習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

『pk』

2017-04-26 19:00:32 | 映画
  『きっと、うまくいく』はすごかった。こんなインド映画が見たかった、と思わせるような傑作。インドらしい過剰過激なエスカレートが、想像を絶する世界へと僕たちを誘う。ザ・インド・エンタメ・スペシャル。   あの作品の監督、主演コンビであるラージクマール・ヒラーニ監督と、インド映画界のスターであるアーミル・カーンが放つ本作は、宗教をネタにして、ここまでしても大丈夫かと不安にさ . . . 本文を読む
コメント

呉勝浩『白い衝動』

2017-04-26 18:59:00 | その他
  本を読む手が止まらない。この先いったいどうなるのか。ドキドキしながら、先を急ぐ。どんどんページを繰っていくことになる。スクールカウンセラーの女性のもとにやってきた少年は「人を殺してみたい」と言う。かつて凄まじく残酷な事件を起こした犯人が刑務所から出てきてこの町で暮らしていることがわかる。殺人への衝動を抑えきれない少年は、その連続一家監禁事件を起こした犯人を殺そうとする。 黒沢清で . . . 本文を読む
コメント

Plant M『凜然グッドバイ』

2017-04-26 18:58:09 | 演劇
 ここに2人いる.彼女たちが何者なのか、わからない。彼女たちはその身体と言葉を武器にして未来と向き合う。これはとても感覚的な芝居だ。この作品はuglyの最後の公演作品であり、ここから今の樋口ミユがスタートした記念碑的な作品でもある。   今回久しぶりに見て、まるでPlant Mの新作を見ているような気分になった。(まぁ、これは間違いなく最新作なのだけど、まるで再演とは思えな . . . 本文を読む
コメント

「演」~en~『愛情マニア』

2017-04-26 18:56:10 | 演劇
大学生を拉致して自分の部屋に閉じ込めるOL。彼女に気がある大家。みんなに愛してもらいたい彼女の母親は大家にも好きになってもらいたい。そんな大家の娘は父親の愛に飢えている。職場の後輩と上司にカップルがやってきて、拉致学生の友人もやってきて、なんだかんだの大騒ぎになる。芝居は、このなんとも異常な人たちの関係性を通して、その向こう側へと突き抜けていこうとする。 きっと表面的には突劇金魚によるオ . . . 本文を読む
コメント

『ゴースト・イン・ザ・シェル』

2017-04-21 09:44:42 | 映画
『攻殻機動隊』が実写で映画化される。しかもハリウッド映画として。もうそれだけでどれだけ興奮させられたか。ヒロインの草薙素子をスカーレット・ヨハンソンが演じる。予告編も期待させるビジュアルで、脳内の期待度はどんどん高まるばかり。しかも、荒巻をビートたけしが演じる。いったいどうなるのか、予想もつかない。   だけど、不安もあった。監督があの『スノーホワイト』の人だという。あれはへぼい。期 . . . 本文を読む
コメント

『グレートウォール』

2017-04-21 09:07:47 | 映画
チャン・イーモウの最新作。彼にとっては初の3D映画、ということらしい。なんだか意外だけど、そうなんだ。『HERO』とかたくさんのアクション大作を作っているから、3Dなんてもう何度もしているような気がしたけど。   日本では昨年の『妻への旅路』(これはこれで悪くはない昔ながらの地味な佳作だけど)に続く新作。すさまじい超大作映画。しかも彼はこの前に『楊貴妃』という作品も作っていたようだ。 . . . 本文を読む
コメント

『暗黒女子』

2017-04-21 09:04:06 | 映画
「驚愕のラスト24分」ってどこ? 清水冨美加の告白部分のことかな。あきれて驚愕するって感じですか? 飯豊まりえが死んでなかったってなんでや。屋上から落ちたのに「死んでなかったのよ、」の一声で解決するか? そんなんありえん、と思う。確かにその展開には驚愕するけど、それはないわぁ。落ちたら死ぬよ。きっと。じゃあ落ちてなかったのなら、どうしたのか。まぁ、そんな些末なことは無視してでも、全体のお話自体が杜 . . . 本文を読む
コメント

『サラエヴォの銃声』

2017-04-21 08:57:48 | 映画
『サラエヴォの銃声』というタイトルで、『ノーマンズランド』『鉄くず拾いの物語』のダニス・タノヴィッチ監督作品。前知識なくそれだけで見たからなんだか驚いた。こんな映画だとは思いもしなかった。ホテルの中から出ない。群像劇。さまざまな人たちが、ここで交錯していく。それぞれの立場や想いがすれ違い、ぶつかり合う。お話は『グランドホテル』形式を踏む。でも、個々人のドラマはさらりと描かれるから、あまり感傷的には . . . 本文を読む
コメント

いとうみく『ひいな』

2017-04-21 08:47:55 | その他
ひな人形と四年生の女の子が、鄙びた田舎の駅で出会い、心を通い合わせる。誰からも顧みられることもなく、そこにひっそり飾られていたお雛さま。そんな彼女が少女を助けることで、再生していく姿を描く。   僕にとって、いとうみくは『車夫』に続いてこれで2冊目となる。最近出会った作家の中で、とても気になる人だ、今回もとてもいい。児童文学の棚から探してきた本だが、大人が読んでも、とても素直に響いて . . . 本文を読む
コメント

村山早紀『桜花堂ものがたり』

2017-04-21 08:38:41 | その他
『桜花堂ものがたり』という実にシンプルなタイトルがとてもいい。この小説が描くメッセージもそこに尽きる。簡単な話なのだ。でも、それは何よりも大事な話だ。お話が「桜花堂」になかなかたどりつかないのもいい。主人公の青年がそこにいくまでには様々なドラマが用意されている。そこに行きつくまでの話だったんだ、と読み終えて初めて気づく。 生きていくことの喜びと悲しみ。自分の居場所があるということ。この小説のメイ . . . 本文を読む
コメント

『ホワイトリリー』

2017-04-19 21:25:26 | 映画
この映画は今回の「ロマンポルノ・リブート」5作品のラストを飾る作品だ。掉尾を飾るのは中田秀夫である。その選択は悪くはないはずだった。なのに、これはいったいどういうことだろうか。 今回のこの企画、とても楽しみにしていた。僕には恥ずかしながらロマンポルノの終盤10年くらいをコンスタントに見続けたという自負がある。あの情けない気分は見た人でなくてはわからない。劇場に入る瞬間の暗い気分、3本見た後のもっ . . . 本文を読む
コメント

綿矢りさ『手のひらの京』

2017-04-19 20:56:59 | その他
京都を舞台にしてそこで暮らす3姉妹の日々を描く作品。帯には綿矢りさ版『細雪』、とあるが、そんな大仰なものではない。長さも250ページくらいとコンパクト。保育師の長女、OLの次女、大学院生の三女。それぞれがそれぞれの人生の大事な局面に臨み、そこから新しい旅立ちをしていく姿が綴られる。20代後半から30歳という、いろんな意味で微妙な年齢に立つ彼女たちが、自分をみつめる話。 出会いのない毎日に苛立つ長 . . . 本文を読む
コメント

『ライオン 25年目のただいま』

2017-04-15 18:48:56 | 映画
実話の映画化であることをことさらに強調したいのなら、ドキュメンタリーでいいのではないか。敢えて劇映画にするというのならば、劇映画としての矜持を示してもらいたい。確かに感動的な映画ではあるだが、見ながらなんか引っかかることばかりで、すっきりしない。ラストでモデルとなった実際の主人公や両親、実の母親の姿が映されたとき、最初からそれだけでよかったじゃん、と思ってしまった。そう思わせるところがもうこの映画 . . . 本文を読む
コメント

『ひるなかの流星』

2017-04-15 17:57:40 | 映画
『ただ君を愛してる』でデビューして以来信用している新城毅彦監督の新作なので、見たかったけど、なんか最近この手の高校生と先生の恋愛もの映画が続出でいささか食傷気味。またかよ、と思うし、少女マンガの映画化はハードルが上がり気味。もう十分作り尽くした感があるからだ。それでも三木孝浩や廣木隆一なら無条件ならで見るけど、好きだけど新城監督は、実はそこまで、とも思う。まぁ、そんなこんなで少し躊躇したけど、えい . . . 本文を読む
コメント

『夜は短し歩けよ乙女』

2017-04-15 17:06:56 | 映画
森見登美彦の初期作品であり大傑作、青春小説の金字塔が、なんとアニメ映画化された。これを見逃すわけにはいかない。あのハチャメチャな作品がどんな映画になってよみがえるのか。果たしてこの映画を見て広瀬は泣くのか、興味は尽きない。(というか、僕はなぜか、このあほうな原作小説を読んで泣いてしまったのだ! まぁ、そんなこと、他人にはどうでもいいことだろうけど、僕には重大事だった。どこが僕の琴線に触れたのかは、 . . . 本文を読む
コメント