないのも当然の残念な出来。どうしてこんなことになってしまったのか。気になって仕方がない。前作『亜人』もあれだけの意気込みで挑戦したにもかかわらず、残念な映画になっていたが、今回はあの比ではない。
唖然として、たった94分の映画なのに、長い長い。苦行だった。これはいろんなところで、いろんなことがカラカラと空回り . . . 本文を読む
オリゴの短編集はとても面白い。長編では描けない不思議な世界を提示してくれるからだ。切れ味の鋭さが岩橋さんの持ち味で、それが遺憾なく発揮されると凄いものが見られるはず。と、今回も楽しみにして見に行く。
だが、期待は裏切られることになるから、面白い。なんと、これは「短編集」と銘打たれてあるにもかかわらず、長編スタイルの作品に仕上げてあるのだ。要するに短編連作ということ。3本の短編は独 . . . 本文を読む
昨年に続いて今年もだらく館がウイングにやってきた。昨年は見ることが出来なかったので、ラッキーだった。3本のプログラムは変わらないまま、というのもうれしい。出来ることなら3本とも見たかったのだが、2本しか見られなかったのは悔やまれる。1本が約1時間。その中でひとりの芸人の人生を描くひとり芝居。
『贋作・トニー谷』をまず見た。清田正浩が演じる。終戦時の天皇による玉音放 . . . 本文を読む
『月とキャベツ』の篠原哲雄監督が初めて「学園もの」の少女漫画に挑戦した。これまでいろんなタイプの映画を作ってきたけど、彼の原点は、やはり『月とキャベツ』だ。あれがキャリアのスタートだし、あれが最高傑作だろう。あんなにも爽やかな青春映画はなかなかない。僕はあの1本で彼の虜になった。そんな彼がさらっとしたタッチの時代劇大作の『花戦さ』に続いて取り組んだのが本作である。典 . . . 本文を読む
スピルバーグはこの複雑に絡み合った群像劇を2時間以内の作品として仕上げて、真正面からストレートにメッセージを突きつけてくる。要はすべてを失うことになるかもしれない賭けに挑む1人の女性とその周囲の人たちの命がけの告発劇なのだ。あの懐かしい『大統領の陰謀』に繋がるドラマ。先日見たオリバーストーン新作『スノーデン』の内部告発劇と同じパターンなのだが、彼以上にスピルバーグは単純明快。
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3日で高校を辞めて工場で働くことになった少女。中学時代や、高校時代(3日だけど)以上の理不尽なイジメの巣で働きながら過ごす日々。そんな中、中学時代イジメで友人を自殺に追い込んだ女と再会し、(職場の同僚がその女のお母さんで、)お誕生日会になんと自殺した女の子の姉(保険の外交をしていて彼女の工場に出入りしている)とともに呼ばれることになる。そこで彼女が祖母の介護をしているという事実を目 . . . 本文を読む
3つの短編が組み合わさってひとつの物語になる短編連作。25分、30分、35分と少しずつ長くなる3作品3人の女性。最後にそれぞれのエピソードのその後が(3つが絡まる形で)提示される。別々のストーリーだったはずなのに、微妙に重なり合うけどそんなことどうでもいい。この同じ世界で生きている以上常に世界中の誰かとつながっている可能性がある。その程度の関わりである。でも、そんな淡さがなんだかうれしい。自分はい . . . 本文を読む
映画に続いて、小説でも早くも今年ベストワンに出会ってしまった!今年の春はラッキーだった。『西洋菓子店プティフール』も素晴らしかったけど、この繊細で傷つきやすいクローゼットの中の洋服たちを描いた物語はそれ以上だ。そして、ここにはクローゼットに閉じ込められた2人ともうひとりの物語が描かれてある。これもまた、女2人と男1人という3人の物語だ。そこでの性差は関係ない。2人と1人という3人というのが大事にな . . . 本文を読む
「一生ものの友達 一生ものの恋 ともに奏でた音楽 僕らの10年の物語」このコピー通りの映画が作れたならこれは「一生ものの映画」になるのではないか。監督は青春映画の騎手、三木孝浩。ピアノ、ドラム、ジャズ。彼の得意の音楽ものである。デビュー作『ソラニン』、代表作『くちびるに歌を』に続く音楽を扱う3作目だ。主題歌はもとオフコース(敢えて、ここではそう書く。あの頃のテイストを想起させるから)の小田和正。脚 . . . 本文を読む