習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

『裏切りの街』

2018-07-28 21:13:18 | 映画
このなんだかハードボイルドを思わせるタイトルなのに、お話自体は男と女の不倫もの。出会い系サイトで知り合った主婦と引きこもり青年が逢瀬を繰り返すさまを追いかける。ふたりのお話を同時進行で見せていく。完全な相似形のお話。これが演劇作品を原作としているということがよくわかる図式だ。小劇場出身の三浦大輔監督は、演劇的シチュエーションを映画の世界に見事に転換していく。狭い世界のお話が、ちゃんと映画として成立 . . . 本文を読む
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あみゅーず・とらいあんぐる『七夜月愛でて』

2018-07-28 21:12:11 | 演劇
恒例の夏のリーディング公演。今年で8回目になる。今年も浴衣で時代物。だけど、同じようなものにはしない。毎回いろんな新しい挑戦をするのが、この企画の凄いところだ。千日亭が和の空間であることを生かす。畳の間、客席の近さ、結構広いアクティングエリア。大胆な動きと密な芝居。3つのお話のバリエーション。これはいろんな意味でとてもよく考えられた、そして、よく出来たリーディング芝居だ。   当日パ . . . 本文を読む
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阿倍野高校『まねき猫』

2018-07-28 21:11:19 | 演劇
このパターンが僕にはつらい。ここには意外性がないのだ。芝居自体を確かに上手い、とは思う。だけど、まるでお話に面白さがない。予定調和に終始する。だから、退屈なのだ。オチである招き猫も、途中でネタバレだから、驚かないし。   ここまでで3本を見たのだが、なぜかいずれも同じパターン。それはワンシチュエーションをどう生かし切れるか、への挑戦なのだが、なかなか難しいみたいだ。ウイングでの公演だ . . . 本文を読む
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堺東高校『ビー玉たちの夜』

2018-07-28 21:10:18 | 演劇
ビルのエレベーター。8階から地上階へと降りていく途中7階付近で止まってしまったようだ。閉じ込められた6人の男女。さぁ、どうなる、というこれも一見するとよくあるパターンになりそうな作品なのだが、実に上手い。リアルじゃないのは、確信犯。これは現実ではなくファンタジーだからだ。でも、ファンタジーに逃げたのではない。最初は、それはないだろ、と突っ込みを入れながら見ていたのだが、そこが作り手の意図だと気づく . . . 本文を読む
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関西大学第一高校『夢遊少女』

2018-07-28 21:08:30 | 演劇
表面的なストーリーの提示だけで、お話を進行させていくから、緊張感がなくなる。これではリアリティがない。このお話を通して何を描きたいのか。それをどう見せるのか、という一番大事な部分がお座なりになっているから、たった1時間の芝居なのに退屈させられる。ある種のパターンに終始してオリジナリティが感じられない。こういうタイプの芝居は結構よくあるから、「あぁ、」とため息をつくしかない。もちろん、一生懸命に作っ . . . 本文を読む
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第29回 HPF 「千駛舞琉」

2018-07-24 21:11:20 | 演劇
なんと今年で29回目になるのか。もうそんなにも歳月が経ったのか、と思うと驚きしかない。HPFは、最初の年から知っている。僕が当時、勤めていた高校が参加していたはず。というより、この企画を推進した古賀サンに「見てよ、」誘われたのがきっかけだ。最初は「高校生の芝居なんて」と二の足を踏んだけど、(高校で働いているくせに、高校生の演劇をバカにしていたのだ)請われるまま、まず最初に追手門の芝居を見て衝撃を受 . . . 本文を読む
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ブルーシャトル・プロデュース『零式鑑上戦闘機』

2018-07-24 21:09:47 | 演劇
  今年の夏のブルーシャトルは久々に「零」(ゼロ)に挑戦する。これで四作目になる。あの手この手で様々なアプローチを見せてくれるのだが、今回は若手を中心にしたキャストで、3話からなるオムニバススタイルに挑戦した。前作『新撰組』では2部構成全4話からなる大作に挑んだのだが、そのノウハウを生かしての3話構成である。   上演時間を105分にしたのも大胆なチャレンジだろう。そうす . . . 本文を読む
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パッチワークス『 ∩ (積集合)』

2018-07-20 21:10:36 | 演劇
  4つの集団による4つの短編を連続上演する。ひとり芝居から3人芝居まで。20分から40分くらいまでのバラエティに富むラインナップ。愛媛の劇団パッチワークスによる企画上演。なんだかとても不思議な作品ばかりで、2時間10分と結構長いのに、あっという間のできごとだった。企画した村山公一さんのセンスが光る。いずれの作品も長編では難しい、短編だからこそ出来る、という切り口を用意しているのがいい . . . 本文を読む
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劇団せすん『チェキ!』

2018-07-20 21:01:46 | 演劇
久々のげんだつばによるオリジナル作品だ。期待に胸が高鳴る。地下アイドルと3人組のじいさんたちのお話という秀逸な設定とストーリーに興味津々で見たのだが、せっかくのそのアイデアが生かし切れていない。  しかも、相変わらず暗転が長いし多い。芝居全体の3分の1くらいが暗転なのではないか、と思わされるくらいに延々と待たされる。どうしてこんな演出をするのだろうか。もっとテンポよく見せたならいいのに . . . 本文を読む
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evkk『女優ものがたり』

2018-07-19 20:33:04 | 演劇
今度の外輪さんはなんと30年前に書かれた小野小町による小さな芝居を再演する。小劇場演劇が華やかかりし頃、こういうタイプの芝居がたくさん作られていた。よくわからないと今の人は拒絶するかもしれない。感覚的だから、理屈で読み込もうとすると突き離されてしまう。理屈なんか通らないのがお芝居なのだ。なんだかよくわからないけど、圧倒されたなら、それだけでいい。もちろん理屈をこねまわしたってかまわない。ここには意 . . . 本文を読む
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Gフォレスタ『乱歩の嘘』

2018-07-19 19:41:26 | 演劇
横長対面舞台。中央のアクティングエリアだけではなく左右にも、舞台を設ける。さらには四方にも舞台を設える。観客は中央のメインステージだけではなく、同時多発に演じられる芝居も見守ることになる。感覚は研ぎ澄まされる。何が起こるのか。どこから誰が飛び出してくるのか。仕掛けを凝らした舞台になるかと期待させられる。だが、これはおもちゃ箱のような芝居ではない。江戸川乱歩という男がどういう軌跡をたどったのかを描く . . . 本文を読む
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多和田葉子『地球にちりばめられて』

2018-07-08 21:00:47 | その他
  たとえ世界(というか、故国なのだけど)が滅びても、自分はこうして、ひとりで、でも、ここで生きている。もう誰も覚えてもいない日本という極東にあった島国の生き残り。今、彼女はヨーロッパのかたすみで生きている。彼女は、失われた母国語を守るのではなく、生きていくために自分ひとりで新しい言語を作り上げる。自分がその言語の創設者だ。そしてその言語を使うのは彼女しかいない。そんな言葉に意味はある . . . 本文を読む
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エイチエムピー・シアター・カンパニー『忠臣蔵・序 ビッグバン 抜刀』

2018-07-08 20:55:12 | 演劇
  アイホールで2週間のロングラン興行中のこの作品は見逃せない。今回も『四谷怪談』に続いて2バージョンによる公演だが、今回はどちらか1本にしよう、と思ったのに、はやり2本とも見てしまった。笠井さんは絶対にどちらも見なくては、と思わせる仕掛けを用意し、もちろん、観客を満足させる。 それにしてもこの話は一体どこにむかうのか。見終えたとき、茫然とさせられた。この大胆な解釈に圧倒される。柳沢 . . . 本文を読む
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豊麗線『ブンナよ、木からおりてこい』

2018-07-08 20:14:05 | 演劇
豊麗線がこういう題材をとりあげる。なぜだろうか。とてもシンプルでわかりやすい芝居を高齢者たちが取り上げて、同世代が中心となる観客に届けることで何がしたかったのか。何を見せたかったのか。今目の前にある自分たちが抱える問題を取り上げるのではなく、もっと本質的なものを見つめなおすために、この本来なら子供たちに向けて指し示すべき題材を(もちろん、子供たちがこれを見に来てくれたならそれが一番いいし、初日には . . . 本文を読む
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『パンク侍、斬られて候』

2018-07-05 20:02:45 | 映画
  石井岳龍監督が久々に放つアクション巨編。町田康のハチャメチャな原作を得て、自由自在に破天荒な映画を作る。このやりたい本題感は、快感だ。冒頭からの派手な立ち回り以上に凄まじいナレーションの膨大な嵐。その過剰な饒舌タッチも面白い。派手なアクションは当然のこと。期待が高まるオープニング。   途中を端折っていうと、終盤のモブシーンのすさまじさには圧倒される。これはインド映画 . . . 本文を読む
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