『翔んで埼玉』や『テルマエ・ロマエ』の武内英樹監督なので、もしかしたらバカバカしくて楽しい映画になっているかも、と、ほんの少しだけ期待して劇場に入った。のだが、これはあまりに酷い。2時間が地獄だった。深田恭子はいくつになってもかわいいし好きだから、TVシリーズも、ときたまだけど「ながら」で見たこともあるけど、たわいもない話でつまらないので、ちゃんと1話分を見たことはなかった。でも、今回は映画である . . . 本文を読む
死んでしまう2人の男女が死の直前の「狭間の世界」で出会い、ふたりきりで過ごす時間が描かれる。不思議な場所に放り込まれて、困惑する。でも、受け入れざる得ない。まるで面識のないふたりが、同居することになる。でも、この世界には彼らしかいない。半径15分圏内の世界で、でもなんでも叶う世界。そこに閉じ込められて、出られない。
登場人物は彼らふたりだけ。いや、そこにサカキと名乗る中年女がやってきて、彼らの置 . . . 本文を読む
リドリー・スコットの最新作は初心に戻って、シンプルな決闘を描く。デビュー作である小品『デュエリスト 決闘者』を彷彿させる作品だ。それを『グラディエーター』並みのスケールで描く大作である。これまで彼は手あたり次第という感じで、さまざまなタイプの映画を作ってきたのに、商業主義の器用な便利屋ではなく、なぜか作家主義のアーティストだ。ヒットメイカーだし、大ヒットする大作映画を数々手掛けたのにもかかわらず、 . . . 本文を読む
映画を見てこんなに泣いてしまったのは久しぶりのことだ。ある特定のシーンだけではなく断続的に泣かされていた。いろんなことが琴線に触れたのだろう。原作を読んだ時にも泣いてしまって困ったけど、その比ではない。小説は冷静に対応できるけど、映画は感情的になるということも影響したのだろうか。目の前で彼女たちが自分の今と向き合い、戦っている。そのことに涙する。決して泣き言は言わない。どちらかというと2人はへらへ . . . 本文を読む
僕はこんな小さな映画や小説が好きだ。(この映画の原作も素晴らしい。窪美澄の同名短編小説だ。)『DUNE 砂の惑星』のような大きな映画を見た後だから、余計にそんな気分になったのかもしれない。大作より小品というわけではないけど、同じように丁寧に作られた映画だという意味では共通する部分もあるだろうけど。較べる必要も意味もないけど、なんとなくそんなことを思う。でも、この2作品はたまたまだけど、少年少女の成 . . . 本文を読む
なんだか幸せな気分になる。仕事をやめて半年余りになるが、その間ハローワークに通いながら、毎日仕事のない日々を過ごしている。最初は世の中から置き去りにされてしまったような不安で毎日息苦しかったけど、だんだん今の生活にも慣れてきた。慣れとは恐ろしいものだ。ただ、コロナのせいもあるけど、あまり人に合わなくなったし話をしないのは問題だな、とは思う。ただ、毎日1冊から2冊本を読み、映画も2本ペースで見て、映 . . . 本文を読む
『メッセージ』『ブレードランナー2049』のドゥニ・ビルヌーブ監督の最新作であり3本目のSF映画。だけど期待したほどではない。いきなりタイトルで「PART ONE」と出たのには驚いた。確かに膨大な原作のすべてをこの1本の作品になかに注入するのは不可能だろうけど、続編の製作が決まっていないにもかかわらず、このタイトルはないだろう。それもまた作り手の覚悟の表れなのだろうけど、最初から1本で完結しないと . . . 本文を読む
今まで数多くの新選組を描いた映画やドラマがあったけど、こんなにも凄い作品はなかったのではないか。土方歳三ひとりにスポットを当てて、彼があの時代をどう生きて、どう死んでいったのかを描く。
彼は自分を一切曲げない。時代に流されない。そんな頑固なまでもの一途な生きざまを岡田准一が、ぶれることなく、見事に演じ切ってみせた。彼のキャリアの頂点を極める作品に仕上がった。全編よそ見することもなく、ずっと彼を中 . . . 本文を読む
とても不思議な映画を見た。ドイツとアゼルバイジャンの合作映画らしい。監督は『ツバル』のファイト・ヘルマーだということを見終えてから調べて知った。あの映画の監督ならこのテイストは理解できる。それにしても何をやろうとしたのか、わかるようでよくはわからない。
前半のタッチと後半ではまるで違う。主人公である機関車の運転手の日常のスケッチから映画は始まる。線路は人々の生活圏の中を通る、車両のほんのすぐ近く . . . 本文を読む
久しぶり山本文緒の小説を読んだのだが、これがまぁとても面白くて、ぐいぐいひきこまれた。お話の仕掛け、展開が見事で、読み終えたとき「やられた、」と思う。最初の4つの短編はまさにそんな感じだ。でも、今回の目玉は最後の2編。こちらは敢えて仕掛けない。さらりと日常を切り取る。でも、その同じようにさらりと切り取られた日常が、お話の仕掛けのせいで驚きで世界が歪んで見える前半の4篇以上に何もなさげなのに驚きに見 . . . 本文を読む
オークワフィナ主演のアメリカ映画。彼女は先日見た『シャン・チー テン・リングスの伝説』の印象が強烈なので、彼女が出てくるだけで、釘付けにされる。もしあの映画を見てなかったら、この映画に対する印象は変わったはずだ。せめて、昨年劇場公開時にこれを先に見ていればよかった。それくらいに『シャン・チー』の彼女は主人公のシャン・チーなんかよりずっと印象的だったのである。それって(僕にとっては)渥美清がどの映画 . . . 本文を読む
ウイリアム・フリードキン監督の77年作品。大ヒットした『エクソシスト』の直後満を持して手掛けた作品だ。キャリアの頂点に立ち、全精力を投入した渾身の一作だった。なのに、ヒットしなかった。なぜ、こんなことになったのかは今では謎だ。埋もれていたこの映画は完全版として数年前に再公開された。
40年以上前の映画にこれほど感動させられるとは思いもしなかった。評判は聞いていたけど、これは評判以上の衝撃である。 . . . 本文を読む
『ありえないほどうるさいオルゴール店』の続編だ。前作から舞台となる場所を南の島の離島へと移して、また、同じように7つのお話は展開する。静かな島にひっそりとたたずむオルゴール店。そこにやってくる様々な事情を抱える人たち。ここにたまたまやってきて、この穏やかな佇まいの店主とのやりとりや、もちろんオルゴールを通して、自分たちの今を見つめ直し、自分の今へと戻っていく。ファンタジーではないけど、こんな不思議 . . . 本文を読む
2021年の夏(7月30日~)中国国内で公開されたばかりの『盛夏未来』がNetflixで配信がスタートした。Netflixは凄い。思いもしない作品がどんどんいきなり登場してくる。今までなら公開されるかどうか、わからないし、1年も2年も待たされることもよくあったこの手の小さな作品まで、速攻で公開される。劇場で見れるかわからないので、さっそく見てしまった。
恋愛映画なのだが、設定が面白い。しかもこん . . . 本文を読む
主人公はひとりの少年。彼とある有名俳優(ジョン・F・ドノヴァンだ)との文通を通して、自分らしく生きることの意味を問いかける。29歳の有名俳優が7歳の少年からのファンレターに返事を書く。彼らの文通はなんと100通に及ぶ。だが、その事実を隠さなくてはならなくなる。美談にしてもいい話なのに、それがゴシップにされてしまう。彼の性癖がその行為を異常な行為に変えてしまうのだ。もちろん彼に不純な想いはない。マス . . . 本文を読む