地方自治法が改正されて総合計画の策定義務が無くなり、基本構想は議決事件から外された。以前、当ブログにて、議決事件として「総合計画の策定」を挙げている議会基本条例、自治基本条例を紹介したが、自治基本条例もない、議会基本条例もない、議決事件に関する条例も持っていない自治体はきっと多いことだろう。
そういう自治体が、従来どおり議決を経て総合計画の基本構想を策定しようとするのであれば、次のような条例を新規に制定しないといけない。
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地方自治法第96条第2項の規定による議会の議決すべき事件を定める条例(案)
(趣旨)
第1条 この条例は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第96条第2項の規定により、議会の議決すべき事件を定めるものとする。
(議決事件の指定)
第2条 議会の議決すべき事件は、次のとおりとする。
(1) 総合的かつ計画的な市行政の運営を図るための基本構想の策定、変更又は廃止をすること。
附 則
この条例は、公布の日から施行する。
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仮に、こうした条例を制定しないまま、基本構想を議案として議会に提出した場合、どうなるのか。この議案は提出の根拠を持たないものであるから、これに対する議決は無効というか、無意味である。この議決は基本構想に対する機関意思を示すだけであり、基本構想の成立・不成立には何ら影響しない。
(・・・案を作ってみて、
「条建てにする必要はないかな」
「号が一つしかないから、号にする必要ないかな」
とも思ったので、もし実際に使う場合は各自治体のスタイルに合わせてほしい。)
ちなみに、改正自治法の成立は平成23年5月。これ以前に制定された条例では、基本構想が法律上の議決事件となっていたことを前提として、
「地方自治法第2条第4項に定める基本構想に基づく基本計画」
と、基本計画を追加した形で議決事件を定めている。
これから条例を制定して、基本構想のみを議決事件にしようと考えている自治体が、平成23年5月より前に制定された他団体の条例をコピーするとおかしなことになるので、注意が必要だ。
また、基本計画を議決事件として追加している自治体の議会会議録を見てみると、その多くが議員提案となっている。「法律で定められた基本構想だけでなく、基本計画についても関与したい」という議員の思いが表れたものと推察する。
自治法が改正された、でも従来どおり基本構想のみ議決を経て策定したいと考えているのであれば、首長提案とすることをお勧めする。議員提案条例となったら、きっと基本計画も議決事件に加えた形になってしまうだろう。
そもそも、地方自治法が改正されて、総合計画の策定義務が無くなったのだから、総合計画の必要性そのものをしっかりと議論してほしい。作るだけ作ったけど、実際には職員も議員も首長も誰も見ないような計画なら、自治法改正を機会に策定を止めてしまった方が良い。無駄な計画策定は、コンサルを喜ばせるだけだ。
そういう自治体が、従来どおり議決を経て総合計画の基本構想を策定しようとするのであれば、次のような条例を新規に制定しないといけない。
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地方自治法第96条第2項の規定による議会の議決すべき事件を定める条例(案)
(趣旨)
第1条 この条例は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第96条第2項の規定により、議会の議決すべき事件を定めるものとする。
(議決事件の指定)
第2条 議会の議決すべき事件は、次のとおりとする。
(1) 総合的かつ計画的な市行政の運営を図るための基本構想の策定、変更又は廃止をすること。
附 則
この条例は、公布の日から施行する。
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仮に、こうした条例を制定しないまま、基本構想を議案として議会に提出した場合、どうなるのか。この議案は提出の根拠を持たないものであるから、これに対する議決は無効というか、無意味である。この議決は基本構想に対する機関意思を示すだけであり、基本構想の成立・不成立には何ら影響しない。
(・・・案を作ってみて、
「条建てにする必要はないかな」
「号が一つしかないから、号にする必要ないかな」
とも思ったので、もし実際に使う場合は各自治体のスタイルに合わせてほしい。)
ちなみに、改正自治法の成立は平成23年5月。これ以前に制定された条例では、基本構想が法律上の議決事件となっていたことを前提として、
「地方自治法第2条第4項に定める基本構想に基づく基本計画」
と、基本計画を追加した形で議決事件を定めている。
これから条例を制定して、基本構想のみを議決事件にしようと考えている自治体が、平成23年5月より前に制定された他団体の条例をコピーするとおかしなことになるので、注意が必要だ。
また、基本計画を議決事件として追加している自治体の議会会議録を見てみると、その多くが議員提案となっている。「法律で定められた基本構想だけでなく、基本計画についても関与したい」という議員の思いが表れたものと推察する。
自治法が改正された、でも従来どおり基本構想のみ議決を経て策定したいと考えているのであれば、首長提案とすることをお勧めする。議員提案条例となったら、きっと基本計画も議決事件に加えた形になってしまうだろう。
そもそも、地方自治法が改正されて、総合計画の策定義務が無くなったのだから、総合計画の必要性そのものをしっかりと議論してほしい。作るだけ作ったけど、実際には職員も議員も首長も誰も見ないような計画なら、自治法改正を機会に策定を止めてしまった方が良い。無駄な計画策定は、コンサルを喜ばせるだけだ。
「自治基本条例もない、議会基本条例もない、議決事件に関する条例も持っていない自治体」の例ですが、このような自治体で既に総合計画を策定している場合はどうなりますか。私の所は、平成23年3月に第五次が議決されました。
1 自治法改正を担保できる条例を持っていない場合、改正前に議決された基本構想の効力はどうなのか。
2 議決の効力を継続させるための条例を改めてつくる必要がありますか。
以上2点について御教示ください。また改めて作るとしたら、どうのような条文となるでしょうか。
よろしくお願いいたします。
「今回の自治法改正は、改正前に議決された基本構想を無効にするものではない」
というものでした。ただ、その理由説明を覚えておらず・・・申し訳ありません。
以下、全て個人的見解です。
原則として、各種計画は根拠法律が無くても任意に策定できます。
一方、基本構想については特別に、法律が議決を成立要件と定めていたため、
「議決を経なければ基本構想は無効」
となっていました。
今回の自治法改正は、原則に戻るものです。すなわち、
「議決を経て基本構想を策定しなければならない」
↓
「義務付けが無くなったことで、計画は任意に策定できる」
という原則に戻ったので、既存の基本構想の効力を否定するようなものではないと思われます。議決が成立要件ではなくなっただけ、と考えています。
次に、
「2 議決の効力を継続させるための条例を改めてつくる必要がありますか」
という点についてです。
自治法の改正により、既存の基本構想は
「(議決事件ではない)任意の計画・構想として有効」
になっていると考えられます。
なので、計画期間の終了までそのまま継続するのであれば、問題にはならないと思います。
問題なのは、計画期間の途中で基本構想を変更しようとする場合(首長が選挙で交代した、等)です。
条例で何も定めていない場合、「基本構想を変更、廃止すること」は議決事件ではないため、議決無しで変更、廃止することができます。逆に、変更、廃止を議案として提出する法的根拠が何も無いため、議案には出来ません。出来ないというか、議案として提出することは無意味なこととなります。
もし、
「議決で成立しているのだから、議決を受けて変更、廃止したい」
と考えるのであれば、やはり条例化が必要でしょう。