想風亭日記new

森暮らし25年、木々の精霊と野鳥の声に命をつないでもらう日々。黒ラブは永遠のわがアイドル。

愛ってなんね、それなんね。

2011-01-23 18:17:00 | Weblog
こどもにきかれました、はい。
アイ I 愛 相 哀。
文字を並べてみたところでアイってなんねは収まらない。
気のない返事で納得しない。

見返り求めず尽くすことだよ、とそばから言う人がいて
ミカエリってなんね、とまた子どもが聞く。
聞かれても、これあれと教えられない。
大人になったらわかるから。ウソを言ってもなあと内心
思っている。
ヤサシイことだよ、なんて言ったらそれなんね、とまた
聞いてくる。



そうだねーなんだろうねーと同調しつつ、ゴマカシに入る。
お父さんとお母さんに聞いてごらん、そう言ってしまう。
お父さんとお母さん、いないもん、と子どもが言い、場が
一瞬しらける。

いないなら君はどこから来たんだい?
かならずお父さんお母さんは誰にでもいるんだよ、
みーんないるんだよ。ゴリゴリと頭をなでる。猫のあごを
なでるみたいに頭を、髪の毛をゴリゴリ。力が入る。

あーはらへったー。おなかすいたー。
子どもはもう話など忘れ、出てきたお皿に箸を伸ばし、
肉団子をとり損ねて手で拾う。あ、と言うと、皿に戻したり…。
ヘヘヘ、と笑っていて、愛はどうした、と聞いてももう忘れた
ような顔をしている。
ほら、とお皿に取り分けてもらってパクパクと食べる。

いっぱい食べなさい、もっと食べなさい。

おなかいっぱいになって身体があったまったかい。
愛を食べたんだよ、君は。
毎日人は食べて生きてるんだよ、愛を。
ブツブツ言ってみたいが恥ずかしいから言わない。
言えば泡ぶくになって消えていくし、な。

愛してると言わないおっかあにオイラは毎日ひっついて
愛してるかと聞かないおっかあの寝息を毎晩確かめる。
オイラはどこから来たのか考えたこともないが、
おっかあが今目の前にいて、オイラの足の裏を拭く。
オイラの背中を撫でている。

世の中の決めごと、明日の都合の約束、もろもろの契約、
一切があてにならない。

それは目でも耳でも口でも頭の前のほうでも身体全体でもなく
もっと奥のほうでじんじんと伝わってきて、ずっと前から
自分のなかにあったもの。
言葉を捨てたとき、萌え出してくる。
生まれたときから誰もが持っている。



コメント
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