最近の映画の特徴は、不必要なまでにスピード感を大事にすること。そのおかげで、何が映っていたのやらよくわからない、なんてことも、ままある。カットの切り変わりが早すぎるのだ。昔のジャッキー・チェンなんか、いつもスーパーアクションは、2.3度繰り返し見せるくらいのサービスをしてくれていた。まぁ、それってTVじゃないんだから、あんまりだが、でもそういうサービス精神はそれはそれで貴重だ。だが、今時の映画は . . . 本文を読む
なんだかとても落ち着く。いつものマイペースで芝居が始まり、流れていく。西川さやか脚本、上原日呂演出。2人のコンビは最強だ。ここには誰にも真似のできない脱力感が漂う。(誰もこんなの、マネしたくないだろうが)
ほんとうに、どうでもいいような話だ。何がしたくて、こんな話を作るのか、と言うと、きっと何もしたくはないからこんな話を作るのだ、と返されそうだ。じゃぁ、つまらないのか、と言われると、これが、 . . . 本文を読む
このバカバカしさは半端ではない。この2人のあほらしさは、今まで数々のコントで見て、誰もが認知しているはずだが、今回短編連作というスタイルを踏みながらも、気分は完全長編作品という偉業を為し遂げる。永遠のモチーフである「青春」をテーマにして、情熱的な熱いドラマが繰り広げられるのだ。ここにはなんと、ちょっとした感動がある。
とてもバカバカしい。なのに、笑ってしまう。口当たりがよくって、さわやかで、 . . . 本文を読む
図書館で何も読む本が見つからず、ブラブラしていた時、全く何の期待も抱かずに手にした本である。なんとなく新作コーナーで目にして、手に取っただけ。なのに、それがこんなにも、心に沁みた。
文芸の編集者が主人公。1冊の本を世に送り出すまでのお話。ただそれだけ。こういう地味な内容の小説ってめずらしい。一応ラブストーリーの体裁にもなっているけど、あくまでもそれはついでにそんな展開も生じた、という程度の話 . . . 本文を読む
これが『エイリアン0』であることは、事前に分かっていた話だし、それなりの覚悟はしていたけれども、それはものの例えで、ここまであからさまなものだとは思いもしなかっただけに、あのラストシーンには驚いた。これでは、先日の『遊星からの物体X ファーストコンタクト』と変わらない。リドリー・スコットともあろう人がこんな安易な映画を作るのか、と、それにも驚く。
人類の起源をたどる旅、という触れ込みだったか . . . 本文を読む
高倉健6年振りの新作である。老齢になり体調がすぐれないから映画に出なかったわけではないらしい。もちろん仕事がなくて開店休業というわけでもない。ただ、本人が映画に出る気分にはなれなかった、というのが理由らしい。チャン・イーモウとの仕事を経て、いろんなことが、よくわからなくなった、なんてインタビューで話していた。
本人じゃないから、そんなこんなはわからないし、そんなことはどうでもいい。だが、高倉 . . . 本文を読む
舞台には水盤(間口360cm×奥行270cm×水深12cmの浅いプール、つまり「水盤」)が用意された。これを使う。ここでどんなパフォーマンスを見せるのかが、それぞれの演者に与えられた使命だ。今回挑戦するのは、6名のダンサー、パフォーマー、役者。特別参加で栃村結貴子さんと、久保田寛子さんも参戦する。
出演者は、青山郁彦 / 遠藤智子 / HARMONISM / 村本すみれ(MOKK)(+関典 . . . 本文を読む
こんな地味な映画がどうして公開されるのか、と不思議に思った。しかも、東京ではヒットしているらしい。大人の観客を集めて、ミニシアターで、確実な集客が出来ているのなら、それってまだまだ映画には可能性があるということの証明になるのではないか。この一見時代錯誤のラブストーリーの魅力を見極めるために、劇場に行く。
1944年、ポーランドのユダヤ人強制収容所。そこで、恋に落ちた。脱走し、生き延びるも、別 . . . 本文を読む
とても刺激的なタイトルだ。こんなにもシンプルで、恐ろしいタイトルの芝居が何を描くのか、興味深々で対面した。「僕らは鉱山のカナリアなんだ」というコピーも気になる。
だが、正直言うと期待はずれ。何が一番問題かというと、死んでしまった少年がまるで見えてこないこと。もちろん作者のねらいは、彼ではなく、その周囲にいる大人たちであることは、明白だが、それでも、中心には彼がいるし、屋上から彼が飛び降りたと . . . 本文を読む
とても大胆な構成の映画だ。だが、野心的というのではない。高校生たちの生活をリアルに描くためには反対にこういう破天荒なスタイルを取る方がよかったのだ、と見終えて確かに思う。普通の生活を淡々と見せる以上に彼らの日常をリアルに切り取ることが出来たのではないか。
バレー部のエース桐島が、突然部活をやめるという噂(事実だが)が駆け抜けた瞬間を起点にして、地方のとある高校での5日間の出来事を、時系列をぐ . . . 本文を読む
ドキュメンタリー映画で、家族のことを描いてきたヤン・ヨンヒ監督が初めて劇映画に挑む。だが、素材は一貫している。70年代に北朝鮮に集団移住で行った兄の話だ。夢を抱いて、北に帰った在日朝鮮人と、残された家族。帰国事業を通して、その後のそれぞれの現実を描くには、困難を極める。残された側からの視点ではなく、向こうに行った側の現実は描けないからだ。
ヤン・ヨンヒ監督は、フィクションを通して、現実をどこま . . . 本文を読む
『ダイハード4・0』を監督したレン・ワイズマンが、ポール・バーホーベンによって20年程前に映画化された作品のリメイクに挑む。主人公が、超人シュワルツェネッガーから、普通の人コリン・ファレルになっただけで、全くイメージの異なる作品となった。ちゃんとリアルなのだ。ディックの短編小説の映画化で、イメージとしては同じ原作者によるリドリー・スコットの『ブレードランナー』に近い感触を目指しているようだ。特に . . . 本文を読む
初めてイロリムラに行った。こういうスペースってなんだかうれしい。ここを拠点にしていろんなことをしようとする。ここにくればきっと面白いものに出会えれる、そんな気分にさせてくれる場所って、幾つあってもいい。中庭の左奥にあるプチホール(慎ましいネーミングだ)での公演である。中庭から続くレッドカーペットがホールへとつながる。入り口から、劇場内部。更にその先へと。これがこの芝居の唯一の舞台美術である。シン . . . 本文を読む
何がなんでも一刻も早く見るしかないだろう。『アベンジャーズ』である。娯楽映画には本当はあまり興味ないけど、最近は難しい映画はパスして、娯楽に徹している気もする。まぁ、何でもいい。死ぬほど忙しいから、いつも疲れている。だから、その隙間を縫って見る映画はこういう映画になる。空き時間でも見やすい映画だ。本当に見たい映画は見に行けない。時間がないからだ。大林宣彦監督の『この空の花』が一番見たいのだが、見 . . . 本文を読む
久々に濱野京子の小説を読んだ。彼女の新刊ならすぐにでも読みたいのだが、図書館で見かけなければ、ついつい読み逃す。この本も2010年10月刊行なので、もう2年近く前ではないか。まぁ、そんなものでしょう。
相変わらず、である。いろんな意味で。でも、それが嫌ではない。というか、実に心地よい。ワンパターンの謗りは免れ得ないはずだが、この特別な場所を巡る話は、彼女の黄金のパターンだ。そして、孤独な少女 . . . 本文を読む