別所沼だより

詩人で建築家 立原道造の夢・ヒアシンスハウスと別所沼の四季。
     

いい尽くされず

2007-12-08 | 自然や花など

  クヌギ、ケヤキ、コナラ、ムク、シデ、シラカシ、スギ、ホオ、ヒノキ、エゴ…・・・ 
 義姉を誘って 雑木林を歩く。  武蔵野の風情をとどめる平林寺(新座市)は、 禅の厳しい修行道場である。  樹齢五百年の高野槙が出迎える。
  紹介のページ (季節を変えて沢山の写真が見られます)

 

  


  なかば黄いろくなかば緑な林の中… 澄みわたった大空が梢々コズエコズエの隙間からのぞかれて日の光は風に動く葉末葉末に砕け、その美しさいいつくされず… (國木田独歩 武蔵野)



  

 
 下草は、 青々とした竜の鬚、蛇の鬚とも。   晩秋から冬の間、 碧黒い珠実をつける。  根元を分けるとひっそりと光って。 弾むこの実を、 鞠つきのようにして遊んだ思い出がある。


      日当りの土うきうきと竜の玉       みづえ
      鵯ヒヨドリや手にして淡き竜の玉      瓶子

 

 

  

  青い耀きは 瑪瑙やラピスラズリ、  黒真珠か翡翠もある。 ふたりとも  夢中になって集めた。    万葉集にある 山菅ヤマスゲ は 竜の鬚とも言われるらしい。

    
   ぬばたまの黒髪山の山菅に小雨降りしきしくしく思ほゆ    柿本人麻呂

 

  紅葉の種類により、 かたちや彩りに微妙な違いがあること。 散り敷いた絨毯の模様に目を奪われる。 木の実を拾ったり 囀りを聴いた。 
 折しも 木の葉時雨に遇う。 金の蝶がくるくると舞い、 裏返り、 陽に照らされかがやく。 向かいの翳を横切り、 降りしきる。
  ああ なんて美しい光景、 しっかり心に焼きつけておくんだ。

  足裏の落ち葉もカサコソ快く、 枝付きを踏むと幽かな響きを伝える。 ドングリが砕ける乾いた震動や感触など小さな喜びとなってゆく。 落ち葉はベンチも隠していた。


      足音を迎へさわだつ落葉かな      汀女
      
静さに耐えずして降る落葉かな     虚子


  雑木林に遊ぶ楽しみ、  まさに いいつくされず… 

      

コメント (6)
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