大沢秋生の芝居を見るのはいつ以来だろうか。90年代(調べたら93年から2000年代だったけど)ニュートラルの数々の作品で一世を風靡した。あれから気の遠くなるほどの時間が過ぎていった。この芝居を見ることにしたのは彼が演出を担当しているから。それだけ。もちろんレトルト内閣の福田恵が企画、主演しているというのも魅力的だったけど。ピン芸人だというどくさいスィッチ企画が台本を担当する。彼のことは僕は全く知ら . . . 本文を読む
TV東京制作のドラマ。北川悦吏子、脚本。廣木隆一監督。主演は妻夫木聡と渡辺謙。ロードムービーになっている。ファンタジーではないけど、あり得ない話。だけどまるでリアルじゃないこんな話で最後まで引っ張る。
描きたかったことはわかるし、これはこんな甘い話でいい。だって主人公の渡辺謙はあと3か月で死ぬと余命宣告されたから。しかも、痛みは治まることなくどんどん加速する。残りの時間のカウントダウンを待つより . . . 本文を読む
『キッチン常夜灯』を読んでいるから、この作品も安心して読める。ただあまりテンポはよくないから、最初は少し退屈。おばあちゃんと孫のふたりが銀座にある老舗雑貨店を守るため奮闘するというよくあるパターン。なぜかそこではたい焼きも売っていて、しかもそれが大人気。バイトの青年は謎めいている。
主人公は雑貨バイヤーをしていたが、仕事を退職した40歳。祖母90歳の経営する雑貨店を引き継ぐことに。食 . . . 本文を読む
内藤裕敬の作、演出。チラシがまるで出回っていないので、ほんとうにこの公演はあるのか、と心配したけど大丈夫だった。ウイングで話を聞くと敢えてチラシを作らない(配布しない)という方針らしい。納得する。事前情報はまるでなく、大旅軍団という劇団のことも知らないで、内藤裕敬が作、演出をするということだけで見たのだが、内藤さんらしい作品で楽しめた。作りが緩くて役者たちの裁量に委ねられる芝居は『青木さん家の奥さ . . . 本文を読む
藤井道人プロデュース、松本優作監督作品。6話からなる配信ドラマ。今配信ドラマは劇場用映画にはなかった可能性がある。今まではできない作品を作ることができる。TVドラマではなく、映画でもないスケールの作品。トータル上映時間が5時間から8時間くらいの尺は映画では難しいが配信作品なら容易だ。予算も規制もTVより潤沢。作品によっては映画より贅沢なものもある。これもそういう配信作品である。
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深夜12時からの読書会。古書店に集う6人の男女。課題図書について語り合い2時過ぎに帰宅する。そんな不思議な読書会に参加する6人のそれぞれのお話。6話からなる連作長編。軽い気持ちで読み始めたが、これは決して軽い小説ではない。5人の人生が、その断片が語られる。彼らが今どこにいて、どこに向かうのか。これまでどんなふうにして生きたか。大袈裟ではなく、そんなものさえこの読書会を中心にした物語の中から確かに伝 . . . 本文を読む
今日から実写版の1話から6話までの配信がスタートする。その直前にアニメ版の第1話(これは劇場公開されている長編作品で1時間21分ある)を見た。この手のアニメを見るのには抵抗がある。最初はその絵に引いたけど、すぐに話に引き込まれた。そこに展開するお話のあまりのことに瞠目した。まるで予備知識がなかったからその衝撃は大きく、圧倒された。ただのオタク「アイドルもの」のお話だとたかを括っていたが。まさか、で . . . 本文を読む
久しぶりのナンニ・モレッティの新作だと思って見たが、実は2年前にも新作が公開されていた。『三つの鍵』である。あれを見ていたのだ。とてもいい映画だったけど、彼の作品だったということをなぜか忘れていた。それくらいにモレッテイらしさを抑えたおとなしい映画だったのだ。
今回はいつも通り自ら主演する彼らしさ全開の作品である。しかも今回は映画監督の役。限りなく自分を投影した作品だ。新作映画の撮影を背景にした . . . 本文を読む
なんだか素敵なこのタイトルに惹かれて読むことに。というか、ほしのさなえだからそれだけでも読むけど。3話からなる中編連作である。ワン・エピソードが100ページくらいのボリュームというのがいい。短編ではなくほぼ長編の趣きである。軽井沢の英国風の古いけど趣きのあるおしゃれなホテルが舞台になる。ここはもともとは戦前に建てられた外国人の別荘でそこを改築した。こじんまりとした、だけど落ち着いた瀟酒なホテルだ。 . . . 本文を読む
これはシリーズ第3作にして完結編になる。マーベル映画はもうお腹いっぱいだけど、時間の関係でたまたまこれを見ることにした。派手なアクション映画で最初から最後まで楽しませてくれる娯楽大作。先日見た『ジョーカー』の続編とは違いこれは観客ファーストの映画だった。(もちろん僕は『ジョーカー フォリ・ア・ドゥ』も好き)シリーズ過去2作で脚本や製作を務めてきたケリー・マーセルの作品。彼はこの映画で監督デビューし . . . 本文を読む
今年最後の神原作品。今年も例年通り年に4回芝居を打つ。そして最後は恒例のオムニバス『わらわら草紙』である。今回も3話からなる短編集。来年は4本にしよう、と神原さんが話していたけど。きっと来年もあるということかぁ。しかもこの『わらわら草紙』は次回で10回目になる。そして、彼女は来年も年に4本芝居をすることになる。
今回の共通テーマは「お祝い」。ということだが、あまりストレートなものではないから、後 . . . 本文を読む
外輪能隆が関西演劇祭に参加した。吉本の作る演劇コンクールにまさかevkkが参加するなんて。エンタメ芝居ではないから違和感があるけど、敢えて彼がその挑戦に望んだ以上、それを見てみたいと思った。企画物だから規定があり1本45分、他の団体と抱き合わせの上演となる。45分という制約下だから小さな芝居に納めるべきところを、反対にそこで大きなお話を作る。大胆な作劇をする。ベースは人魚姫の物語。部分的にはこれは . . . 本文を読む
今年初めに二兎社によって上演されたという永井愛の新作(ではなく、2003年作品の再演だった。どおりでお話がなんだか古いなと思ったはずだ)に劇団きづがわが挑む。これは楽しい。わかりやすい展開で安心して見れる。出てくる人たちがみんな悪人っていうのも凄い。しかもスーパーを改革させようとして戦っていたはずのあの店長も、って、なかなか凄い。善と悪の戦いという壮大なドラマを潰れかけたオンボロスーパーを舞台にし . . . 本文を読む
evkkの公演と抱き合わせ上演だったので見ることになった。初めて見る劇団である。こういう偶然も楽しみたいと思い見始めた。
なんとこの劇団は創立40周年になるらしい。凄い。しかも劇団の座長が23歳の娘さんに変わったという。実の娘である。母子2代で芝居をする。そんな小劇団がある。(さっきまで見ていた劇団きづがわも主宰の林田さん夫婦と娘さんである彩さんでずっとやっているけど)
僕はこ . . . 本文を読む
新城毅彦監督の新作。彼は最近はこの手の青春映画ばかりが多い。あまり出来はよくない。以前のキレがないのだ。だから歯痒い。安全圏で勝負している気がするくらいに。もちろん手を抜いているわけではあるまい。スランプに陥っているのだろう。ファンとしてはこの辺で渾身の一作をものにして欲しい。もちろんこれは彼がしたい仕事とは思えない。だけど、このスケールの少女漫画のアイドル映画だけど、これは彼の得意分野だとは思う . . . 本文を読む