習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

『NOPE ノープ』

2022-08-31 15:39:16 | 映画
ジョーダン・ピールの第3作。最初の『ゲット・アウト』がまさかの展開で衝撃的だったが、2作目の『アス』は、無理しているな、と思った。確かにこれもまたまさか、という展開なのだが、最初から仕掛けがあるぞ、と構えているから、なるほどね、というふうに余裕で対応してしまう。2匹目のドジョウはなかなかいない。不意打ちのような映画は1度だけ。そんなことは先輩のシャマランが何度となく失敗してきたから、わかっているは . . . 本文を読む
コメント

『君が落とした青空』

2022-08-31 14:59:20 | 映画
これはダメだ。見ていてこの手の映画の一番ダメな側面ばかりが目についた。安易にこの手の青春映画を作ってはいけない、とそんなことを思う。安上がりでそれなりに集客できるのかもしれないけど、簡単そうに見えてこれは難しい。同じ福本莉子が主演している『今夜、世界からこの恋が消えても』との落差は一目瞭然だ。もちろん三木作品の足元にも及ばない。 これは今年の2月に劇場公開された映画なのだが、もう配信で見れる。地 . . . 本文を読む
コメント

『時代革命』

2022-08-31 10:05:25 | 映画
先日見た『憂鬱之島』は素晴らしいドキュメンタリードラマだった。ああいう形で今の香港を語ろうとする姿勢に心打たれた。今を見つめるためには過去から振り返る必要がある。3つの時代を3つのドラマとして再現し、それを既成の役者を使って見せるのではなく、今を生きるふつうの若者たちに演じさせる。そこから見えてくるものを劇映画として見せるのではなく、このドキュメンタリー映画の中で見せていく。いささかあざとい、と思 . . . 本文を読む
コメント

『ハウ』

2022-08-29 21:25:44 | 映画
犬童一心監督の新作だ。犬を主人公にしたファミリーピクチャーで、ほかの人が手掛けたなら、こういうのはなんだかなぁ、と思う。見たくない。でも、これは犬童作品である。やはり、見たい。しかも評判が異常に悪い(キネマ旬報の星取り表!)ので、それはおかしいと思い、見に行くことにした。犬童監督がつまらない映画なんか作るわけがない。しかも、彼は犬とか猫とかを扱う映画を何本も作っているし。名前だって犬童だし。 は . . . 本文を読む
コメント

演劇街道きのくにプロジェクト『いつわりの漆器』

2022-08-29 20:36:02 | 演劇
なんと和歌山まで芝居を見に行ってきた。ふつうなら僕はそこまではしない。でも、今回はした。和歌の浦のアートキューブという空間だ。海の手前に立つこのホールは実に美しい。ここでこの作品は上演された。ほんとうなら武庫川公演で見るつもりだったが、コロナのせいで公演が中止になった。そこで仕方なく和歌山公演を見ることになったのだが、結果的にはこの芝居をここで見ることができてよかったと思う。 演出の外輪さんは相 . . . 本文を読む
コメント

桃園会『僕は誰にそれをあげるんやろう』

2022-08-29 19:47:54 | 演劇
チラシには「桃園会30周年記念作品」とは書かれていない。「ウイングフィールド30周年記念事業」とある。「桃園会第52回公演」とも。3年ぶりの新作だ。橋本健司のオリジナルを、劇団清水企画の清水友陽が演出した。役者は4人。はたもとようこと森川万里、そして加納亮子、さらには橋本健司。この4人の精鋭が深津世界との邂逅から、芝居を始める。ここには今はいない深津篤史。彼がなくては桃園会はない。だけど、もう彼は . . . 本文を読む
コメント

『アキラとあきら』

2022-08-29 19:00:43 | 映画
この夏、偶然起きた三木孝浩3連作の第3弾である。同じ監督の新作が1が月の間に3作品毎週のように公開されるなんてことが、かってあっただろうか。映画全盛期の話ならともかく、今の時代に、である。もうそれだけで画期的な出来事だ。そんな3連作の掉尾を飾る作品である。しかも、今回の作品は今まで彼が手掛けたこともない題材なのだ。その新しい挑戦に挑んだ成果はいかに! ということで早速見てきた。ほぼ毎週で順番にこの . . . 本文を読む
コメント

『異端の鳥』

2022-08-26 11:57:40 | 映画
ずっと気になっていた映画をようやく見た。予想通りの作品で、こんなにも静かな映画なのに3時間ずっと緊張が途切れない。ひとりの少年の地獄巡りの旅が描かれる。たまたまだが、夜明け前の3時半から見始めて朝の6時半に見終えた。 映画は、少年が母親と離れて、親戚のおばさんの家に預けられるところから始まる。舞台となるのは東欧のどこか、か。ホロコーストを逃れて疎開した彼が主人公だ。この少年のたどる数奇な運命のド . . . 本文を読む
コメント

珠川こおり『マーブル』他

2022-08-26 10:48:44 | その他
前作でありデビュー作でもある『檸檬先生』が新鮮で、19歳の女の子だから書ける世界だと感心した珠川こおりの新作。今度は姉と弟のお話。大学生の姉は高校2年生の弟のことが大好き。もしかしたら彼は男の子にしか興味を持てないのではないかと心配している。だから自宅に彼の親友(もちろん男の子)が訪ねてくるとドキドキする。ふたりきりで部屋で何をしているのか、気になる。恋人(彼女には素敵な彼氏がいる。彼はバイだが、 . . . 本文を読む
コメント

『コンビニエンス・ストーリー』

2022-08-26 10:19:59 | 映画
この夏いちばん見たかった映画だ。前作『大怪獣のあとしまつ』に続く今年2本目の三木聡監督作品。何をしても彼は変わらない。あの怪獣映画にがっかりした人たちはまるで三木聡のことを知らない人たちだろう。勘違いも甚だしい。まぁ、松竹・東映共同制作の大作映画を彼の任せたほうが悪いのだ。最初からあんな映画になることは必至だ。三木聡は妥協しないし、自分を曲げない。というか、自分の趣味で映画を作っている。自分のした . . . 本文を読む
コメント

『ぜんぶ、ボクのせい』

2022-08-26 09:35:13 | 映画
これもまた新人監督のデビュー作品だ。『サバカン』とは違いこちらは実にシビアな内容。でも、同じように自分たちが抱える問題と正面から向き合い妥協はない。自分のスタイルをしっかり持ち、自信をもって自らが取り上げた(選んだ)題材と向き合う姿勢が素晴らしい。過剰な思い入れはあえてせず、きちんと距離を保ちながら冷静にこの少年現実と対峙する。 彼が逃げるのではなく、自分の意志で施設を抜け出し、母親の元へと旅立 . . . 本文を読む
コメント

『本気のしるし』

2022-08-25 11:00:08 | 映画
『本気のしるし 劇場版』は一昨年のキネマ旬報ベストテンの3位にランクインした。ちなみのその年のベストワンは『スパイの妻 劇場版』である。ありえない、と思う。2本ともTV作品として作られたものだ。それがその年の劇場映画のベスト3に入っている。あの年の日本映画を代表する2作なのだ。しかも、海外でも大評判である。そんな時代がやってきてしまった。ネットフリックス映画がアカデミー賞を席巻する時代なのだからそ . . . 本文を読む
コメント

『タング TANG』

2022-08-25 09:50:22 | 映画
三木孝浩監督によるこの夏の3連作3連投の第2作。今回はSFだ。昨年の『夏への扉』に続いての2作目になる。どちらも80年代のハリウッドSF大作へのオマージュだ。前作は『バック・トゥー・ザ・フューチャー』で今回は『ET』。わかりやすい。しかもどちらもハードなSFではなくファミリーピクチャーを目指す。スピルバーグとゼメギスによる彼らが一番輝いていた時代の映画だ。今回は前作以上にそこへのオマージュがあから . . . 本文を読む
コメント

『サバカン』

2022-08-24 16:56:59 | 映画
まるで『スタンドバイミー』のような映画じゃないか。日本版で長崎版の。1986年という時代背景がしっかりと刻まれる。小学5年生の夏。これは作者である監督の自伝的な作品なのだろう。で、それはたった1日の、ふたりだけの小さな旅。でも彼らにとっては忘れられない大冒険。ブーメラン島に行くとそこでイルカが見れる、という噂を信じて夏のある日ふたりは内緒で早朝から二人乗りの自転車で旅に出る。5時までに帰らなくては . . . 本文を読む
コメント

香坂直『ストロベリーブルー』

2022-08-17 11:14:52 | その他
今はもう基本新作しか読まないけど、たまに読み落としていた本も手に取る。お盆に映画を見に行ったら、見たい映画が満席だったのでやめて帰ってきた。最初からこの時期に映画館なんかに行くべきではなかったのだが、なんとなく暇だったので、ついつい行ってしまい失敗した。仕方ないので、帰りに図書館に行く。読む本はたくさんキープしてあるけど、なんとなく棚からこの本を手にしていた。見れば10年ほど前の本だ。もしかしたら . . . 本文を読む
コメント