今度はこういうタイプの「ヒーローもの」のアクション映画が生まれてくる、というのは必然なのかもしれない。そんなことを見終えて思った。こんなアクション映画だとは思いもしないで見た。もっとふつうのサスペンス映画か、なのかか、と思っていた。なのに、つかみどころのないごたごたした展開から、突き抜けると、ヒーローものになる。ちょっとした驚きだ。
今はやりのSFXを駆使した派手な(ばかりの単細胞)ヒーロー . . . 本文を読む
「今のところ」の自分たちを振り返る。ここまで突っ走ってきた自分たちって何?
17歳で大人に混じって負けないように芝居を作ってきた。高校生なのに、なんて言わせない。高校で演劇を学びながら(公立高校の演劇科に在籍している)でも、そこで教えてくれるものとは全く違うものを表現しようとする。
今回初めてこの劇団(集団)の芝居を見て、そのとんがったところがいいな、と思った。彼ら(作、演出は小山雄太)はい . . . 本文を読む
母は故郷の村で一人暮らししていた。少し認知症の気もあった彼女が行方不明になってから1年半が経つ。最後に会ってから5年。突然、三女のところにやって来た母は以前とは印象が違う。顔も少し違うし、全体的になんだか違和感がある。別人ではないか、と思うのだけど、本人は母親だと主張し、話すことや仕草は確かに母親そのものなのだ。彼女は「自分は山姥になったのだ、」と言う。
本人は「自分は山姥になったからこんな . . . 本文を読む
鈴木雅之監督の『プリンセストヨトミ』は、原作には及ばないけど、とてもよくできた娯楽大作だった。今回彼は再び同じキャストを使い、この歴史大作に挑んだ。コンセプトは同じで、舞台が大阪から京都に移し、豊臣から織田信長に変わる。
今を生きるふつうの女性が偶然から歴史の大きな分岐点に立つことになる、というお話だ。それをコメディタッチで見せていくのも前作を踏襲している。ただ、前作は万城目学の原作があった . . . 本文を読む
たなぼたが北村成美と組んで作り上げた作品。ダンスと演劇のコラボ。でも、そこはたなぼたであり北村成美である。一筋縄ではいかない。なんだかとても泥臭い作品で、親しみやすい。カッコ悪い。でも、そこが魅力でもある。だいたいこのタイトルである。タイトルそのままのお話。というか、あまり話はない。特に前半は「これはなんなんだ?」というくらいに作りが緩い。明確なストーリーラインがあるのに、そこから逸脱していく。ダ . . . 本文を読む
こういう地味な映画がちゃんと作られて、全国東宝系で公開されるって、いいことだ、と思う。パッケージングはジャニーズ事務所のタレントを使ったアイドル映画のスタイルを踏み、キラキラ青春映画(今発売中のキネ旬が、たしかそういうようなネーミングをしていた)を装うけど、これはその手の映画とは一線を画する。だって、原作は少女マンガではなく、瀬尾まいこの小説である。恋愛小説だけど、高校生のシーンもたくさんあるけど . . . 本文を読む
杉野希妃の第1回監督作品。2作目のほうが先に公開されていて、そちらはもう見ているけど、実は、あまりおもしろくなかった。だが、こちらは実に刺激的な作品だ。8年間の歳月の中で、3つの恋愛を3つの時間のなかで描き、そこにひとりの男の姿を切り取る。
ただの恋愛映画ではない。面倒くさい女たちに弄ばれる男を描くように見せかけて、弱いつまらない男の当然の帰結を描く。杉野監督の視線は辛辣で、怖いくらいだ。3 . . . 本文を読む
沖縄から始まる。ひとりの女性の生涯を描くのだが、確かにこれはこれで大河ドラマである。だけど、よくある女の一代記ではない。まるで昔話でも語るようなタッチだ。過酷なお話なのに、なんだかほのぼのしている。
まるで関係ないけど、このタッチは陳凱歌の新作『道士下山』を思わせる。これはファンタジーではないのに、まるで、遠い昔のお話のようだ。リアルでなくてもかまわないし、こんなにもリアリズムなのに、リアル . . . 本文を読む
新年1本目の映画はド派手なバカ映画がめでたくていい。そこでこの映画にした。なのに、これがなんだか真面目なのだ。
まず、前作の続編という当たり前のことがちゃんと律儀に守られてあるのに驚く。こういうばかばかしいコメディはいい加減でいいから、前作のお話なんか了承事項としてすっ飛ばして始めるのがパターンなのに、なんてマジメなんだぁ。でも、そんな真面目さすらふざけているように思わせるのが、実はこの映画 . . . 本文を読む
こんなにもシンプルなタイトルの映画はなかなかないだろう。しかもこのタイトル通りの内容である。ある若い道士が山を下りて下界に下り、人生を知る。それだけのお話だ。陳凱歌の新作である。
世界を代表する巨匠の待望の最新作なのに、日本ではなんと劇場公開すらなされないまま、DVDリリースである。だが、その理由はわからないでもない。アート映画ならまだしも、こういう単純な娯楽映画を今の日本の観客は彼に求めな . . . 本文を読む
今年最初の芝居。ウイングカップ参加作品。初めての集団と接するときは、いつもなんだかドキドキする。どんな世界を見せてくれるのか、そこにはまだ見たことのないような世界が広がるのか。それとも、どれだけがっかりさせられるのか、とか。SF的な世界観を持つ作品は、当たり外れが大きいから、かなり怖い。チラシは雰囲気があって期待大。ちゃんと内容も説明してあるから、台本は早い時期にできているのだろう。これは主宰であ . . . 本文を読む
真利子哲也監督の商業映画デビュー作。初期の自主映画は何本か見ていたし、中編映画も何本か見たけど、これは満を持しての長編作品となる。想像通りの過激な作品で、彼のスタンスは変わらない。というか、想像以上に激しい。こんなにも挑発的で実験的な作品を作るのか、と驚く。
見るものを不快にさせる。理由のない暴力は人を不安にさせる。不安な気持ちを煽る。だが、それはただ、観客を刺激して不快感を募らせたいわけで . . . 本文を読む
① 『雪の轍』 ヌリ・ビルゲ・ジェイラン (トルコ)
② 『セレナの惑い』 アンドレイ・スビャキンツェア (ロシア)
③ 『白い沈黙』 アトム・エゴヤン (カナダ)
④ 『幸せのまわり道』 イザベル・コイシェ (アメリカ)
⑤ 『フレンチアルプスで起きたこと』 リューベン・オストルント (デンマーク)
⑥ 『ホワイトゴッド 少女と犬の狂詩曲』 コ . . . 本文を読む
① 西川美和 『永い言い訳』
② 小川糸 『ツバキ文具店』
③ 森絵都 『みかづき』
④ 角田光代 『坂の途中の家』
⑤ 白石一文 『記憶の渚で』
⑥ 柚木麻子 『幹事のアッコちゃん』
⑦ 畑野智美 『夏の終わりのハル』
⑧ 羽田圭介 『コンテクスト・オブ・デッド』
⑨ 村田沙耶香 『コンビニ人間』
⑩ . . . 本文を読む
① 『革命少年』 レトルト内閣
② May 『モノクローム』
③ 青年団 『冒険王』
④ クロムモリブデン 『翼とクチバシをください』
⑤ A級missing link 『 或いは魂の止まり木』
⑥ カメハウス 『どろどろどる~んぷらすてぃっく』
⑦ 南船北馬 『これっぽっちの。』
⑧ Iaku 『車窓から、世界の』
⑨ . . . 本文を読む