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映画・演劇のレビュー

『THE CODE/暗号』

2010-02-28 13:11:19 | 映画
 林海象監督がこだわり続ける探偵映画。この『探偵事務所5』シリーズのようなマイナーな映画にちゃんと続編が出来てしまうなんてそれだけで驚く。前作も2本立(一応1本の映画なのだが、前半と後半で主人公が変わり、話も別物となっていた)で、最初からシリーズ仕立てになっていたが、本当に続編が登場した。林監督はそのデビュー作『夢見るように眠りたい』の時代から一貫して探偵映画にこだわり、それは趣味の域を出ないもの . . . 本文を読む
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『3時10分、決断のとき』

2010-02-27 10:23:14 | 映画
 アラン・コルノー監督の新作『マルセイユの決着』を見た。2時間半以上の大作である。昨年ひっそりと劇場でも公開された。こういうフイルムノワールは昔盛んに日本でも公開されていたが、今はもう誰も見向きもしない。映画は悪くはない。だが、わざわざ今こういう映画を観なくてもいいだろ、と僕でも思う。ジャン=ピエール・メルヴィルの『ギャング』(66)のリメイク。こういう映画をフランスは今もせっせと作っているのか。 . . . 本文を読む
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『パークアンドラブホテル』

2010-02-26 21:41:05 | 映画
 不思議なファンタジーだ。都会の真ん中のラブホテル。その屋上がみんなの憩いの場となっている。老人や子供たち。赤ちゃんを連れた主婦や、おじさんたちまでがそこにやってきて、のんびり過ごす。ベンチや、遊具。(滑り台やシーソーまである本格派)みんなが集まり話が出来るような秘密の部屋まである。(この屋上の物置のようなスペースを改造した)  このラブホテルに彼らがやってきて、エレベーターで屋上を目指す。だい . . . 本文を読む
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『食堂かたつむり』

2010-02-25 21:52:24 | 映画
 何か作れ、と命令されて柴咲コウが時間をかけて作った『お茶漬け』。それに対して、成り金でいけすかないその男は、1万円札を置いていく。それは彼にできる最高の感謝の印だ。自分の気持ちを言葉では伝えられない。それを1万円というお金で表現した。無骨だが、それしかない。あの男にとって本当のコミニケーションはお金を通してしか不可能だからだ。これが彼なりの精一杯の感謝の表現なのだ。このエピソードは一例でしかない . . . 本文を読む
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『人間失格』

2010-02-24 22:46:04 | 映画
 まず真っ先にこれだけは言う。これは『映画失格』である。こんな映画でいいわけがないだろ。いくら映画は原作とは別物とはいえ、ここまでやってしまったらいけない。単なる失敗では収まらない。酷過ぎる。  監督はあの『赤目四十八瀧心中未遂』の荒戸源次郎なのだが、今回はなんとも手に負えなかったようだ。前作はあんなにもすばらしかったし、彼がプロデュースした傑作の数々を思い出すと、このやっかいな映画だってなんと . . . 本文を読む
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『パレード』

2010-02-24 21:39:20 | 映画
 今年に入ってもう2本目の行定勲監督作品だ。しかも2本とも面白い。特にこの作品は彼の最近の作品の中でもベストの1作だろう。テイストとしては『きょうのできごと』に近い。若者たちの群像劇という意味でもよく似ている。だが、何にもないことをテーマにしたあの作品とは違いここにはドキドキするようなサスペンスがある。だが、それは殺人事件が描かれるからではない。反対にあまりに何にもなさすぎるからだ。『きょうのでき . . . 本文を読む
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『バンデイジ』

2010-02-22 21:58:02 | 映画
 90年代のバンドブームを背景にして、ミュージシャンの男と彼のバンドのファンの女の子の2人のドラマを描く。だが、単純なラブストーリーではない。バブル以降の不安な時代を舞台に、音楽という不安定なものに寄り添う男女を通して、自分たちの弱さやいじましさと真摯に向き合う青春ドラマのようだ。  95年にMr. Children のライブを中心にした音楽映画【es】を監督したミュージシャンでありプロデュサー . . . 本文を読む
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小川糸『ファミリーツリー』

2010-02-22 21:31:37 | その他
 『食堂かたつむり』の小川糸の新作は、あまりに切ない純愛物語。2人の男の子と女の子の3歳から20年ほどの歳月を追いかけていく。幼いころから成人するまでのいくつもの夏の話を通して彼らが大人になる過程で何を考え、どんな体験をしたのかを丁寧に描く。まるで昔懐かしいジュニア小説の世界だ。富島健夫かなんかの思春期小説を読んでいる気分だった。  幼なじみの初恋が様々な障害を乗り越えて成就していく、なんて話が . . . 本文を読む
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MOVIE LOVERS BEST SELECTION 『おちょんちゃんの愛と冒険と革命』

2010-02-21 20:08:05 | 映画
 実に久しぶりで自主映画(そんな言い方はもうしないのか?)を見た。別に避けていたのではないが、誰も見ろと、言わないから、自分から見たりもしないし、結果的に見ない、ということになっていた。たぶん、そこには面白い映画はたくさんあるのだろう。でも、つまらないものがわんさかある、はずで、そんなものにあたったなら、時間の無駄だ。  さすがの僕でも、そこまで暇ではない。ということで、今回本当に久々である。短 . . . 本文を読む
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『交渉人 THE MOVIE』

2010-02-21 19:06:17 | 映画
 なぜか最近こういうTVの映画化作品を連続して見ることになる。全国一斉公開される日本映画はTV局の製作が多いから仕方ないのだろうが。まぁ、嫌なら行かなければいいのだが、どうしてもチケットがあればついつい優先してまで劇場に行ってしまう。バカだなぁと思うけど。(当然この手の映画は、それでなくては絶対に見ない映画だ)  ケビン・スペイシー主演の同名タイトルの映画は傑作だったし、『踊る大捜査線』のスピン . . . 本文を読む
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Pithecanthropus Effectus+Uranachi 『おとなしい給仕』

2010-02-21 18:58:28 | 演劇
 ウラナチの岸昆虫さん(今回はロプロプと名乗る)と、Pithecanthropus Effectusの直立演人さんによるユニット。ハロルド・ピンターの『料理昇降機(The Dumb Waiter)』を現代によみがえらせる。  こういう不条理劇は最近あまりない。わかりやすい芝居ばかりが横行する中で、こういう硬派の作品はあまり喜ばれないだろう。娯楽から遠く離れて真面目に演劇と取り組む、のはバカバカし . . . 本文を読む
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あさのあつこ『朝のこどもの玩具箱』

2010-02-19 20:31:20 | その他
 先日読んだ『夜のおとなの玩具箱』の姉妹編。こちらの方が先に出版されている。作品としては前作(僕にとっては、だが)の方が好き。こちらはよりシンプルな短編集になっている。同じように6篇からなる短編集で、6つとも全く関連性はなく、独立した作品。未来に向けた子供たちの物語という共通項はあるが。いずれの話も前向きで悪くはない。  1つ目の『謹賀新年』が一番好き。ここに出てくる子供っぽいお父さんがいい。花 . . . 本文を読む
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『流浪 神狗人』 (『神も人も犬も』)

2010-02-18 20:40:32 | 映画
 台湾で買ってきたDVDシリーズ本日2本目。調子に乗って見たのだが、こういう映画はさすがに日本語字幕がないと苦しい。微妙な会話の意味がわからないから、仕方なく状況から推し量るしかない。会話劇は原語だけでは出来るだけ見ないようにしてるけど、難しい。日本語字幕がない映画は大変だ。  だいたい会話のないような映画はないしね。これは2008年のアジアフォーカス福岡国際映画祭でも上映されたらしい。(その時 . . . 本文を読む
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伊坂幸太郎『あるキング』

2010-02-18 16:53:19 | その他
 この嫌な話を伊坂幸太郎が書いたということに驚く。プロ野球の世界で信じられない成績を残すために生まれてきた一人の男のサクセスストーリーとしてではなく、彼の抱えた運命を、ただそこに殉じるためだけの物語として描く。要するに痛快娯楽小説ではなく、重厚な神話のように見せちゃうというわけなのだ。  0歳からスタートして、23歳までを、ピンポイントで、12章仕立てにして見せる。王となるために生まれてきた男の . . . 本文を読む
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『遠い道のり』(『最遙遠的距離』)

2010-02-18 16:02:06 | 映画
 つまらないわけではない。だが、期待したほどではなくちょっとがっかりした。『言えない秘密』『藍色夏恋』のグイ・ルンメイと『一年の初め』のモー・ズーイーが主演のハートフル・ヒーリング・ロード・ムービー!(なんちゅう説明だ)  説明がほとんどないのはいいけど、主人公の気持ちまで、説明なしで理解せよ、と言われているようで、それは監督(リン・チンチェ )の独りよがりです。彼らの想いは映画の中からしっかり . . . 本文を読む
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