こういうアニメーション映画を見ると、もうそれだけで、胸がいっぱいになってしまう。丁寧に作られた地方の風景を背景にして、普遍的な高校生の悩みや、喜びが、彼らの「特別」なこととして描かれる。誰もが感じる胸の痛みを、自分にしかわからない唯一のものとして描く。私のことなんか、誰もわかるわけがない。でも、わかってほしい。そんな切実な想いが、あふれる。それを甘え、と断罪してもいい。でも、16,7の子供たちの . . . 本文を読む
古典を題材にして、それを現代に移しかえるのではなく、古典の世界をそのまま、自分たちの表現として上演する。こういう形の芝居って、ありそうでない。この自由さが、この独自の作品世界を形作る。もともと、浄瑠璃も歌舞伎も庶民のもので、大層な古典芸能なんかじゃない。(最初から「古典」なんてありえないしね)
オリジナルの世界観をそのまま、舞台に再現して、今のテイストでリニューアルして見せていく。こんなベタ . . . 本文を読む
今回の小路さんはちょっと乗れない。読みながら、あまり心地よくはないのだ。ストーリーテラーである彼なのに、これはどうしたことか。だが、その理由は後半になり、判明する。あまりにメッセージがストレート過ぎて、ストーリーが委縮しているからだ。自分の少年時代をそのまま見せるのには痛みが伴う。とはいえ、これは自伝的小説なんかじゃない。だいたい宇宙人とか、怪獣とか、そんなのが出てくるのだ。荒唐無稽なお話にする . . . 本文を読む
とても興味深い芝居になった。本当ならこれで成井豊みたいな甘くて胸キュンの芝居が作れる。なのに、これはそういうおしゃれなものから程遠い、暗くて重いばかりの芝居になる。作、演出の森岡琢磨は、このスタイリッシュな作品を、軽やかさかは無縁のものとして作ろうとした。故意にそういう作り方をしている。 最初はそこまで、ではなかった。なんだかわからない女が出てきて、自分の人生をやり直しますか、なんていう提案をす . . . 本文を読む
今回のアジアフォーカスで見た10本の中で一番おもしろかった映画はこの作品だ。いずれも甲乙付け難い作品ばかりだから、それは自分の好みでしかないけど、この痛ましいお話の少女に心ひかれた。
彼女の痛みなんか、甘えでしかないかもしれない。だが、10代の少女が自分と母親の確執の先に見ず知らずの父親の幻影をつまらない中年教師に見出し、すべてを失うドラマは、独りよがりすれすれのところで、成り立つ。もう少し大 . . . 本文を読む
前編のテンションの高さは、一気に後編に持続する、はずだった。しかし、1月半のインターバルは高まる期待を削いだ。1時間28分という上映時間は嫌な予感をさせたのだが、予感通りの作品になっていて、アニメ版の劇場映画「後編」以上にこれにはがっかりさせられることとなった。
アニメ版はご存じの通り、お話の途中で終わる。僕は完結するものだと思っていたから肩すかしを食らった気分だったが、TVシリーズを見ていた . . . 本文を読む
たった1カ月お休みした(先月分を見ていないこと)だけなのに、まるで思いもしない展開がなされていた。もう驚きだ。何に驚いたかと言うと、そのタイトルである。各月のカラーをタイトルにしていたはずなのに、なんで今月は「アニマルプリント」なんですかぁ? わけわからないです。確か、先月僕がお休みした時までは、ちゃんと「色」でしたよね。なのに、なんで!
まぁ、そんなこと些細な話だし、どうでもいいやん、と流し . . . 本文を読む
アジアフォーカス福岡国際映画祭を見に行くのは初めてだ。わざわざ遠くまで映画を見に行くのは得意ではない。というより、仕事が休めないからムリだし、休みの日も必ずクラブがある。忙しいから不可能だ、と言って今まで敬遠してきた。今回たまたま5連休で、しかも、3日間はもう一人の顧問の先生がクラブの面倒を引き受けてくれたため、可能になった。(というか、可能にした)
そこまでして映画を見るのか、という気もしたけ . . . 本文を読む
もう、言うことはない。大満足だ。この映画を満喫した。これは、こうなって欲しいという観客である僕たちの思い通りにお話が展開する映画なのだ。もちろん、それは娯楽活劇の王道を行く。
誰もが望む通り。それでいい。というか、それがいい! 1時間50分。手に汗握る。主人公の少女が戦う姿が美しい。どんどん強くなる。善と悪が壮大なバトルを繰り広げる。黄金杖を巡って。
派手なアクションだけではない。ここには映 . . . 本文を読む
ロイ・アンダーソン監督のこの作品を最終日の最終上映でようやく見ることができた。なんとか間に合ってよかった。この秋一番見たかった映画なのに、いつものように時間がなくて、こんなことになった。でも、見ることができてよかった。
このとんでもなく寂しい映画を見ながら、ここにはなんにもないな、と思う。何にもない、何にもない、何にもない世界にただ風が吹いてた、というのは確かギャートルズの歌の歌詞か? まさにそ . . . 本文を読む
川村泰祐監督の最新作で、この正月に公開された『海月姫』の続編のような映画、だと僕は思った。周囲から受け入れられない変わり者の少女たちが、集団となり、ダンスに挑む。
4人の少女と主人公はいささかスタンスが違う。石橋安奈演じる主人公は、ひとりぼっちになりたくないから、なんとかして周囲に溶け込もうとしている。涙ぐましい努力だ。でも、痛々しい。ジミーズ(自分は彼女たちとは違う、と思いたい。)と名付けられ . . . 本文を読む
2時間20分の至福。こんなにも素敵な映画が見られて本当にうれしい。まるで事前情報なしにして見たのもよかった。佐々木昭一郎監督作品。ただそれだけで、もう何もいらない。彼が作るものならば、もうそれだけで最高のものであることは決まっている。
でも、それにしても、この自由さ。いいのか、こんなことをして、と、思わず見ている僕たちのほうが心配するほど。でも、監督は一切躊躇しない。いいんじゃない、と飄々とし . . . 本文を読む
この20日から23日にかけて、初めて「アジアフォーカス 福岡国際映画祭」に行ってきた。4日間で10本の映画を見る。本当なら15本くらい見てもよかったのだが、無理しないで1日2~3本に留めた。(せっかくなので、観光もしたいしね。)厳選して公式招待作品から9本。インドネシア映画祭から1本見たのだが、見逃した映画にも気になる作品が多々ある。まぁ、欲張っても仕方ない。
佐々木昭一郎監督の初めての映画 . . . 本文を読む
若い劇団の旗揚げ作品を見るのはうれしい。新しい出会いに心騒ぐ。どんな作品を作るのか、まるでわからないのがいい。本作は「ウイングカップ6」参加作品であり、今回のウイングカップのオープニングプログラムである。だから、見ることになったのだが、こんなにも事前情報なしで芝居を見るのも、うれしい。なかなかそういう機会はない。
平均年齢18・3歳(たしか、そう言っていた)の若い集団である。主人公の2人の少女 . . . 本文を読む
なんと25周年になるそうだ。四半世紀にわたって毎年休むことなく25年間ずっと同じ時期(9月)にテントを立てて公演を続けた。場所は、(時には変わることもあるが)必ず大阪市内の公園を使い、忽然と銀色テントがその雄姿を現す。それが大阪の秋の風物詩であった。
できることなら、これからもずっと永遠に続けばいい、と思う。というか、そんなことすら思わない。NGRは言われなくとも毎年やる。それでいい。はず、だっ . . . 本文を読む