今回のRINK‘Sは、トリイホールでの公演だ。従来よりも狭い。だが、その狭さが決してハンディにはなってない。舞台は従来以上に熱い。狭い空間でたくさんの役者たちが大暴れするのは壮観だ。
休憩10分を挟んで3時間である。毎回、見るほうもクタクタになる。でも、見終えたときに爽快な気分にさせられるのは、これがスポーツ感覚で楽しめるからだ。20分の作品は長編とは違う。だが、それをただのプレゼンにはしな . . . 本文を読む
こういう芝居をサリngさんが作る。今までの彼女とはまるで違う。戸惑うばかりだ。最後までフラットで押し切る。最初、しばらく見たときにその覚悟は知れた。だが、どこかで転調を用意するかも、とも思った。だが、しない。一人の男の100年間を凝視する。5歳の少年(山田まさゆき)が拾われてきて、育てられ、やがて、ひとりになり、死ぬ。
世界が滅びた後の世界。廃墟と化した街から遠く離れて、山の中で暮らす仙人と . . . 本文を読む
リュック・ベッソンは信じない、と思っていたけど、でも、必ず新作が公開されると、見てしまう。それくらいに彼のデビュー作『サブウェイ』と第2作『グランドブルー』は強烈だったのだ。(それって、ツァイ・ミンリャンと同じだ。『青春神話』と『愛情万歳』を生涯越えられない)つまらない、とわかっているのに、結局全作品、公開されたらすぐに見てしまう。だが、今回はさすがに「これはやめよう、」と思い、ここまで見送って . . . 本文を読む
なんと今年で24年目になる。テントで毎年芝居を続けて、しかも必ず9月に一度として休むことなく。浪花グランドロマンの勤勉さ。真面目さ。頭が下がる。
作、演出を手掛ける浦部さんは、同じパターンの芝居ではなく、あらゆるジャンルに挑戦する。一貫性がないのだが、それは悪いことではない。その時、その時に興味を持ったことを、芝居にして立ち上げる。そうすることで、見えてくるものを楽しむ。必要なのは、そういう . . . 本文を読む
驚いた。こういう学芸会のような芝居を見るのは、本当に久しぶりのことだ。今時、高校演劇ですら、このタイプはもうあまり見かけない。
途中10分の休憩を挟んでの2時間の作品である。あまり芝居を見ない観客にはそれがいいのかもしれないけど。しかも、前半と後半の境目がちゃんとある。完全に2部構成になっている。そういうところは、なかなかよく考えられているけど。
だが、お話自体はあんまりだ。彼らはシェイ . . . 本文を読む
小泉堯史監督の新作だ。今時、フイルム撮りしている。貴重な映画、というよりもアナクロ(アナログ)過ぎる、と言われそうだ。経費も嵩むし、フイルムはどうしても淡くなり、シャープじゃない、とか、文句言われそうな時代になった。でも、頑なにそこにこだわる。昔ながらの活動屋なのである。だって彼は黒澤明の直伝の愛弟子だ。
映画自体も彼のための映画、としか言いようのないものだ。師匠と弟子のお話、と読むことがで . . . 本文を読む
たまたまレンタルしてきたから、見た。まるで事前情報もなく。こういう映画が公開されていることすら、知らなかった。2010年に撮影されて、公開が2013年になったのは、映画が地味で、公開のめどが立たなかったからか。今年になってDVDのなったばかりの作品だ。監督の五藤利弘も知らなかった。撮影は芦澤明子。いつもながら自然が美しく撮られる。舞台となる田舎の学校のたたずまいが素晴らしい。もちろんその背景とな . . . 本文を読む
『恋の罪』を思い出させる。ああいう猟奇的なテイスト。読みやすい小説だ。通勤の片道で半分以上読んでしまった。そのまま、最後まで一気に読みたかったが、仕事があるから、帰りの電車までお預けだ。とても、気になる。
エンタメだ。でも、それは彼の映画と同じで、彼の描きたいことがそのまま出ている。小難しいことなんか、どうでもいい。わかりやすいキーワードをちりばめて、自分の趣味を前面に押し出して、でも独りよ . . . 本文を読む
「つぐ」のはお酒。3つの短編を「接ぐ」。月と一緒に。アスファルトに敷かれたブルーシートの上で。飲みたい。飲めない。いつまでも、ぐるぐると、同じところを。
まるで、話なんかない。酔っ払いの繰りごとのようだ。お月さまに見守られて、ふたりの交わす会話は、とりとめもない。「月並み」は平凡であること。7つの子と、酔っ払いの女。女が去ると、男が登場する。最後には少年が、男のもとに現れる。繋がった3つの別 . . . 本文を読む
2時間25分の長尺だ。話は単純。ストーリーの面白さで引っ張っていく映画ではない。長まわしで、据えっぱなしのカメラの前で、何もしない、ということも。それって、時間のムダ? でも、そこにある緊張感。一歩間違えば、ただのこけおどし。ムイミ。でも、すれすれで話は進んでいく。そこがスリリングだ。
女ふたりのお話。高校時代の同級生で、テニス部のチームメイト。10年後の再会。上下関係が逆転する。というか、 . . . 本文を読む
96年のデビュー作だ。20年近く前の小説だが、とても新鮮な感動があった。たまたま図書館で手に取った。僕が彼女の本を読み始めたのは『楽園のつくりかた』からだ。きっと。児童文学に分類される作品の中には、思いもしない傑作がたくさん隠れている。あの本もそんな一冊だった。それからは機会あるごとに、彼女の本を読んでいる。でも、この本は今まで、読んでいなかった。なんだか、季節外れの夏休みのようで、うれしい時間 . . . 本文を読む
このお話は、どこにむかっていくのでしょうか? 最後まで騙されたような気分にさせられる。でも、なんだか、それが心地よい。なんとも、不思議な作品だ。作、演出の中嶋さんは、こういう共同体をどう運営していくかに興味がある。とても、際どい。なんとか、かんとかで、今は成立しているけど、騙し騙しで、心もとない。昔ながらの暖簾を守ることが大事、だということを描くのではない。あのラストはそれを裏切る。じゃぁ、何な . . . 本文を読む
自慢じゃないけど、もう20年以上クロムを見ている。デビュー作は見逃したが、2作目の『キエテナクナレ』から、大阪での芝居はほぼ、すべて見た。東京に行ってからは、ダメだが、大阪での上演はほぼ、全部見ている。筋金入りのクロムフリークだ。と、こう書くのは恥ずかしいし、情けない。まるで、ちゃんと芝居を見れてないし、好きだけど、いつも、青木さんからおいてけぼりを食らう。ついていけないのではない。そのあまりに . . . 本文を読む
エイチエムピー・シアターカンパニーが、一昨年に引き続いて、再び『更地』に挑戦する。しかも、今回は2週間で17ステージのロングランを敢行する。(今も、上演中だ)なぜ、今、更地なのか。そこが一番気になったところだ。そんなこと、直接笠井さんに聞けばいいのだが、でも、そこは自分で考える方が楽しい。答えはきっと作品にある。そんなこんなで、見に行った。
まず、そのアプローチが前回とは、まるで違う。演出 . . . 本文を読む
「スクエア傑作リバイバル」と銘打たれた本作品は、スクエアの中心メンバーである4人だけで演じられる2時間20分に及ぶ作品。この内容でこの長さは異常だ。それだけのサービス精神がここには溢れている、ということなのだ。後半劇中劇として『日影の軍団』を延々として見せていく。これでもか、これでもかと、渾身の快進撃だ。このシーンで、芝居の上演時間はどんどん長くなる。しかし、この一見無意味にも見える劇中劇がこの . . . 本文を読む