今年は空前絶後の「キラキラ青春映画」ブームだ。続々と(なんとこの時期、毎週1本のペースで新作が登場する始末だ!)同じような高校生の恋愛ものが登場してくる。(高校生だけではなく、大人も主人公として登場するものもあるけどあくまでも中心は高校生だ。)このジャンルの巨匠、三木孝浩や廣木隆一も(もちろん)作るけど、あまりの量にその対応は難しい。(対応?
まぁ、それって、僕が作るのではなく、僕はただ見るだけだ . . . 本文を読む
今年の棚瀬さんは、親の介護の問題にメスを入れる。しかし、当然のことながら、それを社会問題として描くのではなく、自身の問題として取り上げる。40代の女性が何を思い、何を感じてそこにいるのかが描かれる、今回の、「そこ」は階段という場所に設定される。
3つの階段が描かれる。基本的に2人がそこで出会う。たまたま、であったり、待ち受けていたり、状況は様々だ。階段の持つ高低差も重要な要素となる。両者の関係性 . . . 本文を読む
矢口史靖監督最新作。今回は家族のお話だ。でも、アイデアとしてはまず、電気のなくなった世界でのサバイバル、という部分が前提となる。そんなバカな、というようなその状況をリアルに描いて、やがて、そこから始まるドラマをロードムービーとして見せることになる。東京から出ないお話だと思っていたから、なんと東京から鹿児島までを自転車で旅することになるなんて思いもしなかったから驚く。
近未来SF的設定なのに、 . . . 本文を読む
原田マハお得意のアート小説。今回は4話からなる短編連作のスタイルで描かれる小さな奇跡のお話。ページ数も100ページ強と、とてもコンパクトな分量で、実際の出来事をモデルにした。財政破綻で閉鎖されそうになったデトロイト美術館が存続されるに至った軌跡を描く作品だ。この奇跡をささやかな物語として提示するのがいい。
まず、ある夫婦のお話から語り起こす。彼らがこの美術館の一枚の絵に心惹かれ、たった1枚の . . . 本文を読む
なんだぁ、このへんてこな芝居は!こんなの見たことないぞ。というか、誰もこんな芝居はしないぞ、と思う。本気なんだか、ふざけているのか。よくわからないけど、そのなんだかいいかげんな感じがとても面白いのだ。ちゃんとふざけている、って感じだ。
学生劇団(出身)ならではの身内受けする緩いノリがなぜか心地よい。客席も心得たもので、ちゃんとそんな身内の芝居に反応してくれる。アットホームなノリのよさ。普通な . . . 本文を読む
総集編ではなく総収編とするこだわりがこの作品の真情だ。ここに収めていくためにこれまでの5つの短編があったのだろう。僕は残念ながら昨年3回に分けて上演された連作を見てないけど、本作を見て、これがまず短編として作られたという事実に納得させられたし、この試みに共感した。柳沼さんはきっと小さなエピソードを積み重ねることで見えてくるものを大切にしようと思ったのだ。それがこうして一つの形になることで、また、新 . . . 本文を読む
深津さんの死去から2年半が過ぎた。深津演劇祭が昨年9月から始まり、来年の3月まで続く中、桃園会の登場である。この演劇祭で桃園会は2作品を上演する。今回の本作と、来年3月の演劇祭掉尾を飾る『深海魚』だ。
ただ、この作品が深津さんの戯曲ではないから厳密に言うと本演劇祭の参加作品としては番外編のような立ち位置になる。でも、いや、だからこそ、この作品がこの演劇祭の作品にふさわしい。これは深津さんの母 . . . 本文を読む
公開から3週間目に突入して、どこの劇場でも1日1回から2回上映になっているようだ。僕は実は公開の初日に見に行っていた。今、映画はヒットしないと、一瞬で劇場から消える。まぁ、そんなこと、今に始まった話でもないけど、それが以前以上に極端になっているようだ。しかも、この映画のようなオールスター娯楽活劇ですら、そうなのだから驚くしかない。最初から梅田では初日だけ大きな劇場で上映されることが決まっていたから . . . 本文を読む
ゼメギスがまたやってくれた! こういうクラシックな映画を平気で撮れるのは今の時代、彼くらいしかいないのではないか。古典的なラブロマンスである。戦争、悲恋、サスペンス。昔、ハリソン・フォードが『ハノーバー・ストリート』という映画に出たけど、あの時ですら、今時こんな恋愛映画作るか、と感心したほどだ。あれからもう30年以上経つはずだ。21世紀にこれをやりきってくれるなんて、普通じゃない。
ただの戦 . . . 本文を読む
「森見登美彦10年目の集大成」という、いかにも、なキャッチフレーズをつけられた最新作。直前に読んだ森見初の対談集『ぐるぐる問答』とセットで刊行された。新刊が待ちどおしかっただけに、ようやくしかも2冊同時で大喜び。
本作は5篇からの短編連作のようなスタイルになっている。ホラータッチの作品でかなり怖い。いつものユーモアは影を潜め、鞍馬の火祭の夜、行方不明になった女性を核にして、10年後、あの日の . . . 本文を読む
この圧倒的な情報量、その知的刺激の洪水。目まぐるしい展開。今と言う時代の怖さ。描かれるものは、テロ、戦争ということにとどまらない。2020年という時代設定も危うい。ほんの少し先の未来。いや、未来というより今の続きでしかない。というか、水面下で今起きている現実といっても誰も疑わない。
ラストの2022年の告発シーン(冒頭でも、ちらりと描かれる)もリアルだ。それにどれだけの意味があるか、なんて関 . . . 本文を読む
2010年の『汽車はふたたび故郷へ』以来となるイオセリアーニの久々の新作だ。前作は自伝的作品で情緒的な作品だったけど、今回はいつもの彼に戻ってノンシャランとした映画のようだ、と期待した。なのに、なんだかまるで乗れない。
映画はしりとりのような展開をする。あるエピソードのお尻で次のエピソードの人物が登場し、そちらにカメラがついていく、というパターンで次の話が、と、だらだらと流れていく。作品の態 . . . 本文を読む
快進撃を続ける園子温の新作は昨年の『新宿スワン』の続編。前作がヒットしたから二匹目のドジョウを求められた。で、もちろん引き受ける。やれるものならなんでもやる、というのが今の彼のスタンスなのだろう。オファーがあるなら力尽きるまでやってやろうじゃないか、という心意気で挑んだ(か、どうかは知らないけど)。で、玉砕している。
久々につまらない映画を見た。退屈すぎて途中からどうしようかと困った。しかも . . . 本文を読む
ティム・バートンの最新作はとてもチャーミングで切ない冒険物語だ。見る前はもっとかわいらしい童話のようなお話なのかと思っていたが、見始めてこれは少しようすが違うぞ、と思わされる。一見すると、よくあるような不思議な世界に迷い込みそこで暮らす奇妙なこどもたちと出会い一緒に過ごす心地のよい時間を描くのか、と思わせておいて、実はさにあらず。そこにとどまったりはしないのだ。現在から1943年のある日で時間が止 . . . 本文を読む
毎年1月広島で開催される都道府県対抗駅伝を舞台にした物語。福岡代表チームのメンバーの事前合宿(1泊2日)からスタートして出発の日、アップ、前夜、当日(1区から7区まで)、懇親会、帰郷という大会のすべてが描かれていくほんの数日間のお話。
7区間を走る7人のメンバー(中高生から大学生、社会人の混成チーム)にサポートメンバー、監督、コーチというその10数人を主人公にする。大会前後の数日のドキュメン . . . 本文を読む