昨年の韓国映画『怪しい彼女』のリメイク。中国映画だ。それにしても、同じ話が、こんなにも短期間でリメイクされるって珍しい。しかも、韓国、中国の競作となる、というのも。(ヒット作をハリウッドがリメイクというのが、従来のパターン)
かなり忠実なリメイクなので、ストーリーはすべて憶えているから、なんか、あまり新鮮ではない。前作があれだけ笑えて、面白くて、感動できて、だったので今回はハードルが高い。別段 . . . 本文を読む
原田眞人監督が初めて手掛ける時代劇。2時間半に及ぶ大作なのだが、圧倒的なせりふ量で、それを凄いスピードでマシンガンのようにしゃべる。このテンポの速いせりふの応酬には驚く。普通にやれば3時間くらいの分量が詰め込まれている、って感じだ。
ふたりの女(満島ひかり、戸田恵梨香)を中心にして、離婚調停のために駆け込み寺(鎌倉にあった江戸幕府公認の東慶寺)にやってきた女たちのドラマが綴られる。彼女たちの間に . . . 本文を読む
3部作となる超大作の第1章。それにしても最近のアメリカ映画はこういうパターンが多い。映画は1本で完結するものだ、という昔ながらのルールはもうない。どうしても、終われなかった、とか、大ヒットして観客の要請もあり作る、とか、そんなのじゃなくて、最初から途中で終わらせる約束で作るなんて、僕に言わせると、なんだかなぁ、である。なんとなく、観客をばかにしている気がする。
この映画を見ながら、どうせ、途中 . . . 本文を読む
なんと27分の短編映画なのだ。それが劇場公開である。(15分ほどの短編を併せて公開されたが、それでも上映時間は45分)ありえない。以前、新海誠監督の『言の葉の庭』が同じようなケースで劇場公開された。あの時の衝撃が頭にはあったから、これにむやみに根拠のない期待してしまったのだ。
新鋭、新井陽次郎の劇場作品監督デビュー作。予告編がよかった。ポスターも趣味がいい。だから、期待した。なんだか雰囲気もい . . . 本文を読む
14歳の少女(広瀬すず)のお話である。天涯孤独の身の上になった彼女が、3人の優しいお姉さん(綾瀬はるか、長澤まさみ、夏帆)から声をかけられる。「私たちと一緒に住まない?」と。少女は、(一瞬のためらいの後、)その場で「はい」と答える。自分の身に降りかかった災厄に飲み込まれてしまい、本当は不安で孤独で立っていられないくらいだった、はず。でも、けなげに少女は泣くこともせず、父の葬儀に立ち会う。周囲の人 . . . 本文を読む
邂逅史上最大規模のすごいスケールの大作である。その結果、(いつも思うことだけど、)いつも以上に「宝塚」している、ことになる。彼女たちの目指すものが宝塚歌劇団であることは明白で、でも、それはとても大変でおこがましいことで、できない相談だから、そうじゃなくて、自分たちに可能な自分たちの宝塚を目指す。それがこれまでの作品であり、それはそれで成果はあがっている。だからこそ、満を持して挑む。それが今回の作 . . . 本文を読む
昨年の12月に上演された作品を半年のインターバルで再演する。まだ記憶に鮮明な作品なので、再演というよりも、もう一度見た、という気分なのだが、前回以上に感動した。それは演じ手が慣れてきたからうまくなっている、なんていう単純な理由ではない。(もちろん、それもあるだろうけど)見ている方も2度目なので、ストーリーを追うのではなく、細部までも目で追えたのかもしれない。
演出も含めて前回の反省に則り、ブラッ . . . 本文を読む
これってヤクザ映画と同じじゃないか、と。お話の骨格はそうである。新宿のスカウトマンの話なのだが、敵対する2つの組織の抗争で、やるか、やられるか、とか。彼らのバックには悪徳政治家がいて、彼に踊らされているだけで、とか。もうこういうのは散々東映映画で見せられてきた。
さらには、『クローズ』他の、学園ものも、同じパターンだ。てっぺんとってやる、とかいうやつね。あれも元をただせば、やくざ映画の変化球で . . . 本文を読む
核戦争で世界が滅びた後の荒涼とした砂漠化した世界で生きる一握りの人々の生存権を賭けたサバイバルを描く『マッドマックス』シリーズが30数年ぶりで帰ってきた。監督は前3作同様ジョ-ジ・ミラーが手掛ける。
もうひたすらただただアクションのみ。ベースとなるお話はシリーズ白眉の傑作『マッドマックス2』だ。あれをグレードアップしたもの。すさまじいスタントの連続で、圧倒されつつも、だんだんそれにも慣れてくる。 . . . 本文を読む
キタモトさんの「鏡花全作品上演」と並ぶライフワークとも呼ぶべき作品となったツダを舞台にしたシリーズの第6作。毎回さまざまな人々のどうしようもない生きざまがそこには描かれる。今回は2卵生双生児である姉妹の物語。ふたりのたどる4年の歳月が描かれる。18歳から22歳まで。20世紀の終わり。衝撃的な事件を起点にして、その3年前に遡り、時系列に沿いながら運命の時へとカウントダウンしていく。だが、これは事件の . . . 本文を読む
これは怖い。『ランチのアッコちゃん』シリーズの柚木麻子がこんな怖ろしい小説を書くなんて、意外で衝撃。だが、確かにこういう傾向はあったな、と気付く。心地のいいハートウォーミングは、仮の顔で本当はこの小説の中で描かれるような、底知れぬ孤独を抱えた人なのだろう。もちろん、普段はそんな顔おくびにも出さない。読み手を幸せにする小説を書いてきた。それは確かに彼女の個性で、特徴だった。それでヒット作を連発させ . . . 本文を読む
死神シリーズ「観覧車編」の第3作。今回の主人公は上原日呂が演じるやさしい男。やさしすぎて悲しいほどだ。いつも主人公を演じるゲストの男優はやさしい。でも、やさしいだけでは、生きていけない。とんでもない運命と向き合い、成長していく男女の姿を描くのがこのシリーズで、甘いハートウォーミングだけど、そこには人生の真実が確かに垣間見える。そういうところもこのシリーズの魅力であろう。
さて、今回のエピソード . . . 本文を読む
こういう映画は生まれるべくして生まれる。それは10数年前、トム・クルーズ主演で『ラストサムライ』が作られたことと、同じである。これはあれの中国版だと思ったならいい。巨大な中国市場は欧米諸国にとって恰好のターゲットだ。合作というスタイルで中国本土を舞台にしたハリウッド大作。商売としては悪くはない。『トランスフォーマー』がなぜか中国を舞台にした以上に本格的にハリウッドが主体となり、中国人の喜ぶ映画を . . . 本文を読む
今回の森林浴はなんと1ヶ月に及ぶロングラン。その初日に行った。「同じ脚本でテーマが違う 4つの演出」とチラシにはある。このチラシ、けっこう丁寧に読んだ(最近の僕はチラシをまるで読まない人なのに)のだが、まるでその違いがわからない。どういうふうに違うのか。何がしたのか。不明だ。でも、そういう不思議ちゃんの大休さん(作、演出の大休真紀子)が好き。チラシにはかなりいろんな情報が満載されている。でも、読 . . . 本文を読む
『第9地区』『エリジウム』に続く第3作。ニール・ブロムカンプ監督は『第9地区』同様に南アフリカ・ヨハネスブルグを舞台に設定しハードなアクション映画にした。ただ、見る前はどうして彼がこんなハートウォーミングを作るのか、と不安だった。だって、このポスターである。(写真参照)お子さま向けの緩い映画だとしか、思えない。しかも、チャッピー、である。
だが、始まると、まるで予想と違うスタートに驚く。『ET . . . 本文を読む