「劇団青い鳥スモールワールド」と銘打たれてある。「スモールワールド」というのがいいな。今回は3人芝居。といっても実質は、2人芝居と言っても問題ないだろう。兄と妹の話だ。兄は40代後半のオカマで、妹は30代後半のフリーター。母親の3回忌に2人で行くのだが、なんか周囲から浮いてしまい、逃げて帰る。母の葬儀にも行けなかった。そして、今回も、である。兄は当然女装していて、親族から勘当されている。妹も同じ . . . 本文を読む
久々にトルコ映画を見る。劇場公開時とても見たいと思っていた作品だ。『蜂蜜』というタイトル。監督はセミフ・カプランオール。これは3部作になっていて、その第1作がこの『卵』である。悩んだけど、順を追って見ることにした。主人公の壮年期を描く『卵』から時代は遡り、青年時代を描く『ミルク』を経て、少年期を描く『蜂蜜』に到る。3本借りてきたのだが今日は『卵』。
正直言ってこれはやりすぎだ、と思った。説明 . . . 本文を読む
いくらなんでもこのタイトルはないだろ。まるでこの映画で商売をする気がない。これでは安物のアクション映画でしかない。三国志を題材にした歴史大作であることはよくわかるが、それってビデオスルーの時ならいざ知らず、劇場公開時にはまるで役にはたたない。もっとこの大作をちゃんとアピールするような重厚なタイトルを配給会社には考えてもらいたい。まぁ充分な宣伝費もなく、一応劇場公開したけど、本当はビデオスルーでも . . . 本文を読む
このなんとも不思議なタイトルの小説は、その内容もまた、タイトル以上に不思議なものだ。9つの短編集というスタイルになっているのだが、これは人質となり死んでしまった8人の犠牲者たちのそれぞれが語ったお話である。彼らが死んでしまった後、盗聴されていた記録を遺族の理解の元、ラジオで公開することになった。その記録なのだ。8人のエピソードに盗聴していた見張り役の兵士の話も含めた9話の朗読。
だが、読みな . . . 本文を読む
かなり思い切ったタイトルだ。映画の本質を直截に看破したようにも見えるけど、なんだか安易にごまかしたようにも取れる。微妙。原題は『黄海』。こちらはストレート。でも日本で商業ベースに乗せるにはこれではダメだろう。
中国の辺境地、朝鮮族が中心になって暮らす地域。延吉市。そこでタクシードライバーをしている男が主人公だ。前半の、彼のここでの暮らしを描く日常描写のシーンが、とても興味深い。中国の地方都市 . . . 本文を読む
このカバーイラストには驚く。なんて趣味が悪い、と思った。これだけで読みたくはなくなる。でも、そんな風に思う人はきっとお断りなのだ。この小説は。このイラストを見た瞬間「嬉しい」と思えるような奇特な人だけを対象にしたマニアックな小説なのである。
でも、当然よしもとばななのファンはちゃんと手に取り読むんだろうな。そして、このイラストの意味を知る。そうすると、ここに込められた彼女の想いに共感する。僕 . . . 本文を読む
村上ラヂオの第2作だ。10年振りとなるらしい。アンアン連載のエッセイである。村上春樹のまるでなんでもないたわいないエッセイなのだが、そのあまりの「たわいもなさ」がうれしい。どうでもいいことをどうでもいいままに書く。それを有り難がるってどうよ、とも思うけど、まぁ、「有り難がる」というのではなく、ただ楽しいから、それだけなのだ。
村上春樹はエッセイが苦手だ。本人がそう言っているのだから、その通り . . . 本文を読む
チェン・カイコーの新作である。だが、なんだかあまり評判はよくないようだ。でも、僕は彼を信じているから、必ず見に行く。『始皇帝暗殺』の時も、そうだった。かなり評判は悪かったようだが、そんなことは断じてない。あれはいい映画だった。ただの贔屓の引き倒しではない。まわりの人たちの勘違いだ。彼はいつも変わらない。周囲に合わせてみんなが喜ぶような映画は作れない。そのへんがチャン・イーモウとは違うのだ。
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北九州市にあるとある工業高校の女子生徒を主人公にした青春小説。彼女は機械科で唯一の1年生。男の子の中に混じって、たったひとりで過ごす高校生活ってどんな感じなのだろうか。そのへんが描かれるのか、と思ったが、実はそうではない。
きっと、そこにいれば、そんなことは特別どうこういう話ではなくなるのだろう。彼女にとってそういう環境はただの日常なのだ。そんなことより、彼女は、もの研(ものづくり研究部)に . . . 本文を読む
いくらなんでも、これはあまりに強引すぎませんか? 監督は『シティ・オブ・バイオレンス 相棒』や『クライング・フィスト 泣拳』のリュ・スンワン。彼らしい、と言えば、確かに彼らしいのかもしれない。テンポもいいし、問答無用な荒っぽい展開で、見るものを引き込む。でもこんなのでいいのかなぁ? 大体、ここまで韓国の警察とか、検察っておバカなのか。なんだか、出て来る人がみんなバカ過ぎて、とてもじゃないけど、本 . . . 本文を読む
このタイトルにそそられた。お金をテーマにした短編集。5人の作家たちがそれぞれの視点から「お金」の挑む。でも、あまり彼らはお金には縁のない人たちばかりだ。というか、興味なさそう。
僕の大好きな平田俊子さんなんて、まるで興味ないのだろう。だから、彼女の今回書く小説『バスと遺産』は、お金を最後には棄ててきてしまうのだ。なんとも太っ腹だ。いくら小説の中とはいえ、ポンと100万円! である。まぁ、失く . . . 本文を読む
こういう映画も作るんだ。そう言えばこれまでも彼はノン・ジャンルでなんでもこい、だった。そんなこんなのマイケル・ウインターボトム監督の新作。コーエン兄弟なんかが、よくやるような犯罪映画なのだが、やはりこれはウインターボトムらしくない。
主人公の独白で展開していくというのも、この手の映画の常套だが、完全にジャンル映画の定石を踏まえた作品に見える。だから、彼らしくないと思うのだ。スマートで、こだわ . . . 本文を読む
映画のタイトルとしていくらなんでもこれはないでしょ、と思う。まるでセールスとか考えていないような邦題である。韓国ではこれでも通用するのだろうが、日本では無理でしょ。もう少し、それらしいタイトルを付けるべきではないか。まぁ、それはともかくとして、この手の映画には、時として拾い物がある。そんな甘い期待を抱いてあまりに間抜けなタイトルのも心惹かれてレンタルしてきた。それに何よりキム・ハヌル主演のコメデ . . . 本文を読む
一昨年の『ローヤの休日』に続く僕としては2度目のゲキバカの長編作品である。こういう「おバカ」そうな芝居はもともとは苦手なのだが、食わず嫌いせず、見てよかったと思う。なんでもそうなのだが、ちゃんと極めたものは、面白いし、意味がある。中途半端はダメだ、ということだ。彼らは確信犯的にこのバカ街道をまっしぐらに暴走する。前作以上に今回それを感じさせられた。おふざけではない。本気のバカだ。これは簡単そうに . . . 本文を読む
何も知らずに見たから、この展開には驚いた。あっ、でもそれは嘘かも。もちろん予告編を見ていたからこれが衝撃作であることは、想像はついた。しかも、キネマ旬報の批評もさらっと流し読みで、読んでいたから、これが凄いことは充分に予備知識として仕入れていたのかも知れないが、それでもまるで先が読めないし、一体何が起こっているのかも、わからないまま、どんどん話の中に引き込まれていく。凄い。この有無を言わさない展 . . . 本文を読む