K24がニコラス・ケイジとコンビを組んだらこんなにも無茶苦茶な映画が出来てしまいました、って感じ。お話の入り口は面白かったけど、だんだん収拾がつかなくなって終盤に至ってはぐちゃぐちゃになって爆発している。他人の夢に登場して何もしないで見ているだけの不気味な男という設定は面白い。こんな悪夢は今まで誰も思いつかなかったことだろう。最初は娘の夢に登場する。これは充分ある話。父は娘を助けてあげないでただ見 . . . 本文を読む
三木孝浩監督による最新作はいかにも彼らしい作品。彼はこの手のファンタジーなら今まで何度となく作ってきたはずだ。だけど敢えてまたこの手の映画と取り組むことになったのは、ただ仕事だから引き受けたというわけではないだろう。IFの世界を描くのは彼だけでなく、これまでもさまざまな映画やドラマが取り組んできた。そんな定番の歴史に新たな1ページを刻むことが出来たか?先日、傑作『ファーストキス』を見たばかりだから . . . 本文を読む
『マリッジブルー』が素晴らしかったので、引き続きこの新刊も読みたいと思った。こちらは短編集だが、これもカツセマサヒコらしい力作(だけど、力の抜けた作品)が並ぶ。7つの作品はいずれも海辺にお話だ。最初の話は、引っ越して来た海辺の街で昔の彼女と再会する話。12年振りに会った彼女には6年生の子供がいる。別れた後すぐに生まれたのだ。夫とは3年で別れてシングルマザー。同じ街に住んでいるからまた逢うかもしれな . . . 本文を読む
太陽族の岩崎正裕作、演出、指導による作品。彼が大学生たちとどんなものをどんなふうに作ったのか、気になった。これは岩崎さんが2019年にピッコロ劇団の依頼により作り上演した作品。それを今再び取り上げた再演作品である。最近、近大生の芝居をたくさん見ているけど、これは大阪芸大短期大学部、舞台芸術コースの生徒による卒業公演。彼らの2年間の集大成。大学で芝居を学ぶってどんな感じのものだろうか。専門学校との差 . . . 本文を読む
金子修介監督の久々の新作。こんな映画を彼が作るなんて驚きだ。香港との合作らしいが、凄い映画である。情け容赦ない。『黄金少年』と漢字でタイトルが出る。冒頭の岡田将生による殺人シーンは昔見た2時間ドラマ(土曜ワイド劇場! ワイドなのに最初の頃は90分だった)みたいで呆れたけど、13歳の子どもたちの犯罪になったところから凄いことになる。彼らがたまたま撮影した動画を通して岡田を強請るのだが、この両者の駆け . . . 本文を読む
こんなスタイルの映画は近年なかったはずだ。昔の大作映画ならあった。前後編一挙上映して途中休憩が入るというスタイルを踏襲する。第1部1時間40分の後15分のインターミッション、そして1時間40分の後篇。『風と共に去りぬ』とか『ドクトルジバコ』の世界である。もちろんスタイルだけ。中身は必ずしも壮大なスペクタクル映画ではなく、どちらかというと地味な作品なのに。冒頭のアメリカにたどり着いたシーンがいい。自 . . . 本文を読む
3話からなるオムニバス映画。ソウルの街を舞台にした3組の男女の街歩き。特別なお話はない。タイトルの『ミマン』は未満ではなく、3つの意味がある。本作では「迷妄=道理に暗く、要領を得ずに戸惑うこと」「未亡=忘れようとしても忘れられない」「弥望=遠く広く眺める」という3つの意味。それがそれぞれのお話のテーマになっている、らしい。だけどそこにあまり意味は感じられなかった。東京フィルメックス23年コンペティ . . . 本文を読む
今年1本目のウイングカップ参加作品。今回は参加作品が5本といささか少なくなっているけど、いずれの作品も気合いが入っている。ただ予定されていた「るるにえのはこにわ」の公演が延期になって今回のウイングカップ参加作品から離脱している。若手劇団はいろいろ難しい。今回諸事情からNEW FACEのこの作品を本番で見ることが出来なかったので配信で見た。とても面白い作品で本番を劇場で見たかった。全編暗いシーンが続 . . . 本文を読む
昨年のウイングカップにも参戦している刹那のバカンスの新作。関西の港から20分で着くところにある無人島(無尽灯)が舞台となる。(ここは友ヶ島がモデルか?、なぁ。昔、友ヶ島で高校の新入生宿泊研修をしていたので何度か行ったことがある。宿泊は加太だったけど)そこで毎年恒例になっているらしい高校の同窓会が開催される。下見にやって来た8人は島に取り残される。作、演出は那波七歩。リアリズムからは遠く離れたドラマ . . . 本文を読む
485ページに及ぶ大長編である。2020年の5月から2022年の4月までかけて書かれた。新聞連載は2022年8月まで。2023年3月に出版されてベストセラーになった作品である。たまたま読む本が無くて、高校の図書館で借りてきた。最初はなかなか話が進まないから、少しイライラするが、2話に入ったところからようやくこの作品世界に馴染めてきた。18歳の姉、理佐と8歳の妹、律がふたりだけで知らないところで暮ら . . . 本文を読む
これが今年度のウイングカップ最後の作品になる。これもまた近大発ウイングカップ行きの若手劇団である。お話自体は実にバカバカしい。だけどただふざけているのではなく、かなり真剣になっている。終盤にはなんと深刻にもなる。田中と生徒会長の対決なんてこれは何なのか、と思わせた。だからこれはただのコメディではない。とある高校の部室。男子女装ロボットダンス部。(いくらなんでもこの団体名では職員会議に通らない!)通 . . . 本文を読む
今年の大阪劇団協議会プロデュースは劇団往来がイニシアティブを取る。というか、ほとんど往来の単独公演に近いスタンス。だけどいつもの往来とは一味違う作品になった。他劇団からのキャストは劇団未来の北条あすかくらいではないか。ベルトルト・ブレヒトの戯曲(翻訳は市川明)を鈴木建之亮が演出する。鈴木さんによる久しぶりの完全シリアス芝居。1930年代,シカゴを舞台にして、とあるギャングのドラマをヒトラーの生き様 . . . 本文を読む
これは根岸吉太郎監督16年振りになる新作である。20代でのデビュー時、若手のホープと呼ばれた彼も今ではなんと後期高齢者。驚きました。気がつくとこんなに歳月は経っている。この前まで高校生だった(!)僕だってもう高齢者の仲間入りをしているのだから当然かもしれない。根岸映画はデビュー作からリアルタイムで全作品を見ている。そんな彼の新作は長谷川泰子を主人公にした大正ロマン。小林秀雄と中原中也の三角関係を描 . . . 本文を読む
2代目キャプテンアメリカによる新シリーズ第1弾でシリーズ4作目。アンソニー・マッキーが演じる。なんとハリソン・フォードが大統領役でダブル主演。キャプテン・アメリカはマーベル映画としては毎回なかなか面白いから今回も期待した。だけどこれは全く駄目です。ハリソンはどうしてこんな映画のオファーを受けたのだろうか。マーベル映画にわざわざハリソン・フォードが出るなんてちょっとした事件だと思って劇場まで駆けつけ . . . 本文を読む
公開時、とても気にはなっていた映画だけど、見逃してしまった作品である。ティジョイ梅田(まだブルク7だったけど)でひっそりと公開され一瞬で消えてしまったから仕方ない。先日Amazonで発見してリストに入れたけど、それも忘れていた。そんなこんなでようやく今日になって見たのだが、こんなも凄い映画だったなんて、驚きだ。見てよかった。ほぼ全編ブルーバックを背景にした圧倒的なビジュアルは徹底的に歪んだ世界を描 . . . 本文を読む