これは「大阪☆春夏秋冬」の6人による劇団。だからお話も当然6人の女の子たちを中心に据えたお芝居になる。彼女たちが自分たちの夢を叶えるために戦う姿を描く活劇だ。少女たちの願いをまわりの大人たちが支えて大きな舞台を作り上げるまでを描く。
年に一度の祭りで踊りたい、というささやかな願いが始まりだ。大坂夏の陣から2年、荒れ果てた大坂。舞台は河内の小さな村、そこで行われるはずだったささやかな祭り。この子た . . . 本文を読む
どうしてここまでするのか。想像を絶する。強情なんて言葉では説明はつかない。自分だけではなく、家族や村の人たちにも影響を及ぼす。たくさんの人たちを巻き込んで、不幸にして、とんでもない事になる。最後は自分も死刑になる。わかっていたことだ。こんなことをしても誰も幸せにはしない。
しかし、彼は頑なに自分の選択を守り抜く。変えない。だから、ひたすら、見ていて苦しかった。間違っているのは彼ではないことなんて . . . 本文を読む
DVDで10数本の映画を1週間で見た。ちょっとした冒険だ。まぁ、別に見なくてもよかったけど。
見逃していた「そこそこ」の映画を、24時間くらいの時間を使って見た。暇だから、ついつい無謀に挑戦した。何がしたくてそんなことを、とも思う。でも、何もしなかったら死ぬし、ね。それは大げさだけど、まぁ、その週末は時間も十分にあり、セールをしていて準新作も100円でレンタル出来るから、借りてしまっただけ。だい . . . 本文を読む
なんでこんなしんどい映画ばかりを見ているのだろうか。なんだか自分で自分を追い詰めているみたいで嫌になる。もっとノーテンキで何も考えなくていい映画にすればいいのに、ついつい暗い映画ばかりを選んでしまう。これは救いようがない映画だ。しかも、大友啓史監督はそこに一切逃げ場を用意しない。彼らを静かに追い詰めていく。
綾野剛演じる主人公と松田龍平演じる友人とのやりとりが描かれる。彼らふたりのあやうい関係は . . . 本文を読む
三島由紀子監督作品。脚本が池田千尋監督との連名になっている。ふたりが共同して苦しみながらこの稀有なヒロインを造形したのだろう。よくぞここまで追い詰めた。震える。島本理生の小説の映画化である。これは女性だからこそ作れた映画だろう。
夏帆演じるヒロインの気持ちがとても丁寧に描かれてある。だがこれはとても厳しい映画だ。幸せになるために結婚した。自分さえ我慢したならこの幸せは維持できると思った。でも、我 . . . 本文を読む
これだけの映画が1日1回しか上映されていない。しかも、シネコンの一番小さな劇場で。もちろん最初の1週はちゃんと大きなスクリーンで上映されていたけど、2週目からは縮小され、見に行くのが困難になり、ようやく先週の土曜に朝イチで見れた。見てよかった。2時間33分があっという間だった。
僕は別に車には関心はない。でも、大丈夫だ。これはそれだけの映画ではない。カーレースを扱うけど、2人の男の闘いのドラマだ . . . 本文を読む
セドリック・クラピッシュ監督の新作。久々の新作で、実は日本では2018年の12月にひっそりと公開されていたようだが、まるでノーチェックだった。たまたま先日TSUTAYAで見つけて借りてきた。
いつも通りとても気持ちのいい映画だった。『猫が行方不明』で出会い、以降すべての公開作品を見てきている(はず)のだけど、最近日本での劇場公開がなく、本作がたぶん10年ぶりくらいではないか。彼の名前をしばらく忘 . . . 本文を読む
とてもシンプルなお話だ。今暮らす場所で住めなくなった人たちを移住させるための通報員ととどまり続ける人たちとのやりとりが描かれる。ただ、移住というのが、地球から他の星へということで、お話はちょっとSFなんですが、テンションは低め。前半は息子の帰りを待つ年老いた母親の話。後半は人のいなくなった街で窃盗を繰り返す小劇場の劇団員。彼らはここで公演を打つ予定で準備している。そんなふたつのお話に出口弥生演じる . . . 本文を読む
昨年の公開時、とても見たいと思った映画だ。この手の青春映画はもう満腹だ、と思いつつも、でも、まだまだ新しい風景がそこにあるのではないか、と期待してしまう。わがままだし、きっと贅沢なのだ。うんざりするほど、高校生を描いた青春映画は作られてきている。でも続々と作られる。それだけ需要があるのだ。もっと、もっとそこに何かを見たいと思う。
男女7人の高校生たちの恋愛ものだろうと、思いながらも、まっすぐな一 . . . 本文を読む
なんだかとんでもなくバカバカしい映画を見たくてこの映画を選んだ。福田雄一監督だからくだらないし、楽しいはずだ。しかも彼が初の本格ミュージカルに挑戦したというあほらしいさも買いだろう。
僕は元来ミュージカル映画は基本苦手だ。昔『シェルブールの雨傘』を見てずっこけたのがトラウマ。当時こんなアホな映画を見てられないと思った。確かまだ純真だった中学3年の時だ。純情な映画少年だった。あれが人生初ミュージカ . . . 本文を読む
高橋恵さんの最高傑作。ここ数本ますますレベルを上げてきていた彼女が満を持して挑む東大阪の町工場クロニクル。バブル期から現在までの30年にわたる哀感を描く。兄の死によって工場を継ぐことになった弟を主人公にして、この工場で働く工員たち、家族による群像劇だ。この場所を大切にして、ここを守るために必死になって生きる彼らの日常のなんでもない日々を丁寧に切りとっていく。
それぞれの秘められた想いが、ほんのち . . . 本文を読む
SSTプロデュース『彼方のソナタ』3人が丁々発止のやりとりをするのではなく、なんとなくお互いがビクビクしている。3人の間に微妙な距離があり、それがラストまで続くのがもどかしい。これは男3人によるアンサンブルであり、彼らの掛け合いの面白さで見せていく芝居なのだが、これではあまり弾まない。だが、それはこの芝居の拙さではなく、演出の意図だ。
当麻さんは敢えて流れをせき止めるような演出をする。彼らのやり . . . 本文を読む
平日の夜の回の上映だったのだが、なんと満席状態で驚く。それだけ期待されているという事か。『呪怨』の清水崇監督が久々に放つホラー映画。ダムの底に沈んだ村に繋がるトンネル。その先には呪われた村の記憶が今も残る。村人の生き残りには、そこで死んだ人々の姿が見える。呪われた子孫たちがたどることとなる記憶の底の村への旅。そこへと引き寄せられていく子どもたちによみがえる失われた記憶。あの村では何があったのか。な . . . 本文を読む
シリーズ第4作。前半は、なんとパリが舞台だ。前作でコンクールで優勝したご褒美としての研修旅行に主人公2人が行くというお話。そこでの数日間が描かれる観光旅行編だ。
そして、ふたりの恋はどうなるのか、とか、そんな感じ。後半は帰ってきてからのお話で、文化祭が舞台となる。軽くて楽しくて、一瞬で読める。まぁ、それって今までもそうだったので特に変わりはないのだけど、今回は旅行がメインなので番外編の趣で、今ま . . . 本文を読む
本日から(2月11日)から2週間にわたってウイングフィールドでは「Plant M」による「終末Blues特集 Vol.1」として2本立で本作と『ラズベリーシャウト』が上演されている。樋口ミユによるこの過激な作品は実に興味深い。
極限まで張り詰めた空気。ピリピリする世界で、3人姉妹とその弟が対峙する。その3対1の構図は誰かを常に一人にする。弟は銃を手にして仕事に向かう。それって戦場に行くということ . . . 本文を読む