東かほり監督は作家で歌人の東直子の娘だと昨日知った。テアトル梅田で手に入れた映画のチラシを見て。それは彼女の劇場用映画第二作だ。小泉今日子が出る。とても面白そう。予習を兼ねてこの映画を見た。というか、先日この映画がAmazonプライム・ビデオに入っているのを見つけたのでマイリストに入れていた。これは劇場公開時に見ようと思っていた作品である。昨年これもテアトル梅田で上映されていたけど、時間が合わず見 . . . 本文を読む
こんなタイトルってある? 原題ではもっとストレートに『死について(考える)』とある。寂しい町。ひとり暮らしの若い女性フラン。趣味はない。強いて言えば仕事。だけど、仕事が楽しくて、というわけではない。人付き合いが苦手。恋人もいない。恋愛経験もない。自分が死ぬことを空想するのが、趣味かも。そんな主人公を、あの『スターウォーズ』のヒロイン、デイジー・リドリーが演じる。ほとんどセリフはない。しゃべらないか . . . 本文を読む
400ページを越える長編である。しかもこんなにもシンプルな話。それがなかなか進展しないから読んでいて少し心配になる。イライラするくらいに話は進まない。
真夜中に出会うふたりの高校生。引きこもりで不登校の彼。夜中に出歩く悪い子になりたいと願う彼女。ふたりは毎日のように深夜の公園で会う。だがこれはラブストーリーではない。
彼は人と接するのが怖い。だからずっと人とは会 . . . 本文を読む
穂村弘のエッセイ集。とても楽しい。穂村弘は迷子を楽しむ。それは僕が知らない町をふらふら歩いて街歩きを楽しむのと似ている。街歩きをしていると思いもしないものと出会う。出会わないこともある。そのときは少しがっかりする。迷子にはよくなる。だいたい地図を持たないから、勘だけを頼りにして歩くからいつも失敗する。でもまぁ、暇だからいい。一応スマホはあるから迷えばマップを見る。だけど、あの地図は信用ならない。
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史上最低の映画を見た。見る前から酷いと思っていたし、評判も最悪だけど、どこまで酷いのか、チャレンジして見ることにした。東映とフジTVが人気バラエティ番組の20周年記念で作った劇場版映画みたいなのだが、一体なぜこんなものを何を思って作ったのか? 訳がわからん。
だいたいバラエティ番組が映画になれるはずもない。ドラマ性をしっかり盛り込み楽しめる映画にしますとか、なんとか言ってたけど、バラエティのよさ . . . 本文を読む
これはとても高校生らしい作品だ。幼いながらも(失礼!)精一杯背伸びしている。だけど、そんな(無理する)ところが微笑ましいし、好ましい。中編作品の2本立。前者は、高校時代からの4人の友だちの話。彼らの過ごす長い歳月。その中の日々をいくつかの点景として描く。数年に何回かある飲み会での描写が中心になる。ラストはコロナ禍のオンライン飲み会まで。もう1本の後者は、17歳最後の日を繰り返す男の子の夏の一日を描 . . . 本文を読む
こんなアニメ映画が作られた。最初はまるで見たいとは思わなかったけど、監督が山下敦弘(久野遙子と共同)で、脚本はいまおかしんじ。主演は森山未來。これが小さな子ども向けの甘いアニメ映画なわけはない。いろんな意味で、怖いもの見たさで劇場に行くと、なんとこれは21世紀の『となりのトトロ』だったのだ。驚きである。
確かに前半は少しかったるい。ダラダラした単調な話に眠くなってきた。これは失敗か、とも思うけど . . . 本文を読む
久々の再演となる。もう初演から10年になるらしい。今回は上田一軒演出ではなく、横山拓也自身による演出だ。iaku初期作『流れんな』を全編広島弁に改稿して描く2024年版。とても繊細な芝居である。横山さんはそれを丁寧に描く。
先日見た劇団未来の『パレードを待ちながら』はオリジナルを全編大阪弁として上演したが、敢えて地方語への変更が作品にどういう変化をもたらしたか。気になるところである。なんて思いな . . . 本文を読む
永久允監督による中編映画に、そのドキュメンタリー(こちらは監督山西竜矢)をセットにして劇場公開された森田剛主演作品。2本続けて見る。そういうふうに見せることでこれは1本の長編映画になる。2本は背中合わせの作品であることはこのタイトルが如実に示している。
デス・デイって何か。バース・デイならわかる。お誕生日。みんなで祝う。おめでとうって。ではデス・デイは? なんとかやり過ごすしかない。あなたが死ぬ . . . 本文を読む
今回阪本先生と仰星演劇が挑むのは野田秀樹の傑作戯曲。仰星としては5年振り2度目の公演になる。2時間の長尺をたった7人のキャストで挑む。今さら内容で触れることはない。ラストの圧倒的な美しさ。それに尽きる。この芝居はここに至るための2時間だったのだ、と改めて思う。まさに阪本さんらしい引っ張り方。圧巻だ。阪本先生の期待に兄を演じた田中紗世が見事に応える。間の取り方も完璧。さらなる高みを目指す阪本作品完成 . . . 本文を読む
上田啓輔の企画、演出、主演による公演。先月のwomen'sによる公演に続いて今回は男たちだけでの公演となる。横山拓也の傑作戯曲に挑戦する。劇団大阪では今までも横山作品を3度取り上げてきて今回で4回目となるが、今回は上田さんの個人プロデュース。彼のこの作品への深い思い入れが充分に込められた作品に仕上がっている。
とても怖い話である。だが、そこは彼らにとってはなんでもない日常。いつもの一 . . . 本文を読む
中高生に向けてのメッセージである。鴻上尚史からの、決して上から目線ではないけど、確かなこの指針は今を生きる彼らに届くか?
鴻上さんはストレートに、自分が感じた想いをわかりやすく伝えようとする。大人目線の「しったか」ではなく、決めつけでも、ましてやおもねりでもない。わかりやすい言葉で語りかける。もう十分大人の僕は鴻上さんが子どもたちに何をどう伝えようとするかを、興味津々で見ることになる。少しイジワ . . . 本文を読む
こういうネタで長編作品を作り上げるところに大谷演劇の凄さを感じる。目のつけどころが素晴らしいだけでなく、それを踏まえてしっかり突き詰める。しかも軽やかなタッチで。高校演劇あるあるというショートコントになるようなネタにこだわり、感動的な友情物語に仕立てた。バックステージものは、一歩間違えたら、自己満足のただの楽屋おちになる。だから冷静な判断と適切な描写が必要になる。つかこうへいの『蒲田行進曲』の例を . . . 本文を読む
NGRの新作が今回もウイングフィールドに登場する。最近は完全にここが主戦場になった。昔はアトリエでの小さな芝居、テントでの大きな芝居(テント芝居をやめてもう10年になる)と並行してここでの普通クラスの芝居と3本立だったけど、今はこのスペースをベースにして、さまざまな試みをする。30年以上劇団を維持してして、しかも浦部さんを中心にしたオリジナルメンバーが抜けることなく劇団運営をしている。それだけでも . . . 本文を読む
時々時空を超えてしまう不思議な小学校と近くの池。今回は6年2組の面々のお話。今までの作品とは少し違ってファンタジーだが、まるで違和感はない。それどころか、自由でリアル。戦時下の昭和も、50年後の未来もここでは同じように目の前の現実。
うさぎ小学校とうさぎ池。(雨佐木と書く)ここで不思議と出会う子どもたち。大人たちも。彼らの小さな物語。15のエピソードは15人の子どもたちを語り部にして展開する。少 . . . 本文を読む