これが08年最後に見た映画だ。究極のプライベートフイルムである。写真家の若木信吾監督第1回作品。祖父の写真を20年間にわたって撮り続けた彼が、04年に亡くなった祖父との思い出を1本の映画としてまとめあげた劇映画。
敢えてドキュメンタリーという手法を選ばず劇映画にしたのはなぜか。きっと、亡くなられた祖父を過去のものとして描くのではなく、彼が生きた時間として見せたかったのだろう。にもかかわらず、 . . . 本文を読む
TVドラマの売れっ子脚本家である大森美香監督の第2作。TVの深夜ドラマである『ネコナデ』の劇場版。どんなドラマなのか、全く知らなかったから、白紙で見れた。映画を見てから調べたが、これは大森さんのオリジナルではなく、TVシリーズの台本は別の方(永森裕二)が書いている。しかも、劇場版の脚本にも彼女はタッチしていない。純粋に監督として招かれたようだ。
脚本家としては一家言あろうが、監督としてはまだ . . . 本文を読む
1 潜水服は蝶の夢を見る
2 リトル・チルドレン
3 転々
4 フリー・ゾーン
5 それでも生きる子供たちへ
6 ボルベール 帰郷
7 君のためなら千回でも
8 魔法にかけられて
9 キムチを売る女
10 14歳
11 今宵フィッツジェラルド劇場で
12 ウエイトレス
13 ぼくの大切なともだち
14 マーゴット・ウエディング
15 ミスト
16 ボビー
17 恋しくて
18 . . . 本文を読む
1 愚か者、中国をゆく(星野博美)
2 食堂かたつむり(小川糸)
3 うちへかえろう(小川内初枝)
4 武士道シッスクティーン(誉田哲也)
5 決壊(平野啓一郎)
6 走ることについて語るときに僕の語ること(村上春樹)
7 復活の恋人(西田俊也)
8 福袋(角田光代)
9 季節風、夏(重松清)
10 めぐり会い(岸田るり子)
11~20
サイゴン・タンゴ・カフェ(中山可穂 . . . 本文を読む
今年劇場で見た映画は142本。芝居より少ないのはついつい映画はいつでも見れると思い、気付くと上映が終わっていたりするからである。大事な映画をたくさん見逃している。まぁ、そのかなりの作品は後にDVDでフォローしたのだが、だれもが知ってることだが、映画館とブラウン管はまるで違う世界だ。劇場で見なくてはわからないことは多々ある。それをDVDでは見逃してる。
30本リストアップしようとしたが、なかな . . . 本文を読む
正直言って書く意味はない文章を今から書く。暇だから、と言ったら、言いすぎだが、なんとなく、書きたくなった、というのが、本音だ。それくらいに凄まじかった。子供たちに大人気だった携帯小説を映画化し、昨年大ヒットを記録したこの映画を、怖いもの見たさでついに、見てしまった。
わざわざDVDを借りてきたわけではない。TVでやっていたからだ。劇場公開版より約30分短いのが救いだ。もし、オリジナル版を劇場 . . . 本文を読む
高校生の女の子の日常を、ただありのまま吐き出したような小説。「おまえのぼやきなんて、別に聞きたくもないよ!」と思いつつ、しかたなく耳を貸して、イライラしながら読み続ける。ま、いやならやめればいいのだが、そこで本を置けないのが僕という人間だ。
そして、このグタグタした毎日のスケッチを追っていくと、自分にもあった「あの頃」の焦燥がよみがえってくる。まだ、何者でもなく、ただ名もなき高校生として、プ . . . 本文を読む
年末最後の1本はこういう大作映画がいいだろうと思い、劇場に! 大スクリーンで手に汗握る迫力映像満載の超大作を、お菓子を食べながらのんびり見るというのはいかにもな楽しみ方ではないか。
まぁ、そんな感じでお気楽に見た。何も期待なんかしていない。ただ、2時間ほど楽しませてもらえたらいい、と思いスクリーンと向き合った。全編音楽鳴り捲りで、威勢がいい。大音響も、迫力のあるSFXも悪くはない。お金をたく . . . 本文を読む
予想を覆す意外性に富んだ秀作で、なかなか楽しめた。ディズニーとピクサーのCGアニメはいつもレベルが高い。今回感心したのは、予告編で散々見せられた場面は映画の導入でしかなく、ウォーリーが宇宙に飛び出してからがメーンに設定されていたことだ。
宣伝が術に上手いし、観客に親切だ。だいだい最近の映画は予告を見ただけで、もうすべてがわかった気になる作品が多すぎる。しかも、実際に見たなら、やっぱり予告編と . . . 本文を読む
1 劇団太陽族 『往くも還るも』
2 ニュートラル 『宇宙を隠し持っている』
3 青年団 『冒険王』
4 桃園会 『電波猿の夜』
5 Ugly duckling 『100年トランク』
6 クロムモリブデン『血が出て幸せ』
7 遊劇体 『山吹』
8 劇団May 『チャンソ』
9 くじら企画 『山の声』
10 五反田団 『すてるたび . . . 本文を読む
これは衝撃的な映画だ。数年前に公開された『スーパーサイズ・ミー』も凄かったが、今回はそれを劇映画の中で見せる。この映画の作者であるエリック・シュローサーは自らのノンフィクション『ファストフードが世界を食いつくす』を最初はドキュメンタリーとして映画化しようとしたらしいが、困難を極め、しかたなく劇映画に仕立てたらしい。
だが、その選択は正解だった。この題材をここまで生々しく見せえたのは自由度の高 . . . 本文を読む
雲南省の山間部の寒村。まじめを絵に描いたような中年夫婦。彼らが外国産の5000元もする羊を2匹飼うことになる。(町に、たった1頭の自分たちが持っていた羊を売りにいくと200元だったのに!)村長の命令で、県からの依頼のもとモデルケースとして飼うことを任されたのだ。
映画は彼ら夫婦がこの〈羊さま〉を育てる奮闘ぶりがユーモラスに描かれていく。なんだかのんびりした映画で、話は何もない。かなり期待して . . . 本文を読む
昔、高校生だった頃、貪るようにして萩尾望都のマンガを読んでいた。あの頃、どうしてそんなに夢中になったのか、今ではよくわからない。もちろん、少女マンガであるにも関わらず他の誰のよりもおもしろかったのは事実だ。だいたい僕はマンガはあまり好きではなかった。だから少年漫画なんかほとんど読まなかったが、つげ義春と萩尾望都、そして手塚治虫の3人だけは別格だった。
あれから30年もの月日が経ち、なぜか今、 . . . 本文を読む
この本を読みながら石川さんがここで取り上げる映画はほぼ全部リアルタイムで見ていることに気付く。なんだか懐かしい。彼女は僕より少し年上なので、最初のほうは少し苦しいが、おぼろげな記憶はある。70年代から映画を見始めた。
本格的に外国映画を見たのは74年のことだ。忘れもしない。ウイリアム・フリードキンの『エクソシスト』である。この1本で完全に映画に嵌った。僕は怖がりなのでホラーなんてお断りだった . . . 本文を読む
ガス・ヴァン・サントのこのインディペンデント映画を見ていると、ほっとさせられる。アメリカ映画の良心を見せられた気分だ。ハリウッドのおバカな映画ばかりがアメリカ映画だなんて思ってはならない。メジャーな映画も撮るが彼はあくまでも自己に忠実な誠実な映画を作り続ける。
これは単純なアート系映画なんかではない。作家として彼が今思うことを自分の表現で語る。少年の心の中に分け入って、彼の中にぽっかりできた . . . 本文を読む