最近、妻が借りてくるので、韓国映画ばかりDVDで見ている。ここには書いている暇がないから書けないがその一部を紹介。まず1本目、『弁護人』はソン・ガンホ主演。1980年代、軍事政権下の韓国。国家保安法違反の容疑で逮捕された青年たち。警察による不当な逮捕、拷問。国家に対して、体制に対して、断固としてNOと言う弁護士の戦いを描くヒューマン映画。韓国で大ヒットした作品らしい。前半は、コミカ . . . 本文を読む
こんなヘンテコな映画がひっそりと公開されていたのか、と思うとおもわず笑ってしまう。「傑作だ!」と大声で絶賛して、人に勧める気はない。それどころか、教えてあげない。自分だけで大事に取っておく。
スタンダードサイズのスクリーンからして、ヘンだ。今時そんなサイズの映画はあまりない。ないわけではないけど、少ない。そのサイズがなんらかの意思表示にはならない。この映画の場合、たまたまこのサイズに . . . 本文を読む
5つのエピソード。5人の話。地方のとある百貨店を舞台にした群像劇だ。百貨店という今ではもう消えていこうとする魔法の場所。風早という街にある創業50年を迎える星野百貨店。今では、郊外のショッピングモールに客を奪われて、もう少しで閉店か、という噂が飛び交う。時代の流れに抗えず、その使命を終えようとしている。これはここの守り神である魔法の白い猫を巡る夢のような物語。
エレベーターガール、新 . . . 本文を読む
前作『龍の羅針盤』で前後篇4時間越えの大作に挑んだ大塚雅史とブルーシャトルが、今回は4作品の連続上演に挑む。上演自体は、今日見た「暁ノ章」と次の「宵ノ章」という2部構成なのだが、それぞれ1時間の作品の2本立上演。(途中、休憩10分が入る)4話からなる連作仕立てだ。
主人公を変えて4つの視点から新撰組の最初の2年間を描く。隊の結成から池田屋事件まで、である。彼らは以前、『壬生狼』で同じ . . . 本文を読む
前半はとても面白かったのだが、同じトーンでガンガン行くから後半ちょっと疲れてくる。ヒロインが自分を責めるから、そんな自分にしんどくなってきて、それが観客にまで伝染する。鎧のような衣装を纏い、スカートは履かないし、体のラインの出るような服も着ない。いつもだぶっとしたパンツでガチガチにかためて生きている。彼女には10年間も片想いの彼氏(「いち」と呼ぶ)がいて、脳内恋愛している。同時に今盛んに彼女 . . . 本文を読む
アキ・カウリスマキの『真夜中の虹』を見た時の衝撃は忘れない。こんな映画があっていいのか、と思った。70分ほどの短い映画なのに、なんと豊かな映画だろうか、と思った。一切ムダのない緊張感が漲る。簡潔な文体が映画の豊穣さを支える。無名だった彼はあの1作で、いきなりスター監督になった。それ以降、必ず見る。公開された映画はすべて劇場で見た。
だけど、だんだんあの感動は過去のものになりつつある。 . . . 本文を読む
やりたい気持ちはわかるし、とても素直で正直な芝居だ、とは思うのだが、あまりにストレートでひとりよがり。まず、これを観客に見せる、ということを考えてない。わからせたい、ということも。わかる奴だけわかればいい、という姿勢では作る意味はないし、そんなのがわかる奴なんてひとりもいない。
台本を書くこと、芝居を作りこと、自分のこと、周りの人たちのこと、半径数メートルの四畳半世界の中で、彼の脳内 . . . 本文を読む
なんと今頃、マジンガーである。まさかの映画化。しかも、シリアスタッチの大人のマジンガーではなく、僕らが子どもの頃に見たあの日のTVアニメ『マジンガーZ』の再来なのだ。今時、こんなアニメ映画はなかろう。主題歌もあのままだ。最初はすこしドン引きした。こんなお子様マンガ映画を90分、今から見ることになるのか、と暗澹たる気分。だけど、諦めたらだんだんこれはこれで快感になってきた。絵もあまり動かない。 . . . 本文を読む
ペドロ・アルモドバルの第20作。そして、今のところ最新作だ。前作『アイム・ソー・エキサイテッド!』はあまりにバカバカしくて(もちろん、確信犯だけど)残念ながら僕は乗り切れなかった。それだけに、本作も、なんだか食指をそそられず、今日まで見逃していたのだが、公開から少し時間が経ち、ようやく見たくなったので見た。だけど、やはり、少し、残念な作品だった。『トーク・トゥー・ハー』や『オール・アバウト・ . . . 本文を読む
まるで樋口さんのために誂えた台本のようだ。繊細で傷つきやすく、強い。芝居自体も、とてもストレートでわかりやすい。もちろん、これ自体が深津さんの作品の中ではわかりやすい作品なのだが、今回の再演が、こんなにも素直に受け止められたことに驚く。樋口演出は距離の取り方が素晴らしい。常にテキストを手にした主人公のかがり(出口弥生)が、いい。彼女は死者たちに生者たち(こんな言い方はないよな)にも積極的には関わら . . . 本文を読む
後半まるで同じ話がリピートされる。最初は勘違いか、と思うくらいにさりげないのだが、だんだん完全に同じじゃないか、と気付いたとき、どこから変わり、どこでオチをつけるのか、少しドキドキした。なのに、最後まで同じ、というのは、どうなのか。もちろん、そこに込められた意図は理解できないわけではない。
だが、なんだか違う気がする。そんな簡単なものではないはずなのだ。切実な問題と向き合う。20歳を前に . . . 本文を読む
40を目前にして、離婚する。40を過ぎて、1人で生きる。人生が80年なら40はターニングポイントだ。女がそこで何を思い、何を考えるのか。ちょっと気になるお話ではないか。もちろんそれは興味本位なんかではなく、女に限らず、誰もが感じることがそこに提示されるから気になるのだ。自分も60を目前にして、なんか落ち着かない日々を過ごしているから、こう小説がとても気になる。『マダムメドラー』の70歳が興味 . . . 本文を読む
未公開作品でが、DVDで発売されていた。こういう地味だけど大切な映画が劇場公開されないのが現状だろう。『テルマ&ルイーズ』から25年の歳月が経ち、スーザン・サランドンも70代に突入する。老境に達した彼女が、ここでも危なっかしい冒険を繰り広げる。
だが、こちらは40代の暴走を描いたあの映画のような過激さはない。でも、ここに描かれる70代の青春も興味深い。夫を失った女性が抜け殻のようにな . . . 本文を読む
廣木隆一監督はなんでもありだ。今後もすごい勢いで新作が公開される。しかも、ジャンルは多岐にわたる。それにしても、柚木麻子の小説の映画化は今回が初めてではないか。今までどうして誰も映画化しようと思わなかったのだろう。こんなに面白いのに。数ある傑作の中から選ばれた(のか?)今回の作品は、お話自体の大枠はうそだけど、ディテールはリアル。だから、このお話にさえ乗れると嵌まれる。
4人の痛い女 . . . 本文を読む
久々のニュートラルの本公演だ。大沢秋生は精力的に活動をしているけど、やはり彼には長編を書いて貰いたい。ニュートラルとして、たとえ小さな作品であろうとも、1年に1本は長編に挑んで貰えたなら嬉しい。彼が何を考え、何を思うかが描かれる芝居を見たいからだ。20年以上彼の芝居と供に過ごしてきて、もうそれが生活のようになっている。まぁ、そんなことを言いはじめたなら、20以上の劇団をずっと見ているから、そのすべ . . . 本文を読む