
ポール・シュレイダー脚本、監督作品。マーチン・スコセッシが製作総指揮してプロデュースする。ふたりは『タクシードライバー』の名コンビである。そして、これはあの頃のテイストの再来を思わせる作品でもある。70年代後半からすでに50年の歳月が過ぎた。あっというまに若かったふたりも老人になっている。そんなふたりが再びタッグを組んで挑んだ。オスカー・アイザック主演。
ギャンブルの話ではあるが、底にあるのは悔恨。捕虜収容所で犯した罪。刑務所から出た後、静かにカジノで稼ぐ日々を送っていたが、ひとりの青年と出会い彼の復讐に加担する。人生を奪われた彼を支えるために何ができるか。
ポーカーの世界大会の話も背後にはあるけど、これはギャンブルの話ではなく、あくまでも悔恨の話。自分の罪と向き合い、青年を救うことで贖罪とするが、それはあまりに自分勝手な解決でしかない。ラストの元上司であるウィレム・デフォーとの対決もあっけない。
悪い映画ではないけど、地味。しかもいろんなところでなんだか物足りない。当然だがあの『タクシードライバー』の再来にはならない。