習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

りゃんめんにゅうろん『森陰アパートメント』

2007-04-30 21:36:43 | 演劇
 実は久々にヌーヴォースタシオンに行ったため、道に迷ってしまった。ずっと前に一、二度行ったことがある。なんとなく住宅街にあるビルの中にあったのは憶えていた。基本的に一度行ったところは忘れない性格なので、安心して大丈夫だ思い行ったのだが、今回は参った。フライヤーも、何も持たず、「玉出を降りたら、きっと思い出すだろう」と思い劇場に向かったのだが、改札を出たところで、少し不安になり、さらには地上に上がっ . . . 本文を読む
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IQ5000『スクランブルエッグ』

2007-04-29 06:53:42 | 演劇
 この芝居を見ながら、僕は、なぜか腹筋さんの惑星ピスタチオ時代の傑作『ファントム』を思い出していた。あの作品で彼は、細胞から宇宙までをたった一人で演じきり、生命の誕生から世界の終わりまで、を見せきってくれた。彼の代表作である。「等身小から等身大をへて宇宙へ」というキャッチコピーとフライヤーのデザインがあの作品を想起させたのかもしれない。  この作品自体はとてもささやかな物語であり、壮大なドラマを . . . 本文を読む
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4月に読んだ小説(藤野恵美『ハルさん』他)

2007-04-26 21:11:19 | その他
 こういう弱い人間が肩寄せあうようにして生きていく姿を描いた作品を偶然続けて読んだのか、それともこういう話がちょっとしたブームなのか、よくは知らないが、この作品を読みながら、心地よさと居心地の悪さを同時に感じた。変な気分だ。  主人公のハルさんは人形作家だ。家から出ないで生活している。彼と娘のふうちゃんのお話である。ふたりきりでずっと暮らしてきた。瑠璃子さんが亡くなってから男手ひとつでふうちゃん . . . 本文を読む
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テラヤマ博(銀幕遊学レプリカント)『レミング』

2007-04-24 21:56:16 | 演劇
 圧倒的に面白い。寺山修司世界をものの見事に自家薬籠中にしてしまった佐藤さんのこの作品は、こんなにもシンプルなのに、どうしてこんなにも豊穣な世界を表現可能としたのか。  寺山の最期の作品となった『レミング』(写真は天井桟敷のフライヤー)を、佐藤さんはあくまでも自分のイメージ世界に引き寄せていくことで、スタイリッシュでモダンな作品に仕立ててしまう。だから、こんなにも美しい舞台になっている。  あ . . . 本文を読む
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三角フラスコ『約束はできない』

2007-04-24 21:10:42 | 演劇
 大雨から河川が増水し、避難のために村のコミュニティーセンターに集まった人々の人間模様を描く。過疎化が進み村には若い人たちはもうほとんど残っていない。たった3組しかいない20代がここに集う。沢北と西山。新しく引っ越してきた江東夫妻。そして、彼らより少し若い南条とその妻。(江東の夫と南条の妻は舞台には出てこないから、登場人物は4人。)  ドラマの中心となる部分が西山美和の『ゆれる』を思わせる設定。 . . . 本文を読む
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『太陽』

2007-04-23 22:17:04 | 映画
 ソクーロフの映画だから、仕方がないのかも知れないが、まず劇的な展開がない。一切ない。ただ、静かに、室内劇として目立った動きもドラマもなく、ただ、ヒロヒトの終戦直前の姿と、戦争が終わった直後が描かれる。  あまりにあっけなさ過ぎてがっかりするし、昭和天皇を主人公にした彼の苦悩を描いたドラマとして受け止めるには、情報量が圧倒的に少なすぎる。  しかも天皇に対する僕たち日本人が抱くイメージと、ソク . . . 本文を読む
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テラヤマ博 演劇篇

2007-04-23 21:28:21 | 演劇
 基本的には、ここにはプレビューは書かない。これは僕の備忘録だから、誰かに読んでもらったりするためではない。だから、宣伝活動につながるようなことはあまりしようと思わない。だけど、今回はちょっと方針転換だ。だってIST零番館の佐藤さんは、あまりに宣伝を疎かにし過ぎだ、と思う。こんなに凄い企画を立てたのに、広報活動がここまで後手に回っていいのか、と心配になる。  まぁ、いらぬお世話かもしれないが、作 . . . 本文を読む
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『素敵な歌と舟はゆく』

2007-04-22 11:21:39 | 映画
 オタール・イオセリアーニは『月曜日に乾杯』1本を見ただけで、虜になった。この人の映画は信用できる。あの、のんしゃらんとした作品世界。そして、なんちゅういい加減さ。こんな人は、なかなかいない。変すぎる。  久々に彼の映画を見た。これは数年前にイオセリアーニの特集上映でかかった映画だ。あの時は上映日程がタイトでなかなか見れなかった。今朝、時間に余裕があり、なんとなく今見たのだが相変わらず、一筋縄で . . . 本文を読む
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チャイカ『かもめ』

2007-04-22 08:13:42 | 演劇
 とても刺激的なアイデアである。いつもながら外輪さんは果敢に新しいことに取り組む姿勢を崩さない。守りに入るなんて言葉を知らない人だ。いつももっと面白いことはないか、と頭を巡らし、思いつき(ひらめき、という方がいいかぁ)を即、芝居に起用してしまう。なのに安易な企画はない。溢れ出るアイデアを全て芝居にしていきたくて、その結果エレベーター企画の公演本数が多くなる。  今回は辻野加奈恵さんに頼まれての外 . . . 本文を読む
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スプリングバス『アクトレス』

2007-04-22 07:10:07 | 演劇
 とてもたわいのない芝居だが、作り手が観客を舐めているのではなく、このどうでもいいシチュエーション・コメディーを精一杯に見せようと努力しているから、見ていて腹は立たないし、嫌な気分になることもない。それどころか微笑ましく、彼女たちを応援してあげたくなる。  劇団赤鬼の4人の若手女優たちがユニットを組んでの自主公演である。普段は舞台であまり目立たない(目立つボジションを与えて貰えていない)らしい彼 . . . 本文を読む
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星野博美『迷子の自由』

2007-04-19 22:49:12 | その他
 見開き2ページの文章と写真によってワンエピソードが構成されていく連作フォト・エッセイ。東京からインドへ、再び東京、そして重慶、東京。彼女の精神的な旅が、実際の旅と東京での生活を通して綴られていく。  <人間の魂と出会う場所>としてのインド。そんな紋切り型のイメージがまずある。スピリチュアルな体験を期待してしまうから、なんだか恥ずかしくてそこに足を踏み込むことが怖い気がする。でも、実際に行ってみ . . . 本文を読む
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『13/ザメッティ』

2007-04-19 21:47:58 | 映画
 モノクロ、シネマスコープ・サイズのフランス映画。監督は新人のゲラ・バブルアニ。彼は引き続きハリウッド版のリメイクも手掛けるらしい。主演はギオルギ・バブルアニとあるから監督の弟かなんかだろう。家内制手工業で作っているようだ。  フイルム・ノワールを思わせるようなタッチで描かれる悪夢のような殺人ギャンブル。パリ郊外の森の中で催されるカジノ。13人の男たちによる同時円形ロシアンルーレット。大金を賭け . . . 本文を読む
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多和田葉子『海に落とした名前』

2007-04-16 22:01:59 | その他
 飛行機の墜落事故で記憶を失くしてしまった女性。全く何も思い出せないまま、病院で治療を受ける。自分の名前さえ無くした。だが、実際はここにいる。身体はここにあるのに名前が、記憶がないだけでこの世界では生きて行けない。自分が誰なのかを証明するものがない限り、この世界では生きていけないのだ。  彼女の世話をする医者も匙を投げる。原因が分からない。そんな中、医者の知り合いである兄妹がやって来る。彼女の記 . . . 本文を読む
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THEATER@ MEN'S WORKS『かてきょ。』

2007-04-16 21:46:19 | 演劇
とても真面目で、誠実に芝居と取り組んでいる。「あぁ、こういうのが正しいアマチュア演劇のあり方なのかもしれないなぁ」なんて思った。  ちょっとした偶然から春演(大阪春の演劇まつり)の審査員を引き受けることになり、今回のこの作品から7月までプラネットホールを中心に17本の芝居を見ることになった。もちろん仕事の関係もあり全てを見ることは不可能なのだができるだけたくさんの作品を見てみたいとは思っている。 . . . 本文を読む
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『大帝の剣』

2007-04-15 09:26:28 | 映画
「おもしれぇ」と阿部ちゃんが映画の中で10回以上つぶやく。面白ければそれだけでいい。堤幸彦本人もそう思ってる。ただひたすら面白いものを求めてる。ふざけてるのではなく、真剣にバカをしているのだ。とてつもなく大バカで、あほらしさ満載の映画である。  この映画には何ひとつ意味はない。それのどこが悪い、と居直ってる。ただひたすら監督以下スタッフも、阿部ちゃん以下キャストも全力バカで1時間50分を駆け抜け . . . 本文を読む
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