習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

『クラブゼロ』

2024-12-16 16:54:00 | 映画
実を言うと、これはあまり見る気がしなかった。だけど、芝居と芝居の間の空白時間、たまたまこれがぴったりあったから半分時間潰しとして見ることにした。なんだか君が悪い映画だな、と思い見ることを避けていたけど、やはり予想通りの作品だった。とても不快だ。グロテスクというわけではないけどこんな嫌な映画をよく作ったものだ。ここには一切説明はない。主人公のミア・ワシコウスカ演じる栄養学教師ノヴァクが、ではなく、こ . . . 本文を読む
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『はたらく細胞』

2024-12-13 18:48:00 | 映画
お正月映画。子供から大人まで楽しめるファミリーピクチャー。「翔んで埼玉」や「テルマエ・ロマエ」シリーズの武内英樹が監督する。永野芽郁が赤血球役、佐藤健が白血球。人間サイドの主役は阿部サダヲ、その娘を芦田愛菜というキャスティング。そこに豪華俳優陣が傍に揃う。永野芽郁が素晴らしい。あまり何も考えずにひたすら酸素を運んでいるだけだけど、それがいい。純粋に楽しんで仕事をしている女の子って感じ。とてもキュー . . . 本文を読む
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『同じ下着を着るふたりの女』

2024-12-10 20:18:00 | 映画
2021年の韓国映画。新鋭キム・セイン第1回監督作品。こんな映画をよく作った。そして僕も最後までよく見たものだ。2時間20分。苦痛の時間。だけど目が離せないし、気がつけばラストまで見ていた。えっ?もう終わりなの、と驚くばかり。ここで突き放されてもオロオロするばかりだ。これは母親と娘の戦いの記録である。団地に住むふたり。娘はもう20代後半になるのに、母親のもとから離れられない。だが彼女は母を心から憎 . . . 本文を読む
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『推しの子』⑦〜⑧

2024-12-07 05:02:00 | 映画
配信がスタートしたので7、8話も見る。この後は20日公開の劇場用映画に続くというプロジェクト。7話は松本花奈で、8話を担当するのはもちろんメインのスミス監督。   5、6話がなかなかよかったから期待して見たが残念な仕上がりだった。まるで劇場版ファイナルに期待出来ない中継ぎ作品である。ここまでエピソードに出来不出来があるのはいただけない。膨大な原作をピックアップする段階でのミスではない . . . 本文を読む
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『ソフト/クワイエット』

2024-12-06 21:46:00 | 映画
92分、ワンシーンワンカットで描く衝撃の一作。仕事を終えた教師が学校から出てくるシーンから始まって、森の中にある教会に行き、5人の仲間たちと合流しランチ会合を開く白人至上主義者の女たちは神父から「こういう会合はやめて欲しい」と追い出され、車で近くのコンビニみたいなお店でお買い物するが、そこにアジア系の姉妹がやって来たので彼女たちは2人を店から追い出そうとするのに抵抗する2人に一番高いワイン300ド . . . 本文を読む
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『PARALLEL パラレル』

2024-12-06 21:44:00 | 映画
こんな自主映画が作られる。田中大貴監督が製作・脚本・撮影・照明・編集・特殊造形・VFXも兼任した力作。怖がらせるだけの安易なホラーではないけど、しかもとても丁寧に作られているけど、これでは伝わらないのが残念。アニメを通して世界の向こう側に行こうと思う。こんな世界はいらない。だけどそれってつまらないやつらを殺すことだけでは意味がない。   彼はこの世界の邪悪なものたちに天罰を下す。美少 . . . 本文を読む
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『地獄 二つの生』

2024-12-06 21:30:00 | 映画
今日はちょっとしたホラー映画祭りにした。『ソフト/クワイエット』から始まって『パラレル』を経てこのヨン・サンホ(『新感染』)監督による短編映画に。アメリカ映画、日本映画、そしてこの韓国映画の3本立。いずれも一癖も二癖もある映画ばかり。 これは2話からなる34分の作品だが、彼らしい残酷でどうしようもない怖さが静かなタッチの中で描かれる。   1話は地獄行きを指示された男が天使から逃げ . . . 本文を読む
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『西成ゴローの4億円』

2024-12-05 20:39:00 | 映画
大阪西成を舞台にしたアクション映画。こんな作品だとはまさか思いもしなかった。最初は西成を舞台にした人情ものだと思って見ていたが、なんだか違うみたい。『ひとくず』の上西雄大が脚本、監督、主演する二部作の第一話。   冒頭の殺人現場で主人公のゴローが一家惨殺事件の犯人として逮捕されるシーンから始まったが、彼は刑期を終えて西成のあいりん地区にやって来て日雇い労働者になる。ここでの仲間たちと . . . 本文を読む
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『推しの子』⑤~⑥

2024-12-05 20:24:00 | 映画
4話のラストで月9(『東京ブレイド』)の読み合わせが描かれる。その最後は原作者が「台本を全面的に書き直して欲しい」というところで終わる。 当然5、6話はその原作漫画家と脚本家の話がメインとなり、ドラマの撮影が並行して描かれるという展開になった。尺は2話で90分、TVドラマなら2本分、あるいは映画1本の長さである。ここまでの6話で映画なら3本。ということは8話だから4本だ。その後を映画が埋める、と . . . 本文を読む
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『雨の中の慾情』

2024-12-05 05:53:00 | 映画
つげ義春の漫画の映画化である。こんな企画がよく通ったものだ。台湾との合作で台中、嘉義で撮影したらしい。今年の夏も台北に行った。本当は台中に行く予定だったが、娘たち家族と一緒に行くことになったから彼らの希望に合わせた。台中行きは今月末から正月に変更した。台中は僕は2度目になる。今回はゆっくり1週間の滞在になるから、嘉義にも行く。日本統治時代の光景が今なお残る町は昭和の日本にタイムスリップした気分にさ . . . 本文を読む
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『推しの子』(ドラマ版) 1〜4話

2024-12-03 21:02:59 | 映画
1話から4話までをまず一気に見た。実は1話を見たとき、これはダメだな、と思ったのだがもう少し我慢しようと思い2話を見る。実はアニメの第1話(1時間22分)を見たときの衝撃を超えるはずもないのはわかっていたけど、それにしてもこれは酷い。あのアニメが描いた82分をたった39分にまとめたのは悪くはないけど、あんな杜撰なダイジェストを見たら、萎える。この実写化はアニメ以上にリアリティがない。これは安い「芸 . . . 本文を読む
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『モノノ怪 唐傘』

2024-12-03 03:48:00 | 映画
今年公開されたアニメ映画である。予告編を見た時の驚きは並ではない。なんだこれは!と思った。絢爛豪華な色彩、華やかなだけでなく、過剰なタッチは豊穣というより露悪的。こんな絵柄で長篇映画を作るって何?と思う。これが『劇場版』とあるのならもともとはTVアニメだったということなのか、と何も知らないから驚いたのだ。   TVの深夜枠で放送されるアニメはこんな実験的な作品も作っているのか、と改め . . . 本文を読む
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『六人の嘘つきな大学生』

2024-12-01 17:46:00 | 映画
佐藤信介は快進撃を続けているが、佐藤祐市(佐藤祐介ではないけど)はあまり目立った活躍をしていない。まぁ名前がよく似ているだけで(佐藤だけかぁ)別人だからまるで関係ないけど。そんな彼の新作である。まさかの駄作でここまで酷いと笑うしかない。最初は少し楽しみだった。大学生の就活を扱い就職試験のグループディスカッションを全面に描く映画なんて初めてだから。1万人の中から選ばれた最終試験まで残った6人。彼らが . . . 本文を読む
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『正体』

2024-12-01 15:01:00 | 映画
先日公開された石井裕也の『本心』に続いて藤井道人の新作のタイトルも漢字2文字のシンプルすぎるタイトル。悪いとは言わないけど、あまりに素直で芸がない。そして問題はここだけど、映画があまりに真面目すぎてリアルじゃないのだ。出てくる人はみんないい人ばかり。さらには警察。こんな杜撰な誤認逮捕を平気でした上、捜査も杜撰。これでは日本の警察はここまで酷い、という宣伝になるけど、それで大丈夫か。というか本当にこ . . . 本文を読む
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『海の沈黙』

2024-12-01 11:53:00 | 映画
これは倉本聰の最後の映画脚本となる(たぶん)作品である。TVドラマで70年代から半世紀にわたって山田太一と共に第一線でドラマ界を牽引した彼の偉業は日本人なら誰だって知っている。これはそんな彼の最後の映画である。見ないわけにはいかない。久しぶりに本木雅弘が映画に主演する。しかも共演は小泉今日子。監督は若松節朗。これは彼の監督作品であるにもかかわらずこの映画の冒頭には「作、倉本聰」というクレジットが出 . . . 本文を読む
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