大みそかの今日、さきほど今年最後の映画を見た。劇場で見逃した『パピヨン』だ。とてもいい映画で満足した。マックイーンの傑作『パピヨン』の2度目の映画化作品である。どうして今頃これをリメイクするのか、よくわからないけど、高校生の頃、劇場で見て号泣したあの映画が今どうよみがえるのか、気になった。大好きだったあの映画がまるで趣の異なる静かな映画として再び作られ、それがちゃんと胸に沁みた。よかった。熱い映画 . . . 本文を読む
今年最後にこれだけは見ておきたいと思った。3時間29分の超大作である。NETFLIXの提供なので、小規模の劇場で充分な宣伝もなくひそかに上映されている。大阪ではシネリーブル梅田で1日1回上映のみ。でも、映画ファンなら誰もが知っている今年一番の問題作であろう。
ただ、期待が大きすぎたからだろうか、僕には少しがっかりな作品だった。70年代、10代のころ、リアルタイムで『タクシードライバー』を見た世代 . . . 本文を読む
「毎日が実験だ」というキャッチフレーズが気持ちいいし、初々しい。そういう作り手側の姿勢がちゃんと芝居に反映されている。一人芝居で、ある男の内面の葛藤をいくつもの視点からみつめていく。現実と虚構のはざまで行き来する、短いシーンの積み重ねで、気負いなく、とても自然な心情を表現しようとした。決して頭でっかちで観念的なもの、というわけではない。ただストーリーを追っていくわけではなく、その瞬間瞬間の感情を点 . . . 本文を読む
映画や芝居は本数が減ったけど、読書は大丈夫。というか、冊数では例年より増えている。156冊読んだ。もちろん小説が9割以上だ。その中からのベストテン。
わかりやすいように2019年の出版された新刊本だけでベストテンを選ぼうとしたけど、2018年の10月以降の作品も含めた。130冊ほどになる。(ただし1位の『そして、バトンは渡された』は18年2月だけど)
1位 そして、バトンは渡された (瀬尾まい . . . 本文を読む
今年はこの30年間くらいで初めて芝居の鑑賞本数が100本に満たないという異常事態に陥るかと思われたが年末でなんとか103本には達したので、ほっとした。まぁ、大事なことは本数ではなく中身なのだけれど、それにしても鑑賞本数の激減には驚く。自分の体力と気力のなさ、そして、機会が減ったこと。(以前と違って案内頂くことも少なくなったことも影響しているのだろう。)自分のせいだけど。来年はもっと積極的に取り組も . . . 本文を読む
外国映画は76本。でも、今日明日であと2本見るからそれをベストテンに入れるかもしれないからこれは暫定順位。
1位 希望の灯り トーマス・ステューバー
2位 芳華-Youth- フォン・シャオガン
3位 帰れない二人 ジャ・ジャンクー
4位 影武者 shadow チャン・イーモウ
5位 幸福なラザロ アリーチェ・ロルヴァケル
6位 ライフ・イット・セルフ
7位 サマー・フィーリング . . . 本文を読む
今年劇場で見た新作日本映画は93本。その中からの10本だ。でも、10本から漏れた映画に愛着がある。『きみと波にのれたら』とか、『町田くんの世界』とか。どちらもとてもチャーミングな映画だからだ。自分の趣味で選んでいるのについついベスト作品と思うと、完成度重視で選んでしまうし、2019年を代表する映画、とか、今年を象徴するエポックとか考えないでもいいところも、考慮してしまうのかな。
岡田准一が凄い『 . . . 本文を読む
こんなにも楽しい映画がまるでヒットしていない。時代錯誤の企画だからだ。そんなこと、見る前からわかっていた話だ。でも、この企画でGOサインを出した。そこには何があったのか。それを確かめたくて劇場に行く。
周防正行監督だって今この企画で集客が可能だとは思っていなかったはずだ。でも、面白い映画を作ればお客は集まると信じた。(たぶん)そして、こんなに楽しい映画を作ったのだ。でも、興行的には惨敗だ。今の時 . . . 本文を読む
22年ぶりに寅さんが帰ってきた。こんな映画が作られるなんてなんだか夢にようだ。でも、正直言うと少し見るのが怖かった。渥美清が亡くなったことで、寅さんは終わったのだ。その事実は消えることはない。もちろん、みんなの心の中には、今もずっと寅さんは生き続ける。そんなことわかりきった話だが。
だからこそ、こういう形でもう一度イベントとしてではなく、第50作目の新作として、今回限りの作品を山田洋次が作る決心 . . . 本文を読む
先にNHKで放送された90分のヴァージョンを見ている。あの時は困った。これは一体何事だろうか、と不安にさせられる。この映画が何を意図したものなのかがよくはわからなかったからだ。8年ぶりのイ・チャンドンの新作だから、とても期待していたし、原作が村上春樹の『納屋を焼く』なのだ、どんな作品になるのか、想像もつかない。それだけに、唖然とした。僕にはこの映画(TVドラマ、というべきなのか)が何がしたかったの . . . 本文を読む
この内容で2時間5分はさすがに長い。だけれども、仕掛けたお話をきちんとすべて収めるところに収めるためにはこれだけの尺が必要だったのかもしれない。シチュエーションコメディだけど、リアルは全く求めない。荒唐無稽を貫く。バカバカしくて楽しい芝居を目指した。生真面目に。そういう不器用なところがこの集団らしい。
お話自体はとてもたわいない。そんな芝居だ。だから本来ならもっとテンポよくスマートに作って100 . . . 本文を読む
こんなにもハイテンションな芝居はめったにない。最初から最後まで役者たちはずっと叫び続けている。さぞや疲れることだろう。でも、みんな同じように叫び続ける。最初から最後まで。95分間。怒濤の快進撃を見せる。凄い。
作、演出の松森モへーの脳内で生じた5つの話をばらばらにして同時進行で展開する。それはモへーの思いつきでしかない。書けない作家が必死で書いたエピソード。とてもバカバカしくて強烈。確かに圧倒さ . . . 本文を読む
今年3本目の往来公演。前回から2か月での新作上演となる。今回は主人公にアイドルの女の子(内木志)を起用して(というか、この企画はきっと彼女ありき、のものなのだろう)彼女を劇団が支えるという形での上演。内容はいつものパターンの人情喜劇。
網走の場末のスナックを舞台にして、現役アイドルがなぜか引退して、ここで働いている。好きだった男を待ち続けるために。東京を離れて、故郷であるここに戻ってきた。行方不 . . . 本文を読む
CGアニメーションとして蘇ったルパン3世なのだけど、全くお話がつまらない。山崎貴監督なので、期待大だったのだけど、どうしてこんなことになったのだろうか。『カリオストロの城』を目指したはずなのに、ストーリーの表層をなぞるだけで、まるで弾まない。
時代が1955年というのは、なんだか不思議な感じがしてよかったのだけど、それが生かし切れていない。ヒトラーがまだ生きていてナチス復活を目論む、とかいうよう . . . 本文を読む
「この公演をもって、南船北馬の大阪公演はしばらくお休みいたします。」という告知がチラシのなかにあった。南船北馬一団の旗揚げからずっと棚瀬さんのお芝居を見てきたものとしては感慨深い。もう20年以上になる。
大阪で芝居を作ってきた彼女が新しい一歩を踏み出す。この作品はその初めの一歩となる。これは旅立ちの話だ。2人の男と4人の女たち。描かれるのは単純に、彼らが今いるところから新しい場所へと向かい始める . . . 本文を読む