ミクル劇団を見るのは久しぶりのことだ。以前学校の視聴覚担当をしていた時何度か見たが、それ以降見ていない。今回10数年ぶりに見て、なかなか楽しめたことの驚いている。
演劇の入門として、これはこれでよく出来ていると感心した。初めて本格的にお芝居を見る高校生に対して何を見せるべきか、は難しい課題だ。音響と照明がこんなふうに入るということ、ダンス・シーンを交えてショーアップしたら、どうなるのか、とい . . . 本文を読む
『マッチポイント』で初めてニューヨークを離れ海外での映画作りを体験したウディ・アレンの最新作。作品としてはこちらの方が先に完成しているのかもしれない。きっとそうだろう。(そんなこと調べればすぐに分かるが今は気にしない)
相も変わらぬ巧みな作劇に引き込まれ、ラストまで一気に見せられる。若手劇作家と教師をしながら売れないコメディーの台本を書いている60代の男。彼ら2人の交流を中心に据えながら、映 . . . 本文を読む
「精霊のささやきを聴く少年と破滅に憑かれた謎の美少女、2人が夢で出会うとき、希望と絶望のロンドが響き渡る」
この絶妙で、安っぽいキャッチコピーが取敢えず、この小説の本質を見事に表現している。ここまでエンタメではないのだけれども、島田雅彦はとても読みやすくて、ドキドキさせられる作品を軽やかに書き上げた。
ナルヒコとマリコの2人の話を交互に描き、後半はそれが一つになっていく、というよくある構 . . . 本文を読む
今年もHPF大阪高校演劇祭が始まった。夏休みと同時に毎年必ずやって来る。これは僕の中ではもうずっと恒例行事になっている。これがなくては夏は始まらない気分だ。
芝居に情熱を傾ける高校生たちからはいつも元気を貰っている。そして、このイベントを支えるスタッフのみんなの思いも痛いほど伝わってくる。(それを確認しに出かけるなんて側面もある)。顧問の先生たちの情熱にも頭が下がる。僕にはとてもじゃないが、 . . . 本文を読む
シリーズ第5弾。今回はちょっとテンポが悪く、ストーリー自体も中休みみたいで、この作品は次のクライマックスに向けてのウォーミングアップでしかない。いろいろ伏線は張ってあるみたいだが、1本の映画としては全く面白くない。
ここには1,2作目のファミリーピクチャーとしての魅力もないし、3作目の暗い内面に迫る冒険もない。さらには前作のようなスペクタクルもない。ただハリーたちが苦しんでいるのを見せるだけ . . . 本文を読む
2部構成になっている。まず大衆演劇を模した作品を1本見せる。(これは神原版の大衆演劇そのものだ)そして、後半は、昭和8年を舞台に日本が戦争に突入していく時代、ある芝居小屋が閉鎖され劇団を解散した男のもとに人々が集まり、再び一座を結成し旅立つまでを描くお話を見せる。もちろんこちらが一応メインで、1部と2部の間には神原さんによる歌謡ショーが入るというスタイル。全体が大衆演劇のスタイルになっており1部 . . . 本文を読む
2時間10分に及ぶ大作である。第5次世界大戦下、日本は相も変わらずアメリカの庇護下にあり、参戦はしないが、運命共同体として、サポートしていく方針らしい。
このあまりに単純な話に唖然とさせられる。戦争と言うものがスポーツ感覚になり、トーナメント方式で行われ、ファースト・ステージは相撲、決勝は綱引きで勝敗を決める、なんていうのもなんだかなぁ、と思う。
この戦争で勝ったアメリカの統治下に、世界 . . . 本文を読む
ハリーポッター史上唯一のダークな作品『アズガバンの囚人』を撮ったアルフォンソ・キュアロンによる新作である。(今回の『不死鳥の騎士団』も暗い話だっが、それは先に書いたダークとは別の意味なので、また別項で書く)
2027年、出生率0%となった人類は、種の絶滅の危機に瀕していた。生存継続への希望を失って自滅していくことになる。未来というものがなくなってしまった人類はただ、滅びていくことを緩やかに受 . . . 本文を読む
コミックを題材にして大塚雅史がキャパ600人規模の中劇場での芝居に挑む。ランニングシアターダッシュ解散後、様々な作品に取り組んでいる彼が本領を発揮した熱いドラマ。相変わらす、主人公たちを終始走らせ続ける。照明と音響を最大限に駆使して、見せる。派手な立ち回りが全編を覆い2時間半の上演時間の半分以上は、殺陣のシーンであろう。
これだけあまりに長いとさすがに少し退屈してしまうが、そんなこと気にしな . . . 本文を読む
この挑発的なタイトルに心惹かれた。そして、予告編のとてつもなくブラックな世界にも魅せられた。これはかなり笑える映画に違いないと確信して、劇場に向かったのだが、予想に反して、見事に笑えない。それにも驚いた。
かといってつまらなかったかと言われると、全くそうではない。この異常なお話は、笑えなくなるくらいにリアルだったのである。この映画は正真正銘の本気だ。このねじくれた家族の心の在り処を愚鈍なまで . . . 本文を読む
タカラの子供向けのおもちゃを題材にスピルバーグが巨費を惜しみなく投入して本気モードで作り上げた超大作。東映ならこの予算があれば、同じような映画を100本でも200本でも作ってくれそうな気がする。それくらいに子供のお遊びに際限なくお金と労力を注ぎ込んでしまった大バカ映画。
ラストの延々続くバトルを見ながら、退屈してきて、居眠りしてしまった。気が付けば悪者はいつの間にか負けていてビックリした。凄 . . . 本文を読む
時間軸のずらせ方、暗転の多用、繰り返し、といったこの芝居のベースとなるスタイルが、劇世界の内容以上に前面に出てしまっている。それを決してよくないとは言わないが、それが作品を深化させるのではなく不必要に混乱させていることは事実だ。
色見本の裏に書かれた日記。吊り下げられてあるそれらが、一つずつ落ちていく。落ちることによって、そこに描かれた記憶もまた、彼らの心の中に沈んでいくことになる。この家で . . . 本文を読む
ミサダプロデュースを解散してから、しばらく身を潜めていたミサダシンイチ改め林慎一郎による久々の新作は、今までの無機的で、知的パズルのような世界ではなく、人間の生々しくて、毒々しい息吹が感じられるような世界だ。風俗の世界を入り口にして、雑居ビルの中に蠢く人々を描きながら、禍々しい事件、入り乱れる人々、それらが妄想なのか、現実なのか、よく解らないまま語られていく。この悪夢のような世界は、単純な幻想と . . . 本文を読む
闇の中からゆっくりと浮かび上がってくる。そして、再び闇の中にゆっくりと消えていく。明かりが消えて完全な闇になった後にも気配が残る。闇の中で、音はしばらくは残る。しかし、それも消え、かすかに残っていた何かがすっかり消える。
ボヴェ太郎は優雅に、静かに舞う。ゆるやかに、くるりと回転する。気付くとその体が一回転しているのだ。あまりにゆっくり動いていたから、動いていることにすら気が付かない。ピアノ曲が . . . 本文を読む
この一見小さな映画が、2時間18分もの長尺だったのには驚いた。とても力のこもった映画だが、子どもに見せるのには、あまりに長すぎるのではないか。しかもクライマックスの後、さらに30分以上続くというのもなんだかなぁ、と思う。こういう良質のファミリーピクチャーは、できるだけたくさんの人に見てもらいたいと思うけど、そのためにもできたら1時間40分までに収めて欲しい、なんて。
と、ここまで書いていてそ . . . 本文を読む