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映画・演劇のレビュー

『グリーンナイト』

2022-11-30 18:54:30 | 映画
こんな映画ありなのか。この手の「騎士もの」はないわけではないけど、このわけのわからなさは大概だろ。ではこれがはちゃめちゃな映画なのか、と言われるとそうではなく、実に端正な映画なのだ。丁寧に作られてある。重厚な映画だ。なのに、いや、だからこのわけのわからなさが際立つ。グリーンナイト(緑の騎士)と戦い勝つと、1年後、自分がグリーンナイトの首を取ったのと同じように首を切られて死ぬことになる、なんていう予 . . . 本文を読む
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神原組プロデュース『わらわら草紙 七の章』

2022-11-30 18:16:27 | 演劇
今年もこの時期にちゃんと『わらわら草紙』の新作を上演する。すでに来春の「浮狼舎」、夏の「すかんぽ長屋」での公演も決まっている。コロナ禍でも全くペースを変えることなく芝居を続けてきた。きっと来年の秋に『八の章』を上演するはずだ。神原さんの勢いは止まらないし、彼女はそれを止めない。止めたなら死んでしまう。(冗談ではなく!)だからちゃんと見守りたい。だが、そこには悲壮感はない。とても楽しそうに演じる。そ . . . 本文を読む
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『ブラックパンサー ワカンダ・フォーエバー』

2022-11-26 18:14:31 | 映画
またまたマーベル映画の新作が登場した。初めて黒人が主人公を演じる「ヒーローもの」として大ヒットした『ブラックパンサー』の続編だ。前作は素晴らしい出来だっただけに期待も高まる。マーベルのヒーロー映画は「群像もの」ではなく単体のほうが俄然面白い。特にこの『ブラックパンサー』はただのアクション重視の派手なSFXを駆使した「ヒーローもの」ではなく、ストーリー重視なのがいい。今回もなんと上映時間が2時間41 . . . 本文を読む
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宇野碧『レペゼン母』他

2022-11-26 16:06:51 | その他
65歳の母、35歳の息子。和歌山の梅農家の母がラップバトルに挑み、借金まみれの現実逃避息子と戦うことになる。テンポもよく、とても面白い作品だ。母はこのダメダメのバカ息子のせいで大変な思いをする。彼はいろんなことに挑戦するけどいつもすぐに諦めてしまい長続きしない。ようやく実家に戻り家業を継ぐのかと思われたのに、また出奔。今も嫁さん(2度目の)を残したまま家出して所在不明。よくできた彼の妻が母の右腕に . . . 本文を読む
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乾ルカ『水底のスピカ』

2022-11-26 15:29:54 | その他
これはとある3人の女の子たちのどこにでもありそうな日々を描く小説だ。だけどそれは彼女たちにとってかけがえのない時間だ。17歳、高校2年生の夏から約13か月。高3の秋、9月末までの時間限定。舞台は札幌。短い夏休みが終わり、新学期が始まったばかりの8月21日、もう2学期は始まっているそんなとき、ひとりの転校生がやってくる。孤独な彼女がそこで出会う二人の少女との物語だ。心を閉ざすひとりぼっちの3人が距離 . . . 本文を読む
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『ある男』

2022-11-26 11:14:24 | 映画
これは凄い映画だ。連続してこの映画の後『あちらにいる鬼』を見たからかもしれないが、この映画のインパクトが強すぎて『あちらにいる鬼』を過少評価してしまったかもしれない。比較の問題ではないのだろうけど、どちらも不可解な人の心を切り取る映画だったので、ついつい較べてしまう。あれは恋愛仕立ての人間ドラマなら、こちらはミステリー仕立ての人間ドラマ。アプローチは違えども、核心は同じ。人の心の不可解さ。 弁護 . . . 本文を読む
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『あちらにいる鬼』

2022-11-26 10:22:58 | 映画
この11月、廣木隆一監督の作品がほぼ3週間連続で公開される。23日から公開中の『母性』と12月2日公開の『月の満ち欠け』に先駆けて公開されたこの作品はその第1弾であり彼としては最新作だろう。(『母性』『月の満ち欠け』のほうが先に撮影され完成していたはず)こんなことがあるのかと驚く。今年の夏、三木孝浩監督も1か月ほどの間で3作品連続公開したけど、廣木隆一監督は3週間で3作である。乱発しているわけでは . . . 本文を読む
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あみゅーず・とらいあんぐる『sukiのつづき』

2022-11-22 19:35:05 | 演劇
1990年から始まって、毎年秋に1作ずつ(コロナでお休みはあったけど)公演が続いた。そしてなんと今回、あみゅーず第30作目の記念作品だ。すごいなぁ、と素直に感動する。条さんと笠嶋さんが友情を育み、ずっとふたりで(たくさんの仲間とともに!)途切れることなく(当然、途絶えることもなく)ここまで続けたのだ。30年って半端じゃない歳月だ。スタッフも変わらない。キャストは男優には毎回いろんなゲストを呼んでく . . . 本文を読む
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『宮松と山下』

2022-11-22 18:09:00 | 映画
『宮松と山下』って、なんなんだ? これは映画のタイトルではない。でも、これはこんなタイトルの映画なのだ。ふたつの苗字はふたつの人格。過去の記憶を失い生きている宮松が主人公。彼を香川照之が演じる。今回の香川の演技もふつうじゃない。セリフはほとんどないし、内面がまるで空洞。彼の姿に釘付けにされる。彼から目が離せない。監督は佐藤雅彦と、NHKでドラマ演出に携わってきたという関友太郎、「百花」の共同脚本を . . . 本文を読む
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燐光群『藤原さんのドライブ』

2022-11-22 17:35:48 | 演劇
とてもいい芝居だとは思うのだけど、なんだか乗り切れなかったというのが正直な感想だ。お話があまりにストレートすぎて、なんだかなぁと思うのである。コロナ禍における感染、隔離を下敷きにしたドラマは、リアルだけど、ここに描かれるドラマは現実ではなくなんだかSF的な設定だ。そのちぐはぐな感じが、この芝居のスタイルであり魅力でもあるのだろう。そこに乗り切れたなら感動したはず。でも、そうはならなかった。断片的に . . . 本文を読む
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『桜色の風が吹く』

2022-11-22 16:50:20 | 映画
難病物の実話を基にした感動の人間ドラマ、という映画は苦手だからあまり見ないのだが、これは小雪が12年ぶりに主演する映画だと知り、見ようと思った。夫の松山ケンイチと一緒に子育てをしながら、地方で農業をしながら暮らす彼女が敢えて今挑む映画だというだけで期待が高まる。納得のいく仕事しか受けないはず。何が彼女の心を動かしたか。気になる。 智は幼いころに片目の視力を失い、さらには全盲に、それでも母親に支え . . . 本文を読む
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『土を喰らう12か月』

2022-11-20 15:46:23 | 映画
『ナビィの恋』の中江裕司監督の久々の劇映画。前作『盆唄』はドキュメンタリーだったので、劇映画は久しぶり。しかも今回は沖縄が舞台ではない。原作は小説ではなく水上勉による料理エッセイ(「土を喰う日々 わが精進十二カ月」)ということだが、そこにはたぶんストーリーはないだろうから、これはほとんどオリジナル台本だ。でも、この映画自体もほとんどお話はない。これはドキュメンタリー映画のような作品なのである。食事 . . . 本文を読む
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『ドント・ウォーリー・ダーリン』

2022-11-17 17:59:50 | 映画
これは悪夢のユートピア、嘘くさい幸せを描くディストピア映画。悪い映画ではないし、意図するところは明確だ。だけど、なんだかあまりに単純で見ていて違和感しかない。 主人公が暮らす街は理想郷。主人公(フローレンス・ビュー)はそこで、夫と二人幸せに暮らしている。きれいな街。同じ家が並び、同じような夫婦が暮らし、夫たちは車で同じ時間に一斉に仕事に行き、妻たちはみんな専業主婦で家事をしながら夫の帰りを待つ。 . . . 本文を読む
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『めぐりあい』

2022-11-17 16:59:38 | 映画
フィルムセンターの巡回上映でこの作品が上映された。以前から見たかった映画だ。内藤洋子をメインにした東宝の青春映画は60年代後半から70年代初めにかけて作られた。これはその1作であり酒井和歌子のデビュー作でもある作品。黒沢年男が相手役として主演。さわやかな青春映画だと思い期待したのだが、なんだか不思議な映画で今から54年前という時代を改めて認識することになる。 60年代を席巻した日活青春映画群とは . . . 本文を読む
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『すずめの戸締り』

2022-11-17 11:33:27 | 映画
先に小説版を読んでしまったので、少しよくない先入観が出来ていたかもしれない。先に小説の感想は書いたが、そこで「これはあまりアニメ向けの題材ではないのではないかという不安を抱いた」というようなことを書いた気がする。(いつものことだが、もう詳しいことは忘れている! そのうえ確認する気もない) 今回はなんとアイマックス上映もある。この映画が大ヒットすることは必然だが、アイマックス用の仕様で作られてある . . . 本文を読む
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