『ナラタージュ』に続いてまた高校の教師と生徒の恋愛ものである。前回も「もううんざりだよ、」と書いたはずだが、1か月の中で連続2本も同じパターンの映画を見ることになるとは。でも、2本ともとてもいい映画だったから満足だ。
前回は行定勲監督で島本理生原作だから、見たのだが、今回は、断然三木孝浩監督だから、それだけで絶対に見る。デビュー作から今までリアルタイムで彼のすべての映画を欠かさず見ているが、1本 . . . 本文を読む
35年の歳月を経て、続編である。82年、なんの予備知識もなく、リドリー・スコット『ブレードランナー』を試写会で見た。とてもいい映画だ、と思った。ハードボイルド・タッチのSF映画なんて誰も思いつかない。新鮮だった。静かな映画で、お話自体は単純で、当時は、のちにこれが映画史に残るレジェンドとして認知される映画になろうとは、思いもしなかった。公開時、2回見て、その後もいろんなヴァージョン . . . 本文を読む
たまたま手にした小説だ。そんなに積極的に読みたかったわけではない。だけど、こんなにも嫌な話なのに、読みだしたら止まらない。嫌な気持ちになりながら、半分まで、読む。すると、後半、一瞬で読み終わる。一気読みしないではいられなくなるのだ。
花火大会を山の上から見ようとした4人の小学生たちの夏の日の物語だ。当日は登山禁止になっているのに、6年生の子供である4人は、4人グル . . . 本文を読む
3本目の「ウイングカップ8」参加作品だ。当日配布のアンケートを見ると、2014年9月からスタートして毎月新作の公演をこなしている。すでにこれが28回公演で、来月11月公演のチラシが入っている、のではなく、出演者募集の案内が当日配布されていた。ということは、この公演のあと、新人も入れて、11月22日から29回公演が挙行されるのだ。吉本興業の若手芸人たちによるユニットだから、それくらい . . . 本文を読む
この夏、映画化されて上映された作品のノベライズである。岩井俊二監督の傑作TVドラマを膨らませて(原作は45分)90分にした映画については、見た時にも書いたが、とてもがっかりさせられた。そして、この小説は、あの映画のシナリオを手掛けた大根仁が自ら手掛けた作品である。だから、実は最初から何も期待していない。でも、もしかしたら、あの映画で描き切れなかったものがここにはあるのかもしれないと . . . 本文を読む
一作目は劇場で見たけど、さすがにこの二作目をわざわざ劇場で見る気がしなかった。凄い大作なのだけど、あまり面白くない。DVDになっているのは知っていたけど、食指をそそられなかった。先週の日曜の夕方台風のせいで、早く帰ってきたので、帰りにレンタルしてきた。疲れていたので、あまり何も考えなくてよさそうな映画、と思い借りてきたのだが、まるで前作とタッチが変わり、驚きの展開。
. . . 本文を読む
夏の『ザ・マミー』に続くトム・クルーズの新作。前作は彼の映画とは思えないほど、つまらない出来だったが今回は大丈夫だ。ダグ・リーマンなので安心して見ていられる。ドキュメンタリータッチがストレートな娯楽映画の中で、ちゃんと生かされたならどうなるのか、ということへのチャレンジなのだが、あの細かいカット割りには、いささかイライラさせられる。しかも、娯楽映画のはずなのに、楽しくテンポよく痛快 . . . 本文を読む
今年の五月、突然企画を立てて、速攻実現したようだ。しかも、この10月をスタートに来年5月まで、6回シリーズで、なんと40年間に書いた60本の戯曲の中からセレクトして「解体、再構築して仕上げる。白熱の70分」(チラシの文句をそのまま書いた)の第一回である。
4作品を取り上げ、長編だけではなく、短編も含めたリーディング。竹内さんも含めて5人の役者たちが集結 . . . 本文を読む
50人にも及ぶキャストをほぼ常時舞台の上に乗せたまま、(俳優育成プロダクションである劇団ひまわりだからこそ可能な作品だ)90分(この上演時間の短さも凄い)のミュージカルを作る。壮大な大群衆劇だ。
だから当然ストーリーはシンプルになる。にもかかわらず、ミステリアスで余白をたくさん残す。わからない部分が人を不安にする。ハーメルンにやってきた笛吹き男は何者な . . . 本文を読む
80年代を舞台にして、もう消えていこうとする8ミリ映画(僕が8ミリ映画に夢中になっていた70年代後半でも、モノクロはなくなっていた)を撮る映研(映画研究部だ!)の3人の少女たち、一夏の冒険。
スーパー8のモノクロフィルムで、映画を撮るって、なんだか大胆だ。マニアックな映画好きの女子高生たち。(そんな高校生は70年代にもいなかった)初めての8ミリ映画制作。それを町ぐ . . . 本文を読む
初日に行く。風も強く、雨も少し降っていたけど、気にしない。一刻も早く見たかった。
週末には台風も近付く中での初日だが、武田さんは動じない。嵐が来ようと平然とこの静かな芝居を見守っている(見せてくれる)自由だけれど、不自由な野外劇場で、犯罪友の会最後の丸太劇場での興業が始まった。
東京オリンピック(2020年の、ではない)が終わった後、次は大阪万博だ、と世の中は浮 . . . 本文を読む
たった3週間で上映が打ち切りになるみたいだ。これだけの大作で、大変な思いをして作った入魂の一作なのに、情け容赦ない。改めて興業って難しいと思う。なんだか、とても悔しい。今、当たり外れは極端だ。昔からそうだったけど、大切に作った映画が、なかなか観客のところまで届かない。宣伝がいい加減なのではない。選択肢が多すぎて、そこから零れていくのだ。もちろん、どうしても見たいと願う人は、ちゃんと . . . 本文を読む
主人公の少女から目が離せない。というか、カメラがそこから離れないし。彼女のどんな表情も見逃すまいと構えている。監督のユン・ガウンは彼女のドキュメンタリーを撮る覚悟だ。冒頭のグランドでドッジボールをするシーン。他の子供なんかどうでもいい。彼女の顔のアップがずっと捉えられたまま。だんだん表情が曇ってくる。すべてが見える。彼女が何も言わなくても、その顔を見つめるだけで、すべてがわかる。彼 . . . 本文を読む
戦場になった村。みんな逃げ出してもう誰も住んでいない。今はとても静かだ。だけど、すぐそこで殺し合いが行われている。男はそんなところで黙々と木箱を作っている。みかんを入れるための箱だと、やがてわかる。冒頭のシーンからこの映画は傑作だとわかる。作業場で、電気のこぎりで木を切る姿を捉える。その真剣な表情を見ているだけで、緊張が伝わってくるからだ。やがて、もうひとりの男が登場する。彼はみか . . . 本文を読む
30歳を目前にした4人の男女の憂鬱。大学時代の同級生で仲良しだった4人組は今も変わらず、つるんでいる。男3人女1人というバランスのよさ(それとも、わるさ)。恋人にはならない。友情で結ばれている。でも、実は危うい。美術系の大学を卒業し、絵を描くことの周辺で仕事したいと思うけど、なかなか上手くはいかない。一応、デザイナーや画家をしている。でも、満足はしてない。
四章か . . . 本文を読む