今週はこれ1本。これで今年20本目の芝居となる。最近、芝居をあまり見ない。見たいと思うものがあまりないからだ。でも、見たいものはちゃんと見ているから、それでいい。
浪花グランドロマンがテント興行を一時中断して、新たな覚悟で挑む本作は、なんと別役作品だ。小さなサイズのチラシもかわいい。今までのNGRとは一味違う作品に仕上がっている。
「不条理と不可思議たっぷりの、別役ワールドな2 . . . 本文を読む
この本、読んだことある、と思わせるのは、『家日和』も『我が家の問題』も既に読んでいるからだ。おなじようなお話が並んでいて既視感を抱かせる。(それは内容だけでなく本自体の装丁デザインも同じだからなのだが。)
でも、いつもながら、上手い。引き込まれる。どこにでもありそうな普通の家族の話なのだ。でも、それがこんなにも、心に沁みてくる。どんどん読み進めて、すぐに終わる。後に残らない。それ . . . 本文を読む
最初タイトルに「喜劇」と付けられていたのではないか。いくらんでも、今の時代にそれはないよ、と思わざる得ない。完成から公開までかなり間が出来たのはいくら山田洋次でも、これはセールスが難しいと踏んだからではないか。お蔵入り覚悟で制作されたのかもしれない。それくらいに、今の時代に作れないタイプの映画なのだ。
チラシのかたすみには、《「男はつらいよ」から20年、待望の喜劇!》と、小さく書かれてある。監督 . . . 本文を読む
『マリーゴールド・ホテルで会いましょう』の続編。インドの高級リゾートホテル(でも、今はまだ、おんぼろ)を舞台にして人生の最終章を優雅に過ごそうとするイギリス人たちが、なんのなんの余生ではなくここから人生をスタートさせるという、老人を元気にさせる映画。最近、映画のターゲットは若い女性層から、老人にシフトチェンジしているから、この手の映画が増えてくる。しかも、こういう映画がちゃんとヒットするから、量産 . . . 本文を読む
いしいしんじ『よはひ』、と、ひらがなが並ぶ。よはひ、ってなんなんだ、と気になるけど、説明なし。想像は充分できるし、読んでいると、そうだろう、と確信が持てるから、いい。もちろん、作者のねらい通り、そのわけは書かない。 (「弱い」じゃなくて、「夜這い」でもなくて、「よはひ」は、「齢」でもない)
昨年話題になった『港、モンテビデオ』には乗り切れなかった。途中で読むのがつらくなった。だけ . . . 本文を読む
なんだこれは、と思うわせるほどに、この小説はへんてこで、そのことを、包み隠さず描くから、とても好感が持てる。これを気取ってされると、きっと、鼻につく。おまえはカフカか、と突っ込みを入れられるはず。そんなことわかってるから、確信犯です、と居直る。
この人物は実はいません、とか、これはもう死んでます、とか、そういういきなりの説明がおかしい。わかりました、と思わず答えた . . . 本文を読む
自宅でドニー・イエン最新作特集を勝手に挙行する。それにしてもこの2本の大作映画におけるドニーはあまりに精彩を欠く。CGを駆使したアクション映画ではバリバリの肉体派の彼を必要としないからだ。合成でなんでも出来てしまうし、たとえ過激なスタントを生で彼が演じても、それすら合成による加工に見えてしまい、興ざめしてしまうからだ。だからジャッキー・チェンはこういうタイプの映画には出ない。
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この映画はとても気になっていた。でも、わざわざ見るのはなぁ、とも思うし。でも、えいやぁ、と借りてきた。昨年同時に2本、地味に公開されていた。アメリカでは大ヒットしたから、すぐに続編が作られたのだろう。しかし、日本ではすぐには公開しなかった。(2013年作品)それくらいにためらいがあったということか。大作ではない。低予算のB級アクション映画だ、とも言える。だが、この扱う問題はかなり際 . . . 本文を読む
もうすぐ今年も大阪アジアン映画祭が開催される。先日ラインナップが公開され、チケットの販売もスタートした。オープニングの『湾生回家』は即日ソールドアウトされたらしい。(発売と同時に購入して正解だった。)これは昨年の大阪アジアン映画祭クロージングを飾った映画だ。4月には劇場公開されたので、いくらでも見る機会はあったけど、見逃していた。(オープニングの『白河夜船』も先日見たばかり)いいタ . . . 本文を読む
『父、帰る』のアンドレイ・ズヒャキンツェア監督の第2作、第3作が昨年一挙公開されたとき、ぜひ、見たいと思った。でも、またまた、見逃す。2本1日で見るにはしんどい。だからといって日を分けて見るには上映期間が短い。そんなこんなでどうしようか、と思っているうちに、上映が終わる、といういつものパターンだ。先日DVDになったので、2本まとめて借りよう、と思うけど、これも、また、なかなか決断で . . . 本文を読む
「ウイングカップ4」で最優秀賞を受賞した作品の再演である。初演の時、この危ない題材の取り扱いと、圧倒的な未整理なままの情報量に、ちょっと待てよ、と思わされた。今回はそこをきちんと整理して、すっきりさせた状態にして再演するはずで挑んだのに、中川さんは「以前より詰め込んでしまいました」とパンフで書いているし、同じことを劇場の入り口でお会いした時、直接本人からも言われた。
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これはおもしろい。これを作るのは、一見簡単そうに見えて、とても難しいはずだ。あるテーマに沿って作られた2,3分の掌編を30本並べて見せる。今回のテーマは「お金」ということだ。当日パンフには「OPEXはEXPOのアナグラムでランニングコストという意味の経済用語です」とある。実にスマートでわかりやすい解説で、企画意図も明確。そこで「演劇にまつわる様々なコスト」を考えるという。このフラッシュフィクション . . . 本文を読む
バックパッカーたちの旅があれから22年を経て、どう変わったのだろうか。それをさらに14年を経た今、どう見つめるのか。平田オリザの代表作『冒険王』の続編が昨年作られて、上演されたとき、ぜひ、見たいと思った。城崎まで見に行く気満々だったけど、時間の都合で見られなかっただけに、今回の公演はとてもうれしかった。しかも、『冒険王』と2本同時上演である。
2002年という時間 . . . 本文を読む
久しぶりに彗星マジックを見た。とても気持ちのいい作品だった。勝山さんはほんとうに上手い。それに主人公を演じていた村井友美さんがとても素敵で、彼女を見守るオール女性キャストによるアンサンブルもすばらしい。こういうエンタメは小劇場演劇のひとつの魅力なのだろう、と改めて思う。これを1stのような小さな空間で見ることのできる幸福。
お話自体は宮澤賢治の童話世界のようで、ま . . . 本文を読む
以下、一応、「演劇エキスポ」のレポートとして、犯罪友の会のレビューを書いてみよう、ということにする。
犯友の傑作『白蓮の針』が「演劇エキスポ」のために上演された。これまでも何度となく上演されてきた作品なのだが、現在のフルキャスト・ヴァージョンでの再演となる。この1本を見ると、武田一度さんがどれだけ凄い作家なのかが一目でわかる。これは彼の持つすべての . . . 本文を読む