『武士道シックスティーン』と連動する企画として作られた変則スピンオフ作品。5つの短編を、『武士道シックスティーン』の主役の2人(成海璃子と北乃きい)がそれぞれ単独で主役を演じる。5つのクラブ(部活動)を舞台にした連作である。演劇部、茶道部、野球部(これはちょっと普通ではないけど)、調理部、弓道部の5つ。それを本編の監督である古厩智之だけでなく、犬童一心、永田琴、沢村一樹(!)の3人が演出を担当し . . . 本文を読む
10歳から19歳までの時間。その断片の数々が、こまぎれに描かれる。別にそこには、特別な何かがあるわけでもない。どちらかといえば、全く何もない。記憶のかたすみからこぼれ落ちてしまうような時間ばかりが取り上げられている。ほんの数分間のことだったり、半日くらいのことだったりはするけど、いずれもそこには何のドラマもない。
各エピソードの時系列はバラバラで、10歳の頃から19歳の間を自由に行き来する。 . . . 本文を読む
お話自体はいかにも唐十郎という感じで、おもしろい。相変わらず何が何だかわからないまま、どんどん話が進展していくのもいい。「リアカーひいて冷ややっこの王子が今とおる」なんていうコピーには心惹かれるし。劇の構造も人間関係もいつも変わらない。稲荷卓央の青年が藤井由紀のヒロインとともに(まぁ、自分からですが)事件に(というか、これを事件と呼ぶべきか)巻き込まれ、さまざまな敵対する人々に揉まれながら、真相 . . . 本文を読む
こういうアクション映画がめっきり減っている。セールスポイントがないから、公開してもヒットが見込めないからだろう。この手の映画は直接DVD公開され、誰にも顧みられることなく消えていく運命になる場合が多々あるのだろう。主役がリーアム・ニーソンというところもちょいと渋すぎて危険だったが、彼は昨年『96時間』でなかなかいいところを見せて、映画自身もそれなりにヒットさせたから、今回もなんとか劇場公開される . . . 本文を読む
往復の電車1日で、読み終えることができた。なんともお手軽な小説。単行本1冊がこんなにも一瞬で読めるなんて、なんか詐欺見たいだ。それでも面白かったなら文句は言わないが、こんなぬるい小説では、納得いかない。まぁ、図書館で借りてきた本なので、文句を言う筋合いではないのだが、本屋で購入した人はきっと怒っているのではないか、と心配になる。でも読みやすいし、口当たりもいいから、喜ばれているのかも。まぁ、人そ . . . 本文を読む
相変わらず、字幕なしで映画を見ていると、まるでセリフはわからないから会話のシーンが退屈で仕方ない。今回は香港映画で、刑事もののアクション映画なので、会話の内容がわからなくても、映像を見てるだけで、だいたいの話はわかるから助かるのだが。
これはとてもスタイリッシュな映画だ。そのことにまず驚く。こういうなんでもないアクション映画なのに、こんな感じである。この映画だけでなく、最近の香港映画はなんだ . . . 本文を読む
昨年韓国で大ヒットとなったドキュメンタリー映画だ。こんなにも地味な内容なのに、評判が評判を生み、気づくと一大ムーブメントとなったらしい。79歳になるじいさんと彼に添い遂げる(予定)ばあさんが、40年間飼い続けた牛を手放す話だ。
年老いてもう働けなくなった牛を売りに出すが、本当は手放せない。結局家に連れて帰る。畑仕事もままならないけど、ずっと今まで一緒に過ごしてきたから、家族みたいなものだ。結 . . . 本文を読む
これは6話からなる長編小説だ。相変わらず伊坂幸太郎は上手い。2股でも大概なのに、なんと5股をかける星野という男が主人公。でも彼はプレイボーイではない。それどころか、難の取り柄もないような、どこにでもいそうなふつうの男だ。5股だけど。そんな彼が「バス」に乗せられる。地獄行きのバスだ。そのための監視役が身長180cm 体重180kgの大女、繭美。これは彼女が星野と2人で彼の5人の女たちの所を訪れると . . . 本文を読む
四国、愛媛県のとある高校のおんぼろ書道部。そんな彼女たちが書道パフォーマンスに挑戦し、町おこしに貢献する。映画としては、ちょっと緩い作り方で、青春映画としても中途半端だ。書道部の面々(8人)は、しっかり色分けされているけど(男子3人は完全に色物だし、添え物でしかないのだが)ある種のパターンでしかない。あれだけ墨を、何度となく盛大にまき散らすのも、どうだかなぁ、とは思う。
シャッター商店街の活 . . . 本文を読む
伊藤俊也監督の久々の新作である。東条英機を描いて物議を醸した『プライド』以来ではないか。しかも、今回の素材は伊藤監督お得意の社会派で、事件ものだ。これを見逃すわけにはいかない。『誘拐報道』の感動を再び、と期待して見たのだが、まるで乗り切れない映画だった。こんなはずではない。我が目を疑う。だが、これが事実だ。
大体、もうこういう素材自体が古い。80年代ならともかく、今の時代にこういう刑事物は合 . . . 本文を読む
ロードムービースタイルの短編連作。と、いうか、1話完結の7話からなる長編作品。ひとつの場所で、ワンエピソード。読み切りスタイルというのは、昔よくあったTVドラマ的で最近の小説では珍しいパターンではないか。TVドラマでも最近はこのパターンは減っている。
佳代が移動式キッチン車に乗って日本中を旅していく。15歳の時に居なくなった両親を捜しながら。様々な場所で店を出し、いろんな人たちと出会っていく . . . 本文を読む
仕事を解雇されたチェ・ミンシク演じる男が、事故で死んだ出稼ぎの同僚の家族のもとを訪ねて、ネパールまでやってくる。家族に彼の死を知らせ、遺骨を渡すためなのだが、ヒマラヤの村に辿り着いた彼は、彼の家族や、村人たちの優しさに触れ、本来の目的を果たせなくなる。映画は、ただ、それだけのことが静かに描かれる。韓国人はチェ・ミンシクだけしか出ないし、ネパール人は当然韓国語を話さないし、彼らは寡黙だから、ほとん . . . 本文を読む
『東京バンドワゴン』の小路幸也が、音楽をテーマにした短編集に挑む。読んでいて、何度となく涙が出そうになる。こういうハートウォーミングってあざといな、と思いつつも、なんか胸が一杯になるし、とても正直な話なので、素直に泣いてもいいぞ、と思う。とてもいい気分にさせられる。
音楽っていいな、と思う。音楽なんてなくても生きてはいけるけど、音楽があるから、生きていける。老いてボケが始まっているミュージシ . . . 本文を読む
今時、白いソックスを履いて、ワンピースを着た女なんて、どこにもいないだろう。だけど、この映画の北川景子はそんな姿でスクリーンに登場する。これは監督の美意識なのだろうが、同時に、そんな姿を通して描くひとつの「ここにはいない夢の女」の話なのである。彼女は心が空っぽになってしまった「はかないもの」として、象徴的にここに存在する。そんな抜け殻のような彼女をただ追いかける。死んだように生きる若い女。事故の . . . 本文を読む
これは2009年制作のスイス映画。(DVDによると、発声はドイツ語とあるが、スイス人はドイツ語を喋るのか?)こういうタイプのSF映画って、最近は劇場公開されなくなっている。お金もかかるから、制作自体も少なくなっているのかもしれない。大体今時こういうタイプの映画ってもう古い気がする。今の時代の気分ではない。
SFX自体はとてもよく出来ている。でも、肝心の話自体はものすごく地味で、この手の映画を . . . 本文を読む