お盆を過ぎ処暑となって、そろそろTVCMも秋向け仕様となってきたようです。
昼ドラ枠で今週アタマ頃から流れるようになったP&G“hair&skin”の山口智子さんを見ると、女優さんが年を重ねていくのは難しいな…とつくづく思います。
月河は、山口さんが重要な役を演じたドラマでちゃんと見たのは『もう誰も愛さない』ぐらい(しかも本放送数年後の再放送)で、『29歳のクリスマス』も『ロングバケーション』も『ダブルキッチン』も知りませんが、95年だったかな?『古畑任三郎』の第二シリーズでの、タンゴを踊りながら花を活ける前衛華道家、最後まで傲然と背筋伸ばしてスタミナドリンク飲み干して「よしっ、行こう」と古畑に逮捕される役、あれは本当にカッコよかった。
以後、ドラマで“役を演じて”いる山口さんをちゃんと見たことがありません。
どうなんだろう。どうなんだろう、ってのもえれぇおこがましいわけですが、山口さんの中で“作品”と関わり“役柄”を演じる、ってことにちょっと忌避感が生じてしまっているのでしょうか。
確かにドラマ実質休業前の山口さんの仕事はいずれも人口に膾炙した高視聴率作で、“ぴったし適役”と誰もが評価する役柄だったと思うけど、彼女、それで“下るのが怖い”高所恐怖症になっちゃったのかな。
月河が覚えているだけでもJT“うぶ茶”、スクラッチ宝くじ、スーパーのイオングループ、あと何だか忘れましたがクルマ。CMでは年に一~二本は必ず新作でお見かけしていて、こう言っちゃなんだけど、一作ごとに確実におトシを召され…て言うか、ぶっちゃけ、ドラマ全開時代の輝きを、一歩また一歩着実に減じてきている。
今作“h&s”は特に、眉頭寄り半分だけ音符みたいに丸っこい眉の描き方と、トレードマークのストレートロングヘアの、額生え際の髪量の減り方が痛々しい。
再び、どうなんだろう。“撮影拘束時間短くて効率よくカネになって、イメージ崩れないCM仕事だけ選んで稼ぐ魂胆なんだな”ってのがシロウトにもバレバレな方向で経年劣化曝さないで、たとえ漫画原作かなんかのダサいドラマのステロタイプな役でも、女優なんだから“演じて”堂々と磨り減って行かれては如何か。
同じ時間帯に見かけるCMで言えば、SKⅡの小雪さんは、ブレイク前後の“大柄ゆえのワイルドな清楚さ”から、やはり良くも悪しくもカドが取れてきてしまってはいるけど、“演じ続けている”がゆえの輝きが、まだ歴然とある。
まぁ、山口さん、既婚者だしね。家庭とのバランス上仕事量を絞りたい気持ちが強いのかもしれませんが、絞ったら、絞ったことがご本人にも、ファンにもプラスにならなきゃいかんでしょう。
絞ってあれだけ加齢曝すなら、いっそ絞らないで出ずっぱりで“演じて”見せてくれるか、むしろ鐚一文露出しないで原節子さんみたいになってくれるか、どっちかにしたほうが、お互いに幸福だと思うのですが。
究極の大きなお世話でした。
まぁ、そんなCMも流れる『金色の翼』第39話。
あー、雲の上の大物女優さんの人生行路なんか僭越にもご案じ申し上げて疲れちったよ。今日はサラッとまいりましょう。
槙にていよくあしらわれてテラスに取り残され傷心の理生に、本気か悪戯かチョッカイ出す玻留が「世の中、男も、女もいくらでもいる。せっかくの人生、ひとりの人間だけ見て生きていくなんてつまんない」と夕映えの海を見て遠い目になったのが今日いちばんの気がかりでしたが、このドラマ、要所で地味に必聴はBGM。
一昨日37話、島に何の目的か再登場した絹子先生が「男の生き血ってこんな味かしら」と痛飲し踊り狂う場面では、昔フランク永井さんが歌っていた『赤坂の夜は更けて』。
今日、前述のテラス場面の後に続く撞球室で玻留が理生に腕前を披露するシーンではラテンダンスナンバーの古典『キサス キサス キサス』が流れていました。
オーナー・セツさんの趣味か、亡き夫・慶介さん(オーナー室の遺影だけのご出演ですが、サザン桑田佳祐さん似。元・湘南ボーイ?)の影響か、どうもこのホテル、いまをときめくセレブ人士御用達の隠れ家リゾートにしては、趣味が昭和の、それも40年代前半のナイトクラブチックですぞ。