『おっぱいバレー』に続くアミューズの変形スポーツもの。悪くはないが、ちょっと中途半端だ。コメディーとシリアスのバランスが悪いから、乗り切れない。
ずっとこの映画のタイトルを『ソフトボール』だと思っていた。思い込みというものは怖ろしい。この映画の存在を知った頃から2ヶ月は経つがその間いろんな媒体でこの映画の告知を見ても、全く疑うことなく『ソフトボール』と信じていた。しかし、劇場に行くためホーム . . . 本文を読む
アメリカンニューシネマを思わせる映画だ。今時こういうタイプの映画は珍しい。甘いだけの映画が横行する中でここまでハードな状況がクールなタッチで描かれていく映画は少ない。『イージーライダー』と『明日に向かって撃て!』を混ぜ合わせたような感触。2人の男たちがバイクで旅するし、男女3人によるロードムービーだから、と言えばそれまでなのだが。ただしここに描かれている閉塞状況があれらの映画を想起するというほう . . . 本文を読む
あまり期待はしてなかったけれども、ここまでつまらないなんて意外だ。ソフトポルノとしてではなく、この題材をかなり本気で扱った映画だと思ったから、少し期待して、わざわざレンタルしてきて見たのに、こんなつまらない映画でしかないなんてショックだ。原作は安易な漫画ではなく、一応小説らしい。もしかしたら原作は面白いのかもしれないが、もう読む気はない。だいたいこのセンスのないタイトルをわざわざつけたところがこ . . . 本文を読む
綾野剛という人が主演する『 Life』という映画をなんとなく見た。監督は佐々木紳という人。全く無名の若手作家による作品に手を出すのはかなりリスキーだ。ひとりよがりのつまらない低予算映画の凡作を見せられる可能性が大だからだ。本作もそんなタイプの1作。
全く期待はしなかったが、もしかしたら誰も知らない傑作に出会えるのでは、なんていう淡い期待をしていた自分の甘さが恨めしい。貴重な時間をこんなレベル . . . 本文を読む
『女中譚』に続いて再び【女中】を主人公にして描く中島京子の新作。前作をウォーミングアップにして、今回は長編として昭和初期を舞台にしたひとりの女中の姿を追った野心作。老嬢が60年以上も前の日々を振り返って行く。彼女の10代後半から20代半ばまでの一番幸せだった日々のいくつもの思い出が順を追って語られていく。昭和5年春から19年の春まで。尋常小学校を出たばかりのタキが山形から東京に出てきて、女中とし . . . 本文を読む
10篇の短編からなる。いずれも恋の終わりを描く心象風景。ほんのささいな出来事が恋の終焉を自覚させることとなる。なんだか胸に痛い話ばかりだ。さりげない、というかそっけないようなタイトルが並ぶ。『幽霊』『手紙』『奥さん』という感じだ。『自伝』『犬』『金』と続く。
そっけないがそのそっけなさが魅力的でもある。向かいの家の男との1度の過ちの記憶。恋人の手紙。マンションの奥さんたちとの情事。自伝を書い . . . 本文を読む
翻訳家の柴田さんのエッセイ集なのだが、全体が一編の小説のようなスタイルになっているのがおもしろい。。生まれ育った六郷を舞台にしたお話からスタートしてロンドン、ニューヨーク、オレゴン、そして再び東京に。旅のエッセイだが、まるで柴田さんの人生そのものがそこには投影される。どこにいても自分は自分だ、と思う。そう思うのは、たぶん柴田さん自身なのだが、まるで自分が(こちらの自分は僕自身のことね)そこにいて . . . 本文を読む
高橋伴明監督が『禅』の前に撮った作品。劇場公開時(2008年)見落としたまま今日に到っていた。とても気になっていた映画だ。なぜ、今、こんな話を映画化するのだろうか。その意図が知りたいと思った。
商業的には絶対に成立しない映画だ。しかも制作費はかなりかかる。リスクは大きく得るものは少ない。にもかかわらずこれを映画化したのはなぜか。当然興行的には惨敗した。誰からも顧みられることもないまま消えてい . . . 本文を読む
劇団未来のアトリエで芝居を見るのは久しぶりのことだ。そう、今回は野江にあるアトリエ(劇団未来ワークスタジオ)での本公演である。そのことも楽しみだった。自らのホームグランドで、軽やかなタッチでこの笑劇を見せてくれたならいいなぁ、と期待した。この作品はMONOの土田英生が、チェーホフの4つの短編を、日本に舞台を移し替えて書き換えた作品だ。それを劇団未来が取り上げる。軽妙な土田作品を演出の森本景文さん . . . 本文を読む
前田耕揚が作品ごとにメンバーを集めてプロデュースする芝居の第3弾。今回は坂口修一を中心にして彼のセレクトで選ばれた精鋭による作品。キーマンは遊気舎の久保田浩。高校球児だった5人の男たちの再会を描く。
柴田隆弘による美術はなんだか懐かしい。今もある思い出の場所を具体的なのになんとも象徴的に提示する。ノスタルジックな色彩に彩られた空間で20年振りに再会する。彼らは同じカードに導かれてここにきた。 . . . 本文を読む
阪本順治監督作品である。この映画はただそれだけで注目を集める。香取慎吾が主演であることよりも阪本監督作品であることの方が大事である。だいたいなんで香取が座頭市なんだ? それになんで今時、座頭市なんだ? そんな疑問も気にしない。わからなくてもよい。阪本監督がチョイスしたのだから、ただそれだけで信じる。
とは言え、映画自体はいつまでたっても弾まない。エンタメでもないし、アートでもない。なんだか中 . . . 本文を読む
3世代にわたる女たちの姿を描く女性大作。6人の今をときめく女優たちが競演した資生堂のコマーシャルの映画化。昭和11年、昭和40年前後、平成21年、という3つの時代を背景にして、ある家族の歴史の断片が1本の映画になって綴られていくことになる。
映画は齢90歳を越えた祖母の死から始まり、再び彼女の葬儀で終わる。その祖母がまだ10代の頃を蒼井優が演じる。結婚を明日に控えた日と当日の2日間、揺れる心 . . . 本文を読む
アクションである。B級映画の定番のような話で、主人公は必ずスティーブン・セガールでなくてはならないようなお話だ。なのにそれをリーアム・ニーソンが演じる。あの『シンドラーのリスト』とか、たくさんの名画に出ているような人だ。なんだかそれだけで変な気分にさせられる。これは社会派映画なのか、と突っ込みを入れたくなるが、まるで社会派ではない。ただの単純アクションだ。リーアムの出るような映画ではない。上映時 . . . 本文を読む
中西邦子さんはとてもさりげない家族の風景を、笑いに包みこんで見せようとした。その試みはとりあえず成功している。あまりにこぢんまりとまとまりすぎているから芝居としては物足りない。だが、ここに描かれる優しさはとても居心地がいい。主人公であるよう子(中西さんが自ら演じる)とともに福喜多さんちの家に入って生活していく感じ、そこがこの芝居の魅力だ。
それにしても、ここまで内容のないお話をよくも作れたも . . . 本文を読む
とても微妙な差なのだが、その差がかなり気になる。先週見たクロムモリブデンと同じ方向性を示す作品だと思う。とんでもなくバカバカしくて無意味である。でも、その無意味を極めると清々しくさえある。
クロムの突き抜け方と、ババロワーズの思い切りの悪さは、紙一重の差であろう。だが、その違いは大きい。本来、この作品の描く暴力はクロムの作品に顕著だった特徴だ。それに対して今回のクロムの設定はババロワーズが得 . . . 本文を読む