久々の劇団大阪公演である。15年振りの再演となる。前回は初めてこの戯曲を見たからかもしれないが、当事者である子どもたちが出ない芝居に憤りを感じた。その後他の劇団での公演も見ているが、今回久々に劇団大阪による公演を見て感心した。今回も、もちろん熊本一による演出。劇団大阪にとっては2年振りの本公演であり、しかも第90回の節目にもなる。役者たちがとてもいい。それぞれが勝手だけど、自分の子どもを守りたいと . . . 本文を読む
なんと高齢者による読書会のお話である。高齢者ものは近年多いから驚かないけど、読書サークルである。そんな題材で書かれた小説なんてない。古民家カフェを借りて毎月開催される読書会。参加者は6人。会長はなんと92歳。最年少でも78歳。コロナ禍かは3年間開催が見送られていたが、ようやく再開する。カフェの新米店長28歳も新たにメンバー入りする。まるで介護の一環として参加したけど、そんな舐めた印象を吹き飛ばすよ . . . 本文を読む
長尾高校以外に見た二作にも少し触れておく。長尾を含めていずれも役者たちが達者で安心して見ていられる。予選を勝ち切って府大会に出場している学校なのだから当然かもしれないが、実に上手い。冒頭の前説だけで感心させるワンエピソードを成立する精華高校作品は、『椿姫』をベースにしたメインの話(らしいが、僕にはどこが椿姫なのか、わからなかった)に、さまざまな生徒たちによるエピソードを絡めて描く高校生アルアル。恋 . . . 本文を読む
コンクール(大阪府高等学校演劇研究大会というらしい)の大阪大会に来ている。長尾高校演劇部を見るために。見に来てよかった。とてもいい芝居だった。それに初めて府大会を見ることが出来たのも楽しかった。何度か予選は審査員を依頼されて見ているが、本戦を見るのは初めてだ。こんな感じなのか、と知れてよかった。時間の関係で3本しか見ることが出来なかったけど、貴重な体験になった。僕は参加はしなかったけど、公演ごとに . . . 本文を読む
リドリー・スコット渾身の一打を期待した。突き刺さる一撃の一作が見たかった。あの前作から24年、前作『ナポレオン』に続いて壮大なスケールで贈るスペクタクル映画である。冒頭の戦闘から圧巻だ、と思って見ていたのだが、なんだかこれは違う。前作があれだけ素晴らしかったから、本作に期待しないわけがない。今回、前回の主人公であるラッセル・クロウは出ない。(回想シーンで少し出るけど)これは彼が死んだ後の話。これだ . . . 本文を読む
アニメ版のTVアニメの再編集した劇場版。TVシリーズは見ていないから少し心配したけど、大丈夫だった。杜撰で単純なダイジェストではない。劇場用映画としても完成度は高い。大スクリーンで見るべき映画にちゃんとなっていた。
全く評判はよくないけど、昔、実写版二部作は見ている。あれからもう10年くらい経つのではないか。あれだけのビジュアルを実質で可能にした樋口監督の手腕は高く評価されていいはずだ。少なくと . . . 本文を読む
まさかこんな映画だと思いもしなかった。前半部分はロードムービー。こんな不思議な(あるいは杜撰な)展開に呆れる。昨日見た『ルート29』に負けないくらいに凄い。これはないわぁ、と思うけど、それは故意にしているかも、とも思うから、謎だらけのお話の納めどころが気になる。
すると後半はなんと『イルマーレ』を思わせる設定になる。8歳の少年と18歳の青年が時空を超えた文通の話に。ええっ!っていうまさかの展開に . . . 本文を読む
『こちらあみ子』の森井勇佑監督第2作。主演は前作であみ子演じた大沢一菜と、綾瀬はるか。姫路から鳥取までルート29を旅するふたりのロードムービー。そして不思議満載のファンタジー。まるで理解不可能な展開もさりげなくある。気にしてたらわけわかめになるから、さらりと流そう。単調な展開だから時々居眠りしてしまうけど、それも気にしないでよい。ひとつふたつくらいエピソードが飛んだって平気。(たぶん)どのエピソー . . . 本文を読む
冒頭からガツンと殴られた気にさせられる。こんな衝撃は久しぶりのことだ。演芸写真家なんて仕事があるとは知らなかった。繭生は舞台袖から写真を撮った。演者の許可を取っていないのに。
あの時はまだ20歳で、アシスタントの身分だった。夢中でシャッターを切ってしまった高座に立つ落語家の「一重の瞳は怒りに満ちていた」。彼女の落語を壊してしまった。そしてルールを破った。たった一枚の写真ですべてを失った。
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ロドリゴ・プリエト監督作品。初めて聞く名前だ。調べたらこれがデビュー作らしい。イニャリトゥの撮影監督をしていたらしい。冒頭から緊張感が漂う。
こんな映画が配信されている。Netflixプレゼンツのメキシコ映画。2時間12分の大作アート映画である。きっとつまらない(たぶん)たくさんの娯楽映画の影に隠れて、こんな地味で凄い映画もNetflixではちゃんと公開されている。
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シリーズ完結編だけど、これまでの3作を読んでいないから、話になかなか入り込めない。シリーズ物とは知らないで借りてしまった。ポプラ社から出ているし、表紙のイラストもかわいいから軽く読めるかと思って。
弓、剣、茶の三道を伝える坂東巴流家元ジュニアを中心にした取り巻きの人たちのそれぞれのお話を描く連作。だけどこれはスピンオフで主人公の遊馬は最後のエピソードまででない。しかもまるで活躍しないまま終わ . . . 本文を読む
現在も上映中の大ヒット作がAmazonでの配信がスタートした。劇場公開時には58分の映画なのに、特別料金で割引なしで上映されたから、なんだかなぁ、と僕は思い見るのを控えてしまった。今更だけど、ようやく見ることが出来てうれしい。ただ期待があまりに大きくて、見た時はこんなものか、と少しガッカリもした。もちろんとても丁寧に作られてあり、ふたりの想いはしっかり伝わってきたし、これは素敵な映画である。たった . . . 本文を読む
久々に軽くて楽しい小説を読んでいる。これは5話からなる連作だが、最初のタイトルにもなった『かもめジムの恋愛』がすべてを象徴する。これは75歳の西原さんの初恋を描いた短編である。かもめジムに通う西原さんは受付アルバイトの私(柏夢)に恋愛相談をする。58歳差のふたりはお互いの恋愛相談を通して友情を育む。このなんともいえない設定がいい。年齢差なんて関係ない。男女問わず。当たり前だけど特別。彼女にはそんな . . . 本文を読む
こんな芝居があるなんて知らなかった。こんな劇場(たぶん、一応)も知らなかった。冨田倶楽部はほぼ毎月1本お芝居を上演している。この4月から来年春までの1年間に10本の公演をする予定らしい。凄い、と思う。たぶん軽い気持ちで酒の席のおしゃべりから始めたのかもしれないが、もう今回で第11回集会となる。参加者(加盟者)は18名。「メンバー不確定、作風未確定」と当日パンフにはある。先日偶然久々に石田1967さ . . . 本文を読む
今までとはかなりタッチの違う小説にチャレンジした。映画化を視野に入れたプロデューサー目線はなく、一作家としての作品だ。と、最初は思った。
だけど川村元気はやはりエンタメ系で、これは充分「純文学」できる題材なのに、気がつくとエンタメになる。それが悪いわけではないけど、なんだか中途半端でつまらない。組合費の横領、気がつくと1億円。そこではなく、馬との話に絞り込むほうがいい。と思いながら読んでいたら、 . . . 本文を読む