ドアの向こう

日々のメモ書き 

如月・弥生

2008-02-27 | こころ模様

 
     2月27日   旧暦1月21日    風がつめたい

  3度目の守一詣で   究極の色とかたちを見ながら、 ああもこうもしよう と熱くなった。 今まで、 モティーフにこだわり過ぎていた。 これからは 一度見て、 またよく観て、 あとは見ないで描くくらいがちょうどいいのだ。 
  織部の気品と迫力をとらえるには、 それしかない。 
  守一様式
無駄のないみごとな短詩が、 深くしみ入ってくるようだった。  細部にこだわる程、 
 遠のいていく… そう気づいた。

              -☆-  

  美術館の帰りはひな会席をとった。 陽気に満ちた二木屋の庭。 
  各部屋毎、 外まで雛が置かれている。  春 存分に味わって誕生日。

 

 

        雛の影桃の影壁に重なりぬ        子規

  2/29~3/3まで 享保雛などのコレクションが一般公開される。 入場無料  

 

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風の音

2008-02-24 | こころ模様

   
  春は足踏みしながらやって来る。 

   どっどど どどうど どどうど どどう… 
 
  強風に煽られながらやってくる鳥たち、  彼らのプールに 今朝は薄氷が張った。
    風速26m  気温6℃   体感温度はさらに低い。 

 
      青いくるみも吹きとばせ
                すっぱいかりんも吹きとばせ
      

  風を思うと 颸 スズカゼ が立つ。  
  犬が集まると 飆 ツムジカゼが起きて、 炎のように激しく 颷ハヤテとなった。
    飃 も 飄  も つむじかぜ。
         颫 アラシは 夫で合点がいく。  颰 ハヤテ。 

     風の音、 山の音、 海の音、 風のいろ…   


         春疾風乙女の訪う声吹きさらはれ      草田男
        
 春突風少女礼するまも駈けて         節子
         春颷ハヤテききゐて沼へ下りゆかず      楸邨


   風~   風-- …    ますます強くなった        止まない                    
   

            

  アクセス数に励まされて          明日もまた  ね! 
   きのうは 春一番が吹いたのです。

 

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早春の息吹

2008-02-21 | アートな時間

  

 今朝も 織部の掛花は揺るぎない量感をもって、 濃緑が明るい日射しに映えていました。 頂き物は卓上で、 地面に生える竹を思わせました。 勢いよく萌え出るみどりに、 根元の土まで匂います。
 いのちみなぎる竹… 
 大らかに才知を伸ばして 天を目ざすようにみえる。  強い線が拍子をとってアクセントをつけている。 迫力のある作品は 堂々とした孟宗の姿です。  
 
 
         光る地面に竹が生え…   
         かたき地面に竹が生え…  
         凍れる節節りんりんと…  
                   朔太郎の詩も思い出されます。
 
 
     

     
           光る地面に竹が生え、
     青竹が生え、
     地下には竹の根が生え、
     根がしだいにほそらみ、
     根の先より繊毛が生え、
     かすかにけぶる繊毛が生え、
     かすかにふるえ。

     かたき地面に竹が生え、 
      地上にするどく竹が生え、
     まつしぐらに竹が生え、
     凍れる節節りんりんと、
     青空のもとに竹が生え、
     竹、竹、竹が生え。

          萩原朔太郎   竹

 
   詩も、 陶芸も脚韻をふんで快く、 力強くひびいてきた。 緑の濃淡とその形も、 彫刻か絵のように変化して飽きません。 宝のような織部を、 こんどはたのしみに描きます。

 さわさわと揺れる竹の葉、 そよぎも懐かしい。 遠い空を思いながら、 うれしさがこみあげます。 
  赤い侘助に よく合いました。 
  
 

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手袋

2008-02-19 | こころ模様

              手套テブクロ を脱ぐ手ふと休ヤ む
              何やらむ
              こころかすめし思ひ出のあり 
                                    石川啄木

 

                  

  

                          -☆-

   脱ぎ捨てられた手袋は  机のうえで しばらくその人のかたちをしていた。 
     逡巡する想いも 体温も記憶している。  冬の思い出。   

       
         手袋の手を振る軽き別れあり        友次郎

 

   春になると 黒いレースに変えた。  丈は短く手首まで。 
     編み目の奥に明るい肌色が覗いて うたた寝をしている。
       若草色のスーツを 引き立ててくれた。   

             

  ・ 夏  肘の上まである長い手袋を着け、 変身する。 指先が 妖しくうごく。
    灼熱の太陽も、 黒い手でかざしてみると 我がものとなった。  

            何の関係もない画像は  6F   

   

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丸の内

2008-02-15 | アートな時間

  出光美術館  王朝の恋 ―描かれた伊勢物語―  ぎりぎりで間に合った。 電車の中で文庫を読んだ。  様々な恋を、 書画や工芸にしている。  楽しみたい。
  昨夏の 「水と生きる」 展にも、 八橋蒔絵硯箱、 八橋蒔絵櫛、 伊勢物語図色紙貼交屏風などあった。 

                     -☆-

   blogでは  ひとつだけ…

 男が女のところに一夜きりで通わなくなった。あるとき、女が手を洗おうとして、盥の水に自分の姿が映っているのを見て

  我ばかりもの思ふ人は又もあらじと思へば水の下にもありけり

 (自分ほど物思いに沈む人はいないと思ったら ここにも沈んでいるわ) と詠み、

 それを立ち聞きした男は                 伊勢物語図色紙 水鏡 伝 俵屋宗達

 水口ミナクチに我や見ゆらむかはづさへ水の下にて諸声モロゴエになく

  (そこに沈んでいるのは私ですよ) と返した。 
  蛙でさえ水の下で声を合わせて鳴くものを、 私もあなたと声を合わせて 悲しみに鳴いているのですよ と。

  女の嘆きに 応和しようとする男。  ユーモアと 風雅を感じたり  (第二七段 水鏡)

                                                                        伊勢物語図色紙 水鏡 伝 俵屋宗達  (図録より)  もう一枚の 大きな画像

  織りこまれる和歌もすてき。  響きあう返し、 捻りがいい。  会話もこのように進んだら 愉しいでしょうね。  エピソードをじっくり読みかえす機会にもなった。
  能のせかいも誘われる。

  
             -☆-

  職場が近かったせいで、 丸の内は懐かしい場所。 東京會舘でティータイム。 猪熊弦一郎のモザイク壁画はモダンな赤。  写真: 『都市・窓』 部分

   

  
 

  必ず立ち寄った 東京中央郵便局。 以前は 地階に切手専門の部屋があって古いものなど何でも揃った。 小さなアートは短いものがたりを生む。 選んだ切手を封筒や葉書に貼って、 笑顔を想像した。きょうは、 湯島天神の切手を買って 掌の花見をする。 大きい画像

     

  東京駅と昼の月     光りあふれる春も  風が寒い  つめた~い  

 

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明日もまた!

2008-02-10 | こころ模様

  津田仁美さん   ご出版おめでとうございます。 

    待っていた一冊が届きました。 

 

  

明日もまた 津田仁美 (花梨書房)                                                  

  
  暖かみのあるホワイトは、 ほのかな紅色を湛えて春の予感がします。 

  さまざまな方が関わって 試行錯誤をかさね生まれてきたエッセイ集、 たいせつなところを担うことができて、 本当に仕合わせでした。 ありがとうございました。

 インクの匂いを確かめながら、 拾い読みしました。

 
 隣国の息子たち   朴パク君のこと… 
  ステイさせた高校生との心の交流 
   温かい雫が私の心の中にポトリ落ちた… 
         共感し、 涙を拭って読みました。 

  歳月からの贈りもの。 もうひとつの旅。 古典の中の愛しき人たち。 今を見つめて…  どのエッセイも、 こころに響きます。 これは3冊目。  既刊 「山の雫」 もキリッとした文章が魅力でした。 幅広い活動、 豊富な体験に誘われ、 空想を呼び飽きませんでした。 簡潔な文章は心地よく、 長いこと磨いてこられた証しです。 

  明日もまた…  好きなことを学び続け、 自らのために、 誰かのためにも、 何かができる。  
 
  元気が湧く。 続けるとはなんとすばらしいこと。  読後、 爽やかな気分になりました。  いつの日も 何事にもひたむきなところ。  よその子の仕合わせを願う優しいまなざしが胸を打つ。  古典のお福分けもうれしいものです。

   ※ お取扱いは  神保町 東京堂書店(TEL 03-3291-5181) です 

               -☆-

 ご紹介くださった京さん、 諦めずに見守ってくださったルピナスさん 心からのお礼を申しあげます。 
   別所にも空からの手紙が届いて  

     この雪の消残るときにいざゆかな山橘の実の照るも見む  

  こころ弾ませる家持。  赤い珠実を見にいこう…  雪の白と葉の緑、 藪柑子の小さな赤。 珠実はひっそりと光っている … 
  
 雪の またの日こそ、 いみじうあはれにをかしけれ。 
  新刊を手にして 喜びが湧いてきます。 ありがとうございました。 
  今日は オカリナ演奏も聴きました。 

    明日もまた…    小さな喜びさがしましょう     
 

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春の夜

2008-02-08 | アートな時間

春の夜のやみはあやなし梅の花色こそ見えね香やはかくるる  凡河内躬恒     


   あっ 梅が咲いてる  
    香りをたづねれば   
        暗くても わかりますね 

  

 清少納言は 秋の夕暮れ…
  一方 
 見わたせば山もとかすむ水無瀬川
      夕べは秋となにおもひけん 

             と讃美されるお方もあって

     どちらの情趣も すてきです

 
春の夜のそこ行くは誰そ行くは誰そ                      子規

      銜えた羽根を落とすまい

 耳も背中も 尾の先まで緊張して      忍び足で 抜けていく                                        

                                 小茂田青樹 オモダセイジュ  「春の夜」  1930

   

   梅見弁当に添えられた花を 持ち帰った 
   コップに挿して…    ほのかにかをる  宵の春  

 

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守一様式

2008-02-05 | アートな時間

   埼玉県立近代美術館  没後30年  熊谷守一展 (2/2~3/23)  

   メモ
  天与の色彩  究極のかたち  対象を厳しく見つめ、 優しいまなざしで捉えた誰にも真似できない個性的な作品ばかり200点。  楽しみながらゆっくりと、 表現の変遷をみてきた。 

 第1章 形をつかむ  第2章 色をとらえる  第3章 天与の色彩  第4章 守一の日本画  
 第5章  変幻自在の書   
 特別展示 : 藤森 武  獨楽 熊谷守一  写真25点組  
   モノクロ写真が守一の日常を伝える。 1974~76 守一94才 藤森32才 3年間に撮った写真は3千枚を越える。 自宅、 ジャングル、 緑、 パイプ、 帽子、 カルサン姿、 瞳の輝き、 立派な髭、 鬚、 髯?    (ついでながら  口の上に生えるのは髭、 顎に生えるのは鬚、頬に生えるのが髯  蛙のお節介)  どれも生えていた。   50坪の庭に椅子が16? 天狗の腰掛け          

                   -☆- 

  横向裸婦(1904)  初期の モノトーンで描かれた作品も魅かれる。  
  ひまわり(1928) ◎

     裸(1937)                     桑畑 (1939)

           

   

  独特の切り口。 あらためて魅力的。 やはり本物。  印刷で見るのとは、 ずいぶん違った。  思いこみを一枚ずつ修正していく。  塗り残された輪郭線、 キャンバスの生地や木地が見える。 そのほとんどが板に描かれている。
 

  平面に見えるところも、 べた塗りでなく。  原画には風があり、 迫力がある。 筆致を眼の当たりにして、 単なる色面でないことがわかった。 リズムがあり、 奥行きがある。 平面は立体になり、 ものの形が見えてきた。 選ばれた明快な色彩が語りはじめる。 作家が何に感動したかが直に伝わるのだった。 

   赤や緑が先行する強い絵。 一見、 色面を区切って貼り付けたよう。  守一の絵を避けてきた。  分からないから見ないのだ。   
  

   俳句のように、 少ない言葉と色彩で、 命を伝えていた。  熱意を持って見つめると答えを呉れる。 潔い輪郭線と、 省かれた形や色。 いつしか守一のファンになっていた。   

                                                        
                                                                     五色沼  (1962)

   絵と言うものの私の考えはものの見方です。 どう思えるかという事です。 単純というのは表現の方法です。 どういう風に見たって絵にならなければ、 形になって来ませんから…

  ものの見方…。  自分だけの学校…。 「若木だけが生きてるんじゃないんです 時には枯れ木も生きているんです」  印象にのこる。  

  「峠ぶき」 を知った。 
  図録では、 青木繁や斎藤豊作との交遊もあげられ新たな写真も見つかった。

  下の写真  展覧会を楽しむワークシート 「くまがいもりかずあーとかるた」 の絵札。  高校生が絵を見て感じたことを、 ことばで「読み札」にしている。 切り取って楽しめる。 
 

    開催を早くからご案内くださったOさん  ありがとうございました。 堪能しましたよ。

  

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雪降り

2008-02-03 | こころ模様

         

 

             節分の何げなき雪ふりにけり        万太郎

 

          一日 降るそうで  臘梅がうつむいている

            飛行機は着くかな… 

                  電車は動くだろうか   

                こんどは  積もりそう  

        こんな日には  お香を聞きながら

               吉野の葛湯をいただきましょう  

          お送りくださった  やさしいあの方を思いながら…

 

 
                                                                         ※ 光悦忌    明日は立春   
  ロウバイは 晴れでも うつむいて咲いてます  
  
 書いてしまって 狼狽しました

 右写真:埼玉県立近代美術館 

  フェルナンド・ボテロ 
           横たわる人物

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