こうしている間も、朝青龍は日本のどこかにトグロ巻いて、ブーたれながら飯食ったりしてるんだろうなぁ…とふと思うと、朝関自身にも大相撲界にも特段のシンパシーはない月河でも、なんだか落ち着かなくなってきます。
とにかく、お相撲さんてカラダが大きいから、人目につかないよう身を隠す、人物特定されないで何かするってことが不可能に近いですもんね。おまけに丁髷。2ヶ月に一度の本場所はNHKで全国に顔が映るし。
技量と成績が伴わなければ生き残れないのはすべての種目のプロスポーツマンのつねですが、それ以上に、どこで何やっても外観から職業身分まるわかりな、巨体と丁髷を強いられるということは、相撲を志す者に課された大きな試練ですね。新弟子志願者も減るわけだ。“自由がない”って、いまの中学生、高校生辺りの年代がいちばん嫌がる境地だもの。
今回の処分が重いか軽いかより、処分決定後モンゴル帰国する、しないで高砂親方が説得に“乗り出し”たり“失敗”したり、「それでも話はしてくれた」と会見してみたり、相撲協会も部屋もずいぶんなめられたもんだなという気がします。せっかく“処分”という名の制裁が下ったのに、伝えられる本人の言動から「厳粛」「謙虚」な空気が、この期に及んでひとっつも漂ってこないってのは、さすがに時間が解決はしてくれない問題だと思う。
やっぱり“1人横綱”で、“一座の1枚看板”として大切にされて、わがままも通してもらえる期間が長すぎたかな。
02年初場所後から、今年5月場所後に白鵬関が昇進して来るまでですから、約5年半“1人座長”を続けてきたことになる。
朝関にしてみれば、「あ、横綱になると、これもアリなんだな」「もうちょっといってみるか、お、これも通ったぞ」「んじゃもうちよっと…わ、これはお叱りか、でもこの程度で済むんだな」「でもホラ、相撲になったらなんだかんだでオレにかなうの居ないジャン、じゃもう少しやってやろ」と、なし崩しに“野放図の間口”を拡げてきたのでしょう。
今回は、処分後の本人対応のまずさも含めて、師匠たる親方や親方の指揮監督ぶりを管理する協会側のペナルティが軽すぎるように思います。社会保険庁じゃないですが、“積年の怠慢”の結果が、いまの朝青龍を育てたと言えるんですから。
何より、一般相撲ファンに街頭でマイクを向けたとき「反省して欲しい」「横綱なんだから若手の手本になる行動を」「本当に骨折なら日本で治療できるだろ」などの声は聞こえてくるけど、「朝青龍の相撲、土俵姿を早くまた見たい、早く帰って来て」と言う人がさっぱり見当たらないってのが、もう何をかいわんや。
…いや、結構、言ってる人いるのかもしれないけど、オンエアでカットされてるのかな。TV局も“朝青龍は不人気”ってことでまとめたいみたいだし。
でも、朝関を角界に居られなくしたら、白鵬がまた“1人横綱”で残るわけですが。どうする。あっちも“愛され担当”はつらい顔立ちだよ。しかもあの身長。
まぁ奥さんが日本人だからハードルが低いか。とにかく進むも地獄、引くも地獄、大相撲界はこの猛暑以上に厳しい状況が続きます。
『金色の翼』第30話はあんまりいろんなことがあり過ぎたのでギブミーサム時間(ルー大柴さんか)。
しかし、いま日本中でいちばん切実に「翼が欲しい」のは槙でも修子でも理生でもなく、朝青龍かもしれんなぁ。